【制作会社インタビュー:株式会社アイディ】AI時代だからこそ“クリエイティブファースト”に立ち返る

株式会社アイディ
https://idds.jp
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-18-32 SCALE801
TEL 03-5155-7637 E-mail: info@idds.jp

目次

人間にしかできないことを、いま一度見つめ直す

株式会社アイディは、2002年創業のクリエイティブファームです。創業者の別所誠士さんは米国でデザインを学び、帰国後に同社を設立。大手企業のコーポレートサイトやアーティストのサイト制作などを通じて、優れたクリエイティビティを発揮してきました。現在は、コーポレートサイトや採用サイトの制作を中心に、企業のブランドコミュニケーションを形にする仕事に取り組んでいます。

20年以上の歩みを経て、同社が今改めて掲げているのが「AIには超えられないクリエイティブファーストが心を動かす」というスタンスです。

2010年代、社会の価値観やビジネスの流れが否応なく変化していくのを背景に、同社もマーケティングを研究したりデザイン思考を取り入れたりするなど、ビジネス視点を重視した制作スタイルへと舵を切りました。しかし別所さんは近年、AIの進化を目の当たりにしたことで改めて「人間にしかできないこと」に目を向けるようになったと言います。

「現在の社会やビジネスの潮流の中で、大事なことは何だろうかと改めて社内で話し合ったところ、私たちにとってやはりそれは“クリエイティビティ”なのだという考えに至りました」(別所さん)

同社においてもAIは、調査・分析、アイデアの増幅といった面でデザイナーを支える有益なツールとなっています。しかし、同社マネージャー/デザインストラテジストの横平明日香さんは、AIを「デザイナーの脳を拡張する道具」と評価する一方、「それだけで人の心を動かすアウトプットができるかというと、そうではありません」と、使い方を切り分けています。

クライアントとの対話を通じて、混沌とした悩みや迷いから本質を引き出し、クリエイティブにまで昇華する創造性こそ、アイディが追求する「心を動かす」クリエイティブファーストの理念なのです。

混沌から秩序を生み出す、提案力の磨き方

クライアント企業にとって、制作者からの提案には単なるアウトプットの提示以上の価値があります。別所さんは、クライアントのニーズを的確に捉え、伝えるべきことを伝えるべき相手に、いかに伝えるかを見極め、それを「言語化」することで、価値が生まれると考えています。

ここでいう「言語化」とは、単にわかりやすいコピーライティングに留まらず、ビジュアルデザインやコミュニケーション設計など、非言語を含めたあらゆる表現手段の総体を意味します。クライアントの胸の内にある本質の表現、つまりブランディングはここから始まるのです。

同社がビジネス視点の制作スタイルを強化してきた経験は、こうした提案の質を高めるうえで役立っています。制作に入る前の、混沌から秩序を生み出す段階には、最もエネルギーが必要とされます。

「『言語化』したものを『表現』にまで高めるには、具体と抽象を往復したり、時系列で整理し直したりと、柔軟で多角的な視点と思考力が求められます。そうした視点は、美術やデザインの本質的な学びと深く通じるものがあります」(横平さん)

アイディでは、この視点を磨くための研修に力を入れています。例えば乗馬やマリンスポーツ、あるいはレストランで上質なサービスに触れるなどの体験は、「自分がどう感じたか」という情緒的な主観を育むことに繋がります。体験によって“心が動いた”経験は、ユーザー視点を大切にするデザイナーの原点といえます。また、美術の研修では専門家を招いて歴史や解釈を学び、実際に美術館で鑑賞する際は費用補助も行っています。文脈から価値を発見するキュレーション的な視点は、クライアントの魅力を見極める審美眼を育みます。

「クライアントと向きあう中で、美しいもの、素晴らしいものを主体的に探して形にしていく、情緒的な心や価値観を大切にしていきたいと考えています」(別所さん)。

ブランディング重視で成果UPへ 求職者に響く採用サイト制作

企業の採用活動は社会情勢や経済動向の影響を受けやすく、アイディでは常にトレンドを捉える必要性を念頭に置いています。時にはコーポレートサイト本体とはコンセプトを変え、より求職者に響く形で、企業の魅力や求める人材を伝えるデザインを提案しています。また、採用は企業ブランディングとも切り離せないものであり、同社の豊富なインナー/アウターブランディングの実績も、成果の出る採用サイト制作に役立っています。

コーポレートサイトやブランディングサイトに加え、同じクライアントから採用サイトも依頼されるケースも。社員インタビューなどのコンテンツ制作までワンストップで対応しています

デザインのノウハウを活かしたシステムのためのUI/UXデザイン

企業のDXが進む現在、業務システムを開発したものの使いづらく利用が進まない、といった事例は少なくありません。アイディでは、こうしたシステムのUI改善も手掛けています。ヤコブ・ニールセンの「ユーザビリティ10原則」を軸に、Web制作の経験で培ったUIデザインのノウハウ、また画面外の行動・思考を含めたユーザー体験の視点から、課題を抽出し解決へと導きます。

ある業界向けの広告データベースシステムの改善例。「誰でも使えるGUI」をコンセプトに、シンプルかつ合理的な構造を、少しクラシックなOS風にあしらいました

Text:笠井美史乃 撮影:五味茂雄 企画協力:株式会社アイディ
※本記事は株式会社アイディとのタイアップです。

  • URLをコピーしました!
目次