
社会を変える「創造力」
「つくる」スキルにいまできること
外出自粛や、人と人との接触機会削減を推奨する状況が、社会のいろいろな場所で「ものとこと」のオンライン化を推し進めました。必然的に、Webサイトやサービス、アプリなどがこれまで以上に重要となり、またこれまでとは違った役割や使い方が求められるようになりました。
例えば、人の密集や対面での面会を避けながら経済や文化を停滞させない仕組み、心に響くメッセージを伝えられるコンテンツなど、人の動きを促すために、オンラインとの接点が必要不可欠になっているのです。
どんなWebビジネスにも対応する特効薬が存在しないのと同じように、こうした課題を一気に解決できるイノベーションはまだ生まれていません。しかし、これまで模索しながら培ってきたデジタルで「つくる」スキルは、いま対処すべき課題に向き合うための力になるはずです。
テクノロジーとライフスタイル
技術を活かした社会のためのアイデアを議論「VS COVID19 アイディアボックス」
Code for Japan:https://covid19ideabox.code4japan.org/
政府の新型コロナウイルス感染症対策テックチーム シビックテック・プロジェクトの取り組みの一環として、Code for Japanが開設。テクノロジーを活用したより良い社会のためのアイデアを募集し、政府職員も参加して意見交換が行われました。特にオープンデータや電子署名活用に関しては具体性のある提案もあり、活発に意見が寄せられていました。


チケット販売の仕組みで人の密集を回避「入場日時指定前売りチケット」
福田美術館:https://fukuda-art-museum.jp/
5月23日から開館を再開するにあたり、前売りオンラインチケットを全面的に「入場日時指定」へ改修。購入の際に日付と入場時刻を選択し、来場時はスマホ画面またはプリントでQRコードを表示。受付で氏名・連絡先を記入する(※)手間も省略できます。退出時間は指定されません。開館を再開した多くの美術館・博物館で事前予約制が導入されています。


クリエイティブとコミュニケーション
集まれない状況から生まれた熱量ある映像 CM「ポカリNEO合唱」篇
大塚製薬:https://pocarisweat.jp/cmgraphic/pocarisweat/
企画開始は2019年10月。新しいかたちの「合唱」をテーマに多くの学生に集まってもらい撮影する予定でしたが、関係者の安全を優先し、2月下旬に撮影を断念。ブランドメッセージや企画コンセプトは変えず、出演者各自の自撮り映像を編集する形でCMにしました。臨機応変な発想が視聴者にも伝わり、ポジティブな反応が多く届きました。



クラウドファンディング国内最高額を達成「ミニシアター・エイド基金」
MOTION GALLERY:https://motion-gallery.net/projects/minitheateraid
休館を余儀なくされた全国のミニシアターへの資金提供を呼びかけ、3億円を超える賛同を集めたプロジェクト。映画監督・俳優らのメッセージ動画、メルマガなどの熱量ある情報発信に加え、リワードに映画人有志から寄せられた222作品のストリーミング配信も用意され(視聴可能本数は金額別に設定)、強いコンテンツ力が支えになりました。


コンタクトレスなビジネス
“リアルの代替”でないオンライン展示会「REMOTEN(リモテン)」
博報堂マグネット:https://www.remoten.jp/
ファッション業界は展示会がセールスの起点。REMOTENはそれをオンライン上で開催するプラットフォームです。短期間かつリモートで準備でき、プレス/バイヤーを分けた開催、リース予約など業界独自の事情に配慮。“立ち話”的な会話ができるコミュニケーション機能も特徴です。リアルの代替に留まらず、新しい商談の場となる可能性を提示しています。

冷凍・冷蔵メニューを店先でPayPay無人販売
お好み焼き・もんじゃ焼き「くるり」:http://www.scn-net.ne.jp/~kururi/
客が店先の冷蔵庫から商品を出し、PayPayで支払うスタイルの無人販売。以前から食材ロスや来客ムラなどの対策として無人冷凍販売の可能性を考えていた同店の城戸﨑さんが、店内飲食を休業するタイミングで、家にあった冷蔵庫を使って迅速にスタート。現金も併用中ですが、お金を置いていくのが不安な場合や、小銭がない時でも安心して支払えます。


コミュニケーションのかたち
代替ではなく補完としてのオンライン接客の可能性
株式会社オールユアーズ:https://store.allyours.jp/

- 木村昌史さん
- 代表取締役 ライフスペック伝道師
私たちは「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトに、クラウドファンディングで支援者を集めながら、Webに軸を置いてブランドを創造してきました。お客様とのコミュニケーションのあり方を追求してきた結果、実店舗も持つ形となりましたが、その店舗が休業を決めた時、私たちはもう一度、Webのコミュニケーションの可能性を探ってみることにしたのです。
その一つが「個別Zoom接客」です。1回40分の枠をお客様に予約していただき、私が1:1で対応しています。
実店舗は実物を確認できることが強みだと思っていましたが、Zoom接客をしてみると、背中を押してほしい、店員と話した事実による納得感がほしいという人が多いことに気付きました。着られるサイズは数字で判別できますが、ブランド側の意図も含めて、それがベストな選択かどうか、ひとりでは確信できないものです。また、画面共有でWebストアをご案内することでUIの改善点に気付くなど、多くの発見がありました。
遠方の方や、SNSで発信してくださる方も多く、実店舗の代替というより補完する位置付けになってきたことで、逆に実店舗をもっとスペシャルな位置付けにする必要を感じ始めました。当面はオンラインでの接客を続けながら、店舗の価値を高めるためにできることを社内で議論していきたいと思います。


共創するブレストで問題解決の処方箋を提供
面白法人カヤック:https://www.kayac.com/

- 唐沢浩介さん
- クライアント事業部 Creative Producer
3月、日本でもロックダウン、リモート環境へのシフトが現実的になる中、自粛ムードや経済停滞への不安から今後の打ち手に悩む企業のために、私たちにできることはないかと企画を始動しました。その中で出てきたアイデアが、クリエイティブ専門のクリニック「KAYACLINIC(カヤックリニック)」です。
クリエイターは顧客の悩みを解決する医者同様だと考え、オンラインのブレストを通じて悩みに「アイデア処方箋」を提供するというものです。私たちのリモートワークの経験やデジタル施策の知見を存分に活かせると考えました。
これまでに、不動産コンサル関連、スポーツ関連、情報・通信、小売など多様な分野で相談をいただきました。本当の病院からの相談には、チーム一同驚きました。内容は、物理的に困っている(仕事現場がリアル空間)、この機会に事業の再構築やDXを進めたい、Web施策を見直したいなどでした。
私たちはパートナーと共創するブレストを行い、問題解決していくプロセスを大切にしています。一緒に考えて答えを導き出し、KAYACLINICの体験が終わっても社内でブレストをする際のヒントになれば良いと考えています。今後はこの仕組みをアップデートし、Newnomalの環境に向けたサービス展開を行っていく予定です。


