
実践! 成功するウェビナー ~準備と開催方法~
1. ウェビナーの企画の立て方
なぜ企業はウェビナーを開催するのか
会場に大勢で集まることが難しい状況である昨今、ウェビナーへの注目が高まっています。従来のセミナーの代用としてはもちろん、BtoB企業にとっては大事なリード獲得の場ともなる大規模な展示会が開催できなくなっているため、その代替手段としてウェビナーを開催するという企業も多いです。
ウェビナーには会場費が抑えられ、地域問わず参加してもらいやすいという大きなメリットがあります。配信するURLを参加者の方に知らせるだけで、いつでもお金をかけずに開催することができます。そのため、これまでは会場費などの兼ね合いを考えると開催しづらかった、セールスに直結する内容でなくてもやりやすくなります。狭く深い話題を少人数に向けて届けるということをやってもよいかもしれませんし、毎日開催することも可能です。
参加者にとっても、会場までの移動時間やコストがかからないため、参加しやすいというメリットがあります。そのため、集客がしやすくなります。
特にBtoBのセミナーでは、参加したいと思った企業の方がセミナーへ出かける場合は、業務時間をセミナーに当てるべき効果や正当な理由を会社に伝え、許可を得て出かける必要がありました。しかし在宅ワーク中やオフィスのデスクから直接参加できるようになると、そうした手続きも不要になり、参加のハードルが下がるのではないかと思います。
リアルのセミナーと企画の立て方はどう違う?
集客しやすいとはいっても、今はとても多くのウェビナーが開催されているため、その中でも「参加したい」と思われる企画にしなくてはなりません。ウェビナーを企画するうえで、リアルのセミナーとは本質が違うというのを理解しておくことが大切です。
たとえば私たちタービン・インタラクティブの場合は、Webサイトを核としたBtoBマーケティングの実行支援を行う会社ですが、「御社でもこういうサービスを利用しませんか?」というような直接自社の事業をセールスする内容のウェビナーはやっていません。「当社はこれを売りたいです」という話をしても、あまり見たい人は多くないように思うからです。ではどうしているかというと、興味関心の度合いとしてはもう少し手前にいる、デジタルシフトに興味があるような方々と広く接点を持つことを目的として、彼らが興味を持っているであろう旬なネタを企画するようにしています。ターゲットとしている方々が今見たいものを見せるというのが、企画を考えるうえで重要です。
弊社のウェビナーでは、より幅広い話をしたい場合には、社内の人間だけでなくその道の達人をゲストに招いて話を伺っています。
たとえば4月は、リモートワークを始める企業が増えたので、昔からリモートワークを行っている(株)ソニックガーデン代表の倉貫義人さんをゲストに迎え、リモートワークをどのようにやるとよいかという話を展開しました。5月には、テレワークが推進される中で営業活動はどのように進めていったらよいかという話を、インサイドセールスをやられている(株)エムエム総研の米田光雄さんをお迎えして話しました。
そうやって、デジタルシフトについていろいろな角度から話をするウェビナーを、テレビ番組やYouTubeに近いような感覚でつくっています。回を重ねるごとに、リピーターの参加者が多くなっています。
参加者は、すぐに私たちのセールスの対象とならないかもしれませんが、デジタルシフトをしなくてはと考えている方々が徐々にBtoBマーケティングに興味を持って態度変容し、弊社のサービスに興味を持ってくださることをウェビナーの効果として期待しています。
ウェビナーの開催時間は1時間以内に
ウェビナーでは、リアルのセミナーよりも開催時間を短くしており、弊社で行っているものは、1時間を超えないようにしています。セミナーの場合は、わざわざ会場まで出かけて行ったのに短い時間で終わってしまうと、参加者の満足度が上がりません。せっかく来たからには、ある程度長い時間のコンテンツを用意する方が喜ばれます。しかしウェビナーは、「スキマ時間を利用して見る」という方が多いと想定し、あまり長いのはよくないだろうと考えています。30分や10分といった短いウェビナーをたくさん開催するというやり方もよいかもしれません。

リアルの会場に集まってのセミナーや展示会等の開催が難しくなっている背景もあり、企業によるウェビナーが数多く開催されています。移動コストがかからないなどの参加のしやすさから、参加者も多く集まっています
2. 集客とクオリティを高めるための環境づくり
早めの告知と複数回のリマインド
ウェビナーを企画したら、集客のための告知をしていきましょう。SNSに告知投稿する場合は、タイムラインをスクロールしていく中で、どの投稿を見るか/見ないかという判断のスピードが早いので、目に飛び込んだ瞬間に内容がわかるようなタイトルとグラフィックであることが重要です。あまり長々と文章を書いても読まれないので、できるだけ短く伝えるべきことを書くようにします。その企画内容に興味を持ってくれるであろうターゲットに届くよう意識することが大切です。
ここぞという企画のときは、広告出稿をすることも考えられます。なかでもFacebook広告はターゲティングの精度が高いため、ウェビナーのターゲットユーザーに訴求しやすいように思います。これらをしっかりやれば、集客はできるでしょう。弊社開催のウェビナーも、募集をかけるとあっという間に多くの方に申し込みいただけるようになっています。
告知から開催までの期間があまりにも短いと集客が難しくなるため、通常は開催の1カ月~3週間前には告知を始めるのがよいでしょう。弊社では、申し込み時にお礼のメールを送り、そこに開催1週間前に参加URLを送る旨をお伝えしています。たくさんのメールを受信する方は、見落とすことがあるからです。また、前日と当日にもリマインドのメールをお送りしています。ウェビナーは外出を伴わない分うっかり忘れてしまいやすいことも考えられるので、リマインドは大切です。
ただ、企画の意図によってはその限りではありません。先日(株)ブイキューブの佐藤岳さんをゲストに開催したウェビナーでは、少し特殊な告知方法をとりました。2回構成の企画だったのですが、1回目は1週間という短期間の募集で開催しました。その1回目の評判が告知となると見込み、2回目の参加者を増やすことを狙いました。2回目から申し込まれた方には、1回目のアーカイブ動画を共有しました。その結果、1回目から多くの方が参加してくださり、参加者のほぼ100%が2回目も申し込み、さらに2回目からの申し込みも増え、とても多くの方に参加いただけました。
配信プラットフォームの選び方
弊社では、ウェビナーの配信にZoomを使っています。その理由は、昔からWeb会議に利用していて慣れていたこと、私たちが使っているMAツール「HubSpot」と連携してトラッキングできることの2点です。Zoomはもともと会議ツールとして開発されているため、高画質な画像を見せることよりも、そこそこキレイな画質で軽くて安定した通信をできることが強みになっています。画質にこだわるのであれば、YouTube LiveやFacebook Liveの方が向いていいます。ただその分、通信速度が遅くなってリアルタイム性が落ち、数分のタイムラグが発生します。自社にとってどの配信プラットフォームが適切かは、「画質」と「安定性」どちらに重きを置くのか、連携させたいツールとの互換性や投げ銭システムを必要としているかといった機能面を考慮して決めていくのがよいでしょう。
ブランドを毀損しない環境づくり
弊社では、3年前に東京オフィスを構えたときから、配信用の会議室を持っています。もともとは、クライアントとのオンライン会議をきちんとした環境で行うためのものでした。ウェビナーを開催するようになり、現在は配信スタジオとしても活用しています。いま、こうして企業が配信スペースを持つことが増えてきています。
配信機材については、最低限カメラや照明等を用意するようにしましょう。パソコンのインカメラで配信するなど、低クオリティなウェビナーを行うと企業のブランドも毀損しかねません。弊社ではミラーレス一眼レフカメラ3台、照明、カメラを切り替えるためのスイッチャー、カメラのデータをUSBに変換するためのキャプチャボードなどを備えています。カメラは趣味の写真撮影で使うようなものですし、これらの設備を揃えるのにそれほど大きな予算はかかりません。
また、ウェビナーの音や映像の安定性は、ネット環境で左右されます。参加者の環境をどうにかすることはできませんが、配信側で極力よい状態を保つために、有線で繋いで一番速いポートから流すというような細心の注意を払っています。そのために、有線のポートも設置してあります。最低限こうした機材を揃えていないと、よいウェビナーをつくるのは難しいでしょう。


SNSでのイベント告知投稿は、一目でウェビナーの内容が伝わる画像やタイトルにします。投稿文の文字数は、テーマをしっかりと伝えながらも、多くなりすぎないよう注意しましょう

最近は、ウェビナー用に自社の会議室に配信環境を整える企業が増えています。タービン・インタラクティブでは、複数のカメラや照明、モニタ、スイッチャーなどを揃えてできるだけ高品質の配信をしています。こうしたスペースがあると、取引先とのWeb会議の際にも“きちんと感”が出ます
3. 参加者を退屈させない見せ方
工夫のないウェビナーはツマラナイと考える
基本的に、ウェビナーはツマラナイものだと思っています。というのも、まだ取り組み始めたばかりで、これまでオンラインでの情報発信をしたこともない企業がチャレンジをしているという状況なので、上手な人がいません。もちろん私たちのウェビナーもまだツマラナイだろうという前提で、もっと参加者の目線になって頑張らなければいけないと考えています。
ウェビナーで行っていることはYouTuberにも通じるところがありますが、今の若い子たちは王道のノウハウを勉強して投稿していますし、人気YouTuberは本当に見せ方がうまいです。ほとんどの企業は、これまで自分たちで番組のようなものをディレクションしたことがなく、どうしたらおもしろくなるかということを考えるのが業務ではなかったので、最初はツマラナイのが当たり前なのです。
参加者にツマラナイと感じさせないためには、さまざまな観点からたくさんの工夫をしなければなりません。ウェビナーは、退屈に感じられると離脱されやすいですし、ながら作業で聞いている方も少なくないと思うので、せっかくいい内容を企画しても伝え方や見せ方に工夫を凝らさないと集中してもらえないのです。
出演者の熱量を伝えるためには
リアルのセミナーとウェビナーでは、伝え方や見せ方で工夫すべき点が大きく違ってきます。ウェビナーでは目の前に登壇者がいないため、一生懸命に話しても熱量が伝わりづらいという難点があります。また、リアルの会場では出演者が動き回ることもできますし、身振り手振りで表現することもできますが、そうしたアクションで注意を惹くこともできません。それにも関わらず、出演者は最初に挨拶をするだけですぐに「ではここからスライド画面を共有します」とスライドを映し、ワイプのような小さな枠に顔を映すだけ、あるいは最初から最後までずっとスライドを映して声を流すだけというようなウェビナーが多くの企業で行われています。これではさらに熱量が伝わりづらくなり、参加者に集中してもらうのが難しくなるでしょう。
多くの企業の方はスライドづくりが得意なのでついそうしたくなる気持ちはわかりますが、これまで以上にプレゼンテーションスキルが重要になってきます。展示会の代用として行う場合には、目の前に製品などを置いて見てもらっていた従来の形と異なるので、しっかりとプレゼンテーションでよさを伝えていかなければなりません。
とはいっても、プロの芸人ではないので、ものすごくおもしろいことを言わなければいけないという話ではありません。よく言われることですが、プレゼンテーションには“引っかかり”が必要です。たとえば、「さぁ、次はお待ちかねのこの話題です」などと振ってすぐにスライドを出すなど、話に緩急をつけ「ここが大事な話だ」と明確に伝えるようにします。「えー、あのー」など不要なことは極力言わないようにし、辿々しい話し方はせず、参加者にウェビナーの中身や情報をしっかりとわかりやすく伝えることが大切です。
テレビ番組を参考にした変化のある画づくり
ウェビナーで映し出される配信画面の画づくりにも工夫が必要です。たとえば、ずっと2人の出演者による引きの映像だけでは緩慢とした印象で引っかかりがありません。そうならないために、弊社では引きやそれぞれのアップなどを映す3台のカメラを切り替えています。これはよくテレビ番組で行われている手法です。参加者にとっても見慣れた演出になるので、ウェビナーを落ち着いて見やすくなります。テレビ番組はテレビ制作のプロが研究し尽くしているものなので、いい画づくりを考えていくうえでは、テレビ番組を研究するのが一番手っ取り早いです。テレビのノウハウを少し借りることで、ウェビナーを彩ることができるのではないかと考えています。
ウェビナーの画面切り替えは、ノートパソコンやスイッチャーで行います。そうした役割分担もきちんと考えておく必要があります。私たちの場合は3つのカメラが自動で切り替わるプログラムを組んでいて、任意で切り替えたいときだけ司会・出演している志水がフットスイッチを使って操作しています。どういう画づくりをするべきかというのは、ウェビナーの内容や進行とリンクしている場合が多いので、出演者が自ら操作できる部分をつくることも重要ではないかと思います。

ウェビナーはセミナーよりもパソコン画面でじっくり資料を見てもらいやすいこともあり、出演者の顔は片隅に小さく表示して終始資料を見せるというやり方をしている企業も少なくありません。しかし、見ている方はそれでは集中しづらいです。人間は人の顔に目が行きやすくできているので、なるべく出演者の顔もしっかり見えるようにした方が、集中して見てもらえるでしょう


ずっと同じ構図の画面では、視覚的な変化・緩急がなく、見ている人は集中しづらくなります。タービン・インタラクティブでは3台のカメラで引き画とアップを切り替えたり、PinP(2つのカメラの映像を重ねて表示)にしたりと変化をつけています。参加者の気持ちを惹きつける画づくりを意識するようにしましょう
4. 参加者との一体感を醸成し、話に集中しやすくする
リアルタイムに参加者の声を知りフィードバックする
ウェビナーは出演者から参加者の顔が見えず、参加者同志も顔が見えないので、場の空気を感じづらいという面があります。そのため弊社のウェビナーでは、Zoomのリアルタイムに集計できる投票機能を活用して、最初に参加者へのレベルチェックや興味関心度合いの調査などを行っています。そうすると、今日取り上げるテーマに詳しい人が比較的多いのか、あまり詳しくない人が多いのかといったことがわかるので、出演者もそこに合わせて話をしていくことができます。
このとき、ただ聞くだけではなく、参加者へフィードバックをしていくことも大切です。たとえば「今日は自宅から参加されている方が7割、オフィスから参加されている方が2割、その他が1割という内訳でした。みなさん在宅ワークは大変ですか? それとも過ごしやすいですか?」といったように。他の人はどういう状況か、どう思っているのかを知ることで、最初に自身のポジションを把握し、落ち着けるという面もあります。また、アンケートに協力をさせられて、情報を取られたと感じられると満足度が上がらないので、そういう意味でもきちんとフィードバックをしていきましょう。
弊社では、ウェビナーの最後には必ず質疑応答の時間を10~15分取るようにしています。そうして、オンラインであっても出演者と参加者の双方向でのやりとりをするようにしています。我々はBtoBのウェビナーを扱っているので、それほど話している最中にチャットが飛び交うことはないのですが、たとえばデザイナーさんによるノウハウ公開といったウェビナーでは、出演者に向けたものから参加者同志の会話までチャットが飛び交っているものもあります。一体感や盛り上がりが感じられるので、チャットの活用もよいでしょう。
出演者の話の中で気になったことがあっても、リアルのセミナーですぐその場で質問したり周りの人と話したりすると迷惑になってしまいますが、チャットでは迷惑になることはないのでいつでも気軽にコメントを投げられます。そうした仕組みづくりも、ウェビナーの内容にあわせて事前にしっかり整えておくようにしましょう。
音が途切れてもきちんと伝わる話し方・見せ方
Web会議などでも経験があると思いますが、オンラインでの通信は音が途切れてしまうことがあり、音質の悪さは聞く人の集中力を弱めてしまいます。Zoomは比較的安定的な配信を行えるツールではありますが、やはりオンラインである以上どうしても音の途切れが発生する場合があります。
先述のように、弊社では有線で速いポートを使うなど配信側でできる限り音質を上げる工夫はしているものの、参加者の回線状況に依存する部分もありますので、完璧に音の途切れを防ぐことはできません。そのため、少し途切れても話についてこられなくならないために、あまり早口で話さないよう気をつけています。また、大事なことに関しては、必ず2回、3回と繰り返し言うようにしています。
それらとあわせて、画面上にウェビナーのテーマや出演者名の他、今何について話しているかということをテロップで入れることで、音の途切れや聞き逃しがあったり、途中から参加した場合にもわかりやすいよう配慮しています。このテロップの操作は、Mac用のライブ配信アプリ「Ecamm Live」を活用し、出演者以外のスタッフが行っています。
話を見える化するアプリへの期待
話の内容を音声認識でリアルタイムにテロップにしてくれる「UDトーク」(https://udtalk.jp/)というアプリもあります。弊社ではまだテスト段階ですが、可能性を感じています。すでに導入し、会場のモニタに表示しているセミナーもあるそうです。同音異義語や少し発音が不明瞭なときは間違いもありますが、AIなので使っていくうちに徐々に改善されていきます。これを使えば音の途切れの補足になるのはもちろん、聴覚障害者の方にも参加いただけるようになるのではないかと思います。ビデオミキサーで字幕のオン・オフも簡単に切り替えられるので、重要な部分だけ字幕を出してメリハリをつけるというやり方をしてもいいかもしれません。
いかにきちんと届けるかというノウハウ、そのための補助ツールはどんどん進化しています。私たちも日々情報収集し、勉強しながら進めている最中です。こうした最新の情報もチェックするようにしましょう。

ウェビナーの参加者へアンケートを取り、リアルタイム集計することで、参加者の属性や興味などを把握し話をチューニングしていきやすくなります。また、結果を全員に共有することで、他の参加者の状態や意見などを参加者同志も知ることができます

ウェビナーのテーマや登壇者の名前、今話している話題は何なのかなどをテロップで入れることで、聞き逃したり途中から参加した人が置いていかれないよう配慮しています。この操作はEcamm Live(https://www.ecamm.com/mac/ecammlive/)で行っています
5. 参加者の満足度を把握し、次へ繋げる
アフターフォローで次に繋げる
ウェビナーの終了後にも「SurveyMonkey」(https://jp.surveymonkey.com/)というツールを用いてアンケートを実施し、参加者が今抱えている課題やオンライン相談会への申し込み意向などを聞いています。その回答はHubSpotに連携でき、サイトの閲覧履歴などHubSpotで得たお客様情報もあわせて踏まえた上で、営業担当者はオンライン相談会に臨むことができます。そのため、より濃密な時間にでき、ただの御用聞きではなく、相談できるパートナーとして印象付けられます。
また、お客様の課題解決に役立ちそうなウェビナーがあれば、相談会後に動画を送るといったように、ナーチャリングにも活用しています。ウェビナー後のアンケートで、当社の資料が欲しいとの要望があった方にも、ただ会社案内を送るだけでなく、アンケートで回答しているお客様の課題を見ながら、役に立てるコンテンツがあれば案内するようにしています。このように、過去のウェビナー動画も有効活用していけます。
解析データや行動から参加者の反応を知る
弊社の場合は、ウェビナーを配信しているZoomと連携させているMAツールのHubspotで、参加者の方の入退室時間・滞在時間などのデータを取得しています。BtoBなどビジネス寄りのウェビナー開催者はこうした解析データを重視するので、何かしらの分析手段を持っている場合が多いのではないかと思います。ウェビナーのマーケティング活用という視点では、リード獲得やナーチャリングに繋がっているか否かを確認できないというのはあり得ません。
ただ、視聴状況のデータは、あくまでウェビナーが参加者のパソコン等で再生されたか否かがわかるだけなので、どれほど真剣に集中して見てくれたかはわかりません。もしかしたら、片耳にかけたヘッドホンで聞きながら、仕事や読書などをしていたかもしれません。
MAを連携させるとよいのは、そうした開催時の視聴態度だけでなく、ウェビナーへの申し込みフォームから開催後の行動まで追っていくことができる点です。たとえば、SNSを経由して参加申し込みがあり、終了後はサイトからこの資料をダウンロードし、このページを何秒閲覧していた、というように。
ウェビナーではリアルのセミナーのように終了後に名刺交換や交流などはできませんので、オンラインのメリットを活かして自社サイトなどにきちんと導線をつくることが大切です。その際に、ウェビナーの内容や印象とWebサイトなどの情報や印象が違っているとよくありません。ウェビナーの内容は、企業のブランドや日頃から発信しているメディア・情報などに沿ったものにしておくことが大切です。
最初に、弊社のウェビナーは直接的なセールスの内容にしていないと伝えましたが、そもそもBtoB企業がデジタルシフトを考える際に、思いつきですぐに弊社の顧客になるということはほとんどありません。何年も気に留めながら、時期が来たら動き出すということもあります。ですから、「タービン・インタラクティブのウェビナーは以前から見ていて、社長の本も読んだけれど、今はまだデジタルシフトに踏み出すタイミングじゃないんだよ」という方もたくさんいます。私たちとしては、いざそのタイミングになったときに、思い出してもらえて、きちんと問い合わせが入るようになることを目指してやっています。
MAでは、久しぶりにサイト訪問があり、最近頻繁にウェビナーに参加しているというような情報がわかるので、適宜こちらからメールを送信するなどのアクションを起こせます。そうして、お客様に情報を知ってもらい、検討いただくための支援をしていきます。
ウェビナーは重要な手段になっていく
私たちがウェビナーを始めた2019年10月頃と比べると、今は本当にたくさんのウェビナーが行われるようになりました。内容や見せ方は、テレビ番組やYouTuberの真似事で、趣味や遊びのように見えるかもしれません。しかし、今後企業のマーケティングにおいてさらに重要になっていく手段だと考え、大真面目に取り組んでいます。私たちの使命は、デジタルシフトをしたいと考えているさまざまなBtoB企業を支援することなので、その一環としてもウェビナーのサポートができることは不可欠だと考えています。大変な面もありますが、基本的にウェビナーはやった方がいいことばかりです。興味のある企業は、挑戦してみることをオススメします。

タービン・インタラクティブでは、Hubspotを連携させた配信で、参加者の解析データを取得しています。実際にウェビナーに参加したか、途中離脱していないかといったデータが見られます。その後の問い合わせなどもすべて管理できるので、サービスの申し込みといったビジネスに繋がりそうな気配も把握できます

解析データは、あくまで参加者がパソコン等でウェビナーの配信画面を開いているということしか判断できません。もしかしたら、別の作業に熱中していたり、ウトウトしてしまっているかもしれません。「Webサイトで料金ページが閲覧された」「資料請求があった」というようなウェビナーの効果指標をあらかじめ設定し、これらもあわせて効果を見ていくとよいでしょう

- 志水哲也
- 株式会社タービン・インタラクティブ代表取締役。設立以降、BtoBマーケティングの実行支援を手がける

- 大西舞
- 株式会社タービン・インタラクティブにて、HubSpotを活用しマーケティング活動を手がける