One’s View テーマ「オンライン配信」 小島香澄さん

 本記事は、2021年10月に発売された『Web Designing』10月号の「One’s View」の記事です。

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「参加しやすさ」と「交流しやすさ」

 今回のテーマは「オンライン配信」ということですが、コロナ禍の影響もあって、セミナーやイベントなどのオンライン開催がスタンダードになってから、すでに1年以上経ちます。私個人としては、やはり「参加しやすさ」という点で、オンラインで参加できるようになったメリットはかなり大きかったです。


 というのも、私が参加していたこれまでのイベントは終業後の19時~19時半頃のスタートが多かったのですが、会場までの移動時間も含めて考えるとその日の仕事量をある程度調整する必要がありました。大きなリリースと重なって仕事との調整が難しく、泣く泣く参加キャンセルをしたイベントもあります…。


 それが、コロナ禍によるリモートワークとの組み合わせにより、移動時間が無くなったことで手軽に参加出来るようになりました。以前であれば、「少し興味があるな」くらいのレイヤーだったイベントでも参加するハードルが下がったことで、自分の興味関心のあることに対して、素直に時間を使えるようになったと思っています。また、私は背が小さいので、座る席によっては投影されるものが見えづらいこともよくあったのですが、オンラインでは何の不自由もなく画面が見えるので、細かいところではありますが、小さな嬉しさも感じています(笑)。


 一方で、オフラインだからこその「交流しやすさ」というメリットもあったなと振り返ります。先日久しぶりに友人と食事をした際、知人とばったり再会しました(東京都の緊急事態宣言が解除されていた期間であり、利用したお店も滞在時間の制限を設けるなど、十分に感染症対策がなされている状況でした)。オフラインで開催されていたイベントの会場でよくお会いしていて、会うたびに「最近どう?」とお互いに近況報告しあっていた方です。私にとっても「ばったり会う」「立ち話レベルで最近のお互いの近況について話す」こと自体が本当に久しぶりの体験でとても嬉しく思うと同時に、こうした体験がまさにオンライン化によって奪われてしまったものだと改めて感じた瞬間でした。以前は終了後に懇親会を設けていたイベントも多くありましたが、「その場で会った人とふらっと話せる気軽さ」や「イベント終了直後の温度感を持ったまま感想を共有しあうこと」は、「Twitterでイベントのハッシュタグとともに感想をツイート」することでは代替できない大きな壁があると思っています。


 メディアなどでも推測されていることではありますが、おそらく今後コロナウイルスが収束したとしても、すべてがこれまでどおりオフラインに戻ることはないと思っています。特にWeb 業界は、コロナウイルス収束後もリモートワークを継続すると既に表明している企業があります。打ち合わせや商談、セミナーやイベントの開催など、オンラインでの実施が当たり前になっている状況で、「基本はオンライン」というスタンスを取るようなことも想像できます。だからこそ、オンラインでも問題なくできること、上述したようなオフラインのほうが適していること、それぞれのメリット・デメリットを考えながらイベントによってハイブリッドにしていくのが現時点での最適解なのではないかと考えます。その最適解を実現するためにも、早くオフラインでも気兼ねなくイベントが開催できる日が来ることを願っています。

2年前に登壇したイベントでは、終わった後に直接話しかけてくださった方もいました。
オンラインイベントだとこうしたタイミングが創り出せないことへの難しさを感じますね。

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