第19回「あみだく詩゛?」

 

たどることを始めたのは言葉、詩、小説、本の中。(こんにちは、最果タヒです。詩を四苦八苦しながらハックするタイプの人間です。今年も一年ありがとうございました。来年も良い年になりますように。)

指先で、視線で、たどっていくということは、現実から未来へと向うことでもあります。たとえば本の中。今読んでいる言葉の前と後にも言葉があり、それらを視線がたどっていくというその行為は、言葉を未来から過去へと変えていく作業です。時間のながれというのはどうしたって見えないけれど、本を読むとき、それはちゃんと形になっているのだと実感します。

年末ですから詩のあみだくじを作りました。線の先に答えを置くのではなく、たどる線そのものが詩であり、くじとなっています。本を読むこと、未来をたどることそのものを、そのまま未来を占うおみくじに。生きるということは、長いくじを読み上げるという、行為そのものかもしれません、なんてことも言ってみますが、まあとにかくみなさま、よいお年を。

 

 

Text:最果タヒ
詩人/小説家。第44回現代詩手帖賞、第13回中原中也賞受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(講談社)、『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)。小説に『星か獣になるなる季節』(筑摩書房)、『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』(講談社) http://tahi.jp/
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