移行直後にCVRが9％向上、セッション時間も13％改善！ イチロウがOrizm移行で実現したサイト表示速度改善の効果
訪問介護サービスを提供するイチロウ株式会社は、2025年9月にサービスサイトをリニューアル。WordPressで構築された既存サイトが抱える「表示速度が遅い」という課題を解決するため、ちょっと株式会社のWeb開発プラットフォーム「Orizm（オリズン）」を採用しました。
なぜOrizmが選ばれ、どのように課題を解決したのか。イチロウ株式会社の橘凜さん、ちょっと株式会社のディレクター吉長茱里さん、エンジニアの石川雅述さんに話を聞きました。
「実績」と「自社開発の柔軟さ」が決め手に
–––はじめに、イチロウ株式会社さんの事業内容について教えてください。
橘凜（以下、橘） 当社は、介護保険の対象外となる訪問介護や介護サービスを提供しています。自宅での介護や通院の付き添い、家事のサポートなど、既存の介護保険制度ではカバーしきれない領域を幅広く支援しています。
介護保険サービスは低価格で利用できる一方で、どうしても手が届かない部分もあります。そこを補完するかたちで、当社のサービスをご利用いただくことで、多様化する在宅介護のニーズに対応しています。
–––今回、Orizmを導入されたサービスサイトはWordPressから移行されたそうですね。移行を決めた理由を教えてください。
橘 WordPressで作ったサイトは、とにかく表示が遅くて……。1ページ開くのに5秒ほどかかってしまっていました。構築をお願いしていた制作会社さんにも、何度か改善を依頼したのですが、なかなか効果が出なくて。
それに加えて、運用面でも課題がありました。サービスサイトのコンテンツ更新は外部のパートナーにお願いすることも多かったのですが、マニュアルがないと操作が難しく、直感的に扱えない点も悩みの種でした。だったら、いっそ根本的にサイト構造そのものを見直したほうがいいのでは？と考えて、ちょっとさんに相談したんです。
–––Orizmを選んだのには、どのような経緯があったんでしょうか？
橘 私の前任がちょっとさんとお付き合いがあったんです。最大の課題だった表示速度の改善に実績があったことも、大きな決め手になりましたね。
それに、Orizmはちょっとさんの自社開発サービスなので、必要な機能を柔軟に追加できますし、弊社の運用スタイルに合わせて細かなカスタマイズをしていただける点も魅力でした。見積もり内容も非常に納得感がありましたし、総合的に判断して、ちょっとさんにお願いすることにしました。
きめ細かなディレクションで潜在課題を発掘
–––実際の移行作業は2025年6月からスタートして、わずか3カ月で完了されたとうかがいました。
石川雅述（以下、石川） はい、プロジェクトは6月1日から開始しました。まずは、既存のシステムがどう動いているのかを把握するところから始めました。
最初の1カ月で、WordPressの裏側を見ながら、どのようにデータを保持しているのか、そのままOrizmに移行できるのかを詳しく調べました。結果的に、WordPressのデータをそのままOrizmに持ってくるのは難しそうで……。一度変換作業が必要になるなど、一筋縄ではいきませんでした。
吉長茱里（以下、吉長） そのため、この期間は「どうつくるのか」「更新作業をするときはどうなるのか」といった部分を、社内ですり合わせる時間にしました。なので、この期間は橘さんにあまり質問することもなかったと思いますね。
–––調査期間中はあまりコミュニケーションが発生しなかったということですが、橘さんは不安ではありませんでしたか？
橘 スケジュールや進捗状況は随時共有していただいていたので、特に不安はありませんでしたね。
吉長 見積もりの段階で要件定義をある程度固めていただいていたことも、コミュニケーションがスムーズだった要因かもしれません。そして、最初に決めた要件定義から大きくブレなかったため、スケジュールが大幅にずれ込むようなこともありませんでした。
–––Orizmへ移行する際に、最も課題になった部分はどういったところだったのでしょうか。
橘 弊社のサイトデザインはかなりオリジナリティが高いので、Orizmの「デザインエディター」機能でどこまで対応できるのか、正直不安がありました。また、サイト内にはシミュレーターのようなコンテンツもあって、それもOrizm上で対応する必要があったんです。
–––そのあたりはどのように解決されたのですか。
橘 吉長さんが、こちらの要望をうまく咀嚼して対応してくださいました。Orizmが対応できる範囲で、デザインの更新がしやすいよう調整していただきましたし、シミュレーターについても、そのまま残したうえでOrizm上で動くよう設定を変更してもらいました。粘り強く、そして臨機応変に対応していただけた点には、本当に感謝しています。
また、私が確認しなければいけないポイントについて、吉長さんがこまめにリマインドしてくださったこともありがたかったです。「ここの確認をしたいので、オンラインで10分だけミーティングさせてください」とか、「専門的な部分なので石川さんを同席させて確認したいです」といった具合に、すごいスピード感で主導してくれました。細かい仕様を曖昧にせず、具体的に詰めてくださったので、安心してお任せすることができましたね。
加えて、弊社のサービスは家事代行から外出の付き添いまで幅広く、多様なカテゴリーが存在します。そのため、同じ内容が異なるページに重複して掲載されているケースもありました。この点についても、「ここは整合性を取りたいので、こうしませんか？」とご提案いただき、すっきり整理することができました。更新や管理のしやすさは、当初あまり意識していなかったのですが、潜在的な課題を見つけて解決してくださったことも、とても助かりました。
吉長 石川さんから「こことここは似たようなページだから、一元管理できそう」と都度共有があったので、弊社側から提案させてもらいました。「このほうがもっとよくなる！」と思うと、つい提案しちゃうんですよね……おせっかいなんです（笑）。
–––短期間での移行を実現できた理由は何だと思いますか。
石川 CMSに必要な機能はOrizmにひと通り揃っているので、複雑な機能に集中して作業できたのは大きかったかもしれません。CMSでまかなえる部分はそのままOrizmに移行できたので、技術的に難しい部分にしっかり時間をかけることができました。
橘 吉長さんが、さまざまな課題を本当にうまく着地させてくださったので、弊社としても非常に進めやすかったです。だからこそ、弊社側も素早く判断できたのだと思います。
吉長 今回は500〜600ページほどの移行作業でしたが、それを3カ月で完了できたのは、かなり稀なケースです。長いと半年以上かかることもあるので、橘さんの判断の早さにも本当に助けられました。
移行後、すぐに表示速度・広告効果が大幅改善
–––Orizmに移行してから、使用感はいかがですか。
橘 管理画面のUIが非常にシンプルでわかりやすいですね。余計な項目がないので、使いやすさを実感しています。
表示速度も大幅に改善されました。今回のリニューアルでは、サイトの動作に影響するようなデザイン変更はほとんど行っていませんが、それでも以前よりスムーズに表示されるようになりました。
–––CVRなどの数字は変化しましたか？
橘 広告のCVRは9％向上しました。その分、CPAもよくなっています。SEOの観点では、検索順位が平均で1.2倍上がり、平均滞在時間も13％改善しました。表示速度の遅さによるマイナスを解消できたことが、こうした数字に表れているのだと思います。
–––早速サイトリニューアルの効果が出ているんですね。今回Orizmに移行したことで、今後サイトに実装してみたい機能やコンテンツはありますか？
橘 まだまだ改善できる部分はあるはずなので、デザインも含めて、今後はさらにサイトを軽量化していきたいですね。
吉長 最初の段階で、Orizmのデザインエディターを使って再現できないか検討したのですが、デザインのパーツ構成が複雑で、テンプレート化が難しかったんです。現在はデザインをそのまま活かしていますが、今後パーツの洗い出しとテンプレートの整備が進めば、デザインの量産や変更もしやすくなるので、そこは引き続き取り組んでいきたいですね。
「カスタマイズ性」と「柔軟な対応力」がOrizmの強み
–––今回の移行プロジェクトを振り返って、改めて感想をお願いします。
橘 サイトの表示速度にはずっと悩まされていたので、ちょっとさんを信頼してお任せし、短期間でリリースまで持っていっていただけたことに本当に感謝しています。システム的にもデザイン的にも課題があるなかで、3カ月でここまで形になったのは、すごいことだと思います。
吉長 石川さんと橘さんの判断や行動がとても早かったこともあって、3カ月で実装までこぎ着けることができたと思います。全員がスピード感を持って進められたからこそ、実現できたプロジェクトだと感じています。
石川 Orizmは、CMSを構築するうえで必要な機能をかなりカバーしているので、その点も期間短縮につながった要因だと思います。サイト固有の機能や難解な部分にしっかりと力を注げる分、開発する側としても非常に作業しやすかったですね。
–––では、最後にイチロウさんと同じ悩みを持つ企業さんに向けてメッセージをお願いします。
橘 サイトの速度は、ユーザー体験の基本であり、“当たり前”にできていないといけない部分だと思っています。Orizmに移行したことで、広告やSEOの面でもしっかりと数字に成果が表れていますし、同じような悩みを抱えている企業さんには、ぜひおすすめしたいですね。
石川 Orizmの強みは、カスタマイズ性の高さにあると思います。WordPressでは「管理画面が使いにくい」「操作が難しい」といった声もよく聞きますが、Orizmなら低コストで最適化が可能です。
本来、企業ごとに最適なUIをつくろうとすれば、ゼロからの開発が必要になります。でもOrizmは、ある程度の機能がすでに備わっているので、そうした初期開発のコストを抑えられるのも大きなメリットだと自負しています。
吉長 Orizmは、量産型のサイトからリッチな構成のサイトまで、幅広く対応できるのが特長です。導入事例やノウハウも着実に蓄積されてきていますので、お悩みやお困りごとをいただければ、最適な解決策をご提案できると思います。ぜひお気軽にご相談ください。
取材・文：大井あゆみ（エディット合同会社）、写真：秋山枝穂