新人編集者 稲津の守・破・離 #02 入社早々、Xの運用を任されて

しゅはり[守破離]
〔武道・茶道で〕師匠の教える型を、はじめはまもり、やがて成長してやぶり、ついにはなれること。
_三省堂国語辞典 第八版より

 本企画は、雑誌やデザイン、Web等すべてにおいて未経験で入社した新人編集者・稲津が、編集長からの無茶振りに一所懸命応えていくさまを記録したものである。今回は、公式Xの運用編。突然、公式アカウントの運用を任されてからの約半年間を赤裸々に大公開する。

話してくれた人

入社2カ月でSNS担当を兼任

入社早々、私に与えられた課題はSNS運用であった。雑誌の制作フローに対する理解もままならない中、五十嵐編集長から「稲津さん、SNS運用をしてみる?」と無茶振りをされたのである。

Web Designingの公式アカウントとしては、X・Instagram・Facebookがある。Facebookについては、別の担当者が運用していたため、まずはXの運用を任されることに。

Xの運用にあたり、編集長からは「更新頻度を上げること」そして「編集部の雰囲気をカジュアルに届けること」の2つのオーダーを受けていた。そこで、各社のSNSの運用状況を調査しながら、『Web Designing』としてどのような温度感がいいのか、どういう投稿スタイルがいいのか検討を重ねた。

最終的には、運用している人間の人格が表に出過ぎないように注意しながらも、親しみやすさが出るような運用を目指すことにした。

初々しい初投稿。なぜか地下アイドルの自己紹介感がある。

暗中模索の投稿スタイル

これまで、編集部では、さまざまな投稿形式を模索してきた。2023年11月から2024年7月にかけて言えば、大きく3段階に分類できるだろう。

2023年11〜12月 ノンデザイナーによる画像で見せ方を工夫

2023年11月1日から、Xの運用を徐々に転換していった。基本的な投稿内容は、誌面紹介。たまに、編集部のさりげないつぶやきを混ぜる方針にした。

早速、誌面紹介を投稿するにあたって課題が発生。入社間もない私には、誌面の内容をどこまで販促として書き込んでいいのか判断がつきづらかったのだ。SNSの運用を一任されていることから、都度、編集長に投稿内容の確認を取るリソースは確保できない。そんな中、私が提案したのは「サムネイル作戦」であった。

他社メディアのSNSアカウントを見ていると、その多くがWebサイトと連携しており、サムネイルが目立つようになっている。また、メーカーの場合は、SNS投稿用に画像を制作しているケースが多く、文字だけの投稿に比べると圧倒的に見栄えがいい。自分で画像をつくり、誌面内容のポイントだけ抽出すれば問題ないだろう。そう腹を括って提案をしたところ、あっさり提案が通ったのだ。

次なる課題は、どうやって画像を制作するかである。当時、すでにPhotoshopやIllustratorのアカウントを持っていたものの、使い方がわからなかったため、PowerPointで制作することにした。毎日投稿するにあたって、スピード感を持って制作できる方がいいと判断したのだ。

生粋のノンデザイナーである稲津が力技でつくっていた画像

運用開始から1カ月が経ったころには、「PowerPointからスタートしましたが、先週からはcanvaを、そして来週投稿予定からはAdobe Expressを使って画像を作成しています」と投稿している通り、さまざまな画像制作ツールにチャレンジしはじめた。

また、運用開始から2024年6月までは、誌面紹介の投稿にリプをつなげる形で雑誌購入のURLを記載していた。これは、当時のXのアルゴリズム上、外部URLが記載されたものについては、インプレッションが下がるとされており、リプにつなげることで対策を取ることにしたのだ。

2023年12月〜2024年6月 誌面の一部を切り取り見栄えをよくするように

2023年12月発売号が出るタイミングで、稲津の画像制作のクオリティには限界があることから、誌面の一部を切り取る方針に転換。同時期に、投稿の冒頭に【Web Desgining⚪︎月号、発売中!】という文言をつけることで、タイムラインで目立つように工夫をしはじめた。

こうした工夫が功を奏したのか、ちょうどこのタイミングからXのフォロワーが伸び始める。

Photoshopで画像の切り取り方を覚えたのはこのころだった

この頃、Web Designing公式Xにゴールドバッチが付いたことで、長文投稿ができるようになった。しかし、140字を超えると予約投稿ができないことや、タイムラインに載った場合、文章の隠れるタイミングが予測できないことなどから、誌面紹介については、140字以内での投稿を継続することにした。

2024年6月〜現在

これまで、誌面紹介では内容の概要を紹介するようにしていたが、編集長からの提案を受け、各企画の内容の一文を抜き出す方針に転換してみた。アルゴリズムの変更に対応すべく、誌面の紹介投稿にそのまま購入URLを記載して、一つの投稿で完結するようにしている。この結果がどのように出るかはまだ先の話だが、今後も投稿形式をブラッシュアップしていきながら、最適な形を見つけていきたいと思う。

名言botのような投稿に方針転換中

おまけ:恐怖! 長文投稿トラブル

ここから先は、Xの運用をしていく中で苦労した点について話そうと思う。

先ほども書いた通り、140字を超える長文投稿は予約ができない。そのため、雑誌の予約開始や発売日、年越しの長文投稿などは緊張感が高まる。なぜなら長文投稿は、不具合が発生しやすいのだ。

一番困るのは、長文投稿の直後は画像が表示されても、数時間経つと画像が表示されない不具合である。

休日に社用PCから長文投稿を行った後、私用外出していたところで画像の不具合が発覚したことがあった。慌てて自宅に戻り、再投稿を実施。何度、五十嵐編集長に「大変申し訳ございません! あと◯◯分くらいで自宅に帰れます!」というチャットを送っただろうか。また、2023年から2024年の年越しの瞬間に行った長文投稿も、不具合で画像が表示されず、再投稿を行った。朝起きて編集長からのチャットを見た時は、新年早々顔が白くなった。思い出しただけで胃が痛い。

こうした不具合は、現在も原因および対処法がわかっていない。どうやら調査の結果、X上での画像投稿が一時的に急増すると発生するらしいことがわかった。しかし、明確な対処法がわからない以上、私はこれからも長文投稿に怯える生活を送るしかないのだろう…。世の中の公式アカウントの中の人も同じ気持ちであると思えば、少しだけ気がまぎれるかもしれない。
※対処法のわかる方がいたら、Web Designing公式XのDM稲津宛でご連絡ください。

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