【タイアップ】製品の提供価値とユーザーの価値観を結びつける! ユーザーの「共感」を生むクリエイティブのつくり方
「機能」より「価値」を生み出す
畑谷友香:「紙カミソリ™」は、その名のとおり金属の刃体以外は紙素材を利用し、プラスチックを極限まで減らした商品です。SDGsに貢献すること、薄型軽量で持ち運びに便利なこと、使い切りで清潔に使えるなどの特徴がありますが、これをどのターゲットにどんなコンセプトで伝えていくか当初はイメージが描ききれていませんでした。そこで、クリエイティブ戦略のプランニングから制作まで実行できるユニットベースさんにお願いした次第です。
宮内一政:最初にお話を伺ったとき、本当に今までにないプロダクトでしたので、他社と比較されがちな「機能」を前面に出してはいけないなと考えました。そこで、環境への貢献など紙カミソリ™が提供できる新たな「価値」とそれを伝えるための指針を明確にしましょうというお話をしました。最終的にWebサイトだけでなくキービジュアル(図01)を手掛けたのですが、これらをただ言われたとおりつくるだけではなく、それぞれの目的を整理するところから取り組みました。
畑谷:紙カミソリ™は部門横断的なプロジェクトで、さまざまな開発者の想いが詰まっています。それらをまとめる必要もあったので、方向性がブレないよう明確にしてコミュニケーションのところまで見ていただけたのは助かりました。
宮内:年齢や性別を問わない製品なので、どのように認知されていくかを想定したコミュニケーションを設計する必要がありました。これは新ブランド構築の戦略でもあるのですが、いきなり全方位的に打ち出しても価値を正しく理解してもらえないので、特定の層に絞ったコミュニケーションが必要だと感じました。
脱プラの未来に共感するユーザー像
宮内:本件は広告クリエイティブの方向性を探るより前にPRを実施されていたので、SNS上に多くの好反応が寄せられていました。そして、これがユーザーペルソナ策定の手がかりとなりました。中でも紙カミソリ™に強い共感を持つ方がいて、その人物像を知るためにTL(タイムライン)を遡って、どのような価値観や興味を持っているのかを調べ、それを具体化したペルソナをつくり上げました。
畑谷:ご提案では「事業会社勤務、SDGsや環境に興味があり、新しい価値観を大事にし、ジェンダーニュートラルにも強い関心がある」というスーパーウーマンのような感じで、本当にこんな人いるの? という話になりましたが、実在するんですね。
宮内:社内でのご理解を得るのは大変でしたか?
畑谷:弊社は創業113年目の会社で、SDGsがどの層に響くかなど理解が追いつかない部分もあったり「うちの会社らしいのか?」などの意見が出ました。しかし、新しいユーザー層に向けた商品という意識は社内にあったので、宮内さんから提案いただいた戦略やアウトプットイメージなどを見てゴーサインが出ました。
非デザイナーも「これだね!」と納得
宮内:クリエイティブについては、ポップなトーンがよいのではという話もありましたので、提案書ではカメラマンのクロカワリュートさん(図02)がピッタリと思い、ラフのビジュアルをつくってお見せしました。
畑谷:いろいろなキーワードが頭を巡って悩んでいたときに見せていただき「あ!これだ!」と瞬間的に確信しました。SDGsだからと難しく捉えなくても「これを選ぶだけでSDGsに参加できるんだ」と思ってもらえる軽やかで明るいイメージがマッチすると感じました。弊社の「さわやかな あじわいのある生活を」という企業メッセージも同時に表現できます。
宮内:視覚的なデザインは主観が入りやすく言語化も難しいものです。しかし、デザインが本業ではないクライアントの方が「これだね!」と納得する瞬間をつくっていくことが大切です。そのため、私たちはデザインをビジネスソリューションと捉えていますので、担当者の方の感覚的な判断よりもクリエイティブ戦略に則っているかで判断するように心がけています。
畑谷:本件はゼロベースからクリエイティブの方向性や伝え方をユニットベースさんと一緒に考えていただき、Webページだけでなくキービジュアルを新聞や雑誌広告の紙メディアにも展開できました(図03)。公開後の反応も好評で、「コピーとビジュアルが明快でインパクトがある」「破った紙から綺麗な手が出ていることで、紙カミソリ™の切れ味の良さが伝わる」といった声がありました。こうした反応が得られたのは、クリエイティブで伝えたかったコンセプトがきちんと届いた結果なので、私たちも満足しています。
本記事はWeb Designing 8月号のタイアップ記事を転載しております。