
サイト運営のための弁護士選び
弁護士はどのように探して、選んでいけばいいでしょうか?
桑野先生 例えば「著作権」に強い弁護士を探したい場合なら、取っかかりに検索エンジンを用いるとして、上位から下位にかけて深く、弁護士の経歴、手がけてきた訴訟の内容などをじっくりと見ていってください。上位表示だけだと、ネット広告対策、SEO対策に長けたところが表示されるため、SEO対策が徹底できていないばかりに下位に表示されている、実は相当に詳しい弁護士を見逃す可能性が高いです。
WD 大げさな言い方ですが、自社の命運を握るところですし、面倒がらずにじっくり探すことですよね。
桑野先生 精通している弁護士を見つけられる何よりのメリットは、経験から「実際のリスク」がわかっているので、「いざ何かが起きた」時の「初動」で適切に対応できる。初期対応を迅速に誤らず行えば、揉め事でも相手の怒りのトーンは確実に下がります。
WD 探し方で気をつけるべきことはありますか?
桑野先生 著作権と名誉毀損であれば、それぞれの分野で専門の弁護士を置いてもいいくらい専門性が高いです。何でも詳しい、という弁護士は、本当に何に詳しいのか。公開情報で読み解くことです。判然としないなら、おそらくやめた方が…(笑)。弁護士の寄稿した記事を読んで、内容がわかりやすいから候補にするのも一案。うまく探し出せれば、さらに理想は、定期的にお付き合いできることでしょう。
顧問料や相談料は現実的に払いやすい価格であっても、
弁護士へのコンタクトに敷居を感じる場合は?
桑野先生 避けてほしいのは一人で、もしくは自社だけで抱え込んでしまうことです。弁護士でなくても、デジタルマーケティングやデジタルメディアの現場に精通している第三者の意見をうかがう形でもいいと思います。もし私からアドバイスをするなら、その方が法律に詳しいと最善です。
WD 実際に「何か」が起きた時の対応こそ肝心です。気軽な第三者だと、「いざ」という場面で責任を持った対応がしづらいのはマイナスですね。
桑野先生 顧問料や相談料が発生する弁護士への相談だと、その点はきっちりやる立場です。もし弁護士に非のあるミスがあれば、弁護過誤にあたり責任が問われます。
WD いかに「何か」が起きる前に備えておけるか、ですか?
桑野先生 Chapter3でも触れたとおり、デジタルまわりでは、日々新たな事象が出てきます。ましてや担当者が一人や少数だと、情報を追いかけていくのは大変でしょう。例えば、Web担当者のみなさんが日頃のサイト運営やSNS投稿にまつわる、法務に関わる疑問や困った体験などを語り合うような、気軽な集いが増えていくといいですね。
[準備万端!]書いて確認、トラブル回避へ
法律対策のためのチェックリスト
サイト公開やSNS投稿で気をつけるべきことをまとめています。このチェックリストを照らし合わせていけば、ある程度、未然のトラブルや不用意なミスを防ぐことにつながるでしょう。


- 教えてくれたのは…桑野雄一郎
- 1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2003年骨董通り法律事務所設立、2009年より島根大学法科大学院教授。著書に『出版・マンガビジネスの著作権』社団法人著作権情報センター(2009年)など。 http;//www.kottolaw.com/