[バズ施策:五五七二三二〇]モテ女子の秘密?

やっぱりモテる要素は、ミステリアスさとギャップですかね‥‥。さて今回紹介するのは、突如デビューした謎のガールズバンド「五五七二三二〇」です。デビュー曲のMV が公開2週間で200万再生され話題になり(先日リリースされた第2弾シングルも評判)、当初、ネット上では「中学生とは思えないサウンド」「脅威の新人あらわる」「この女の子たちは何者!?」という噂でもちきりでした。その後、いろんな憶測が渦巻く中、彼女らの正体はアイドルの「私立恵比寿中学」、そしてこれはココナッツサブレ50周年企画であることが明らかになります。

これほど大きな話題を生んだ理由は、緻密に計算されたコミュニケーション設計。登場時の“ミステリアスさ”とタネ明かし後の“ギャップ”に大きく起因しています。バズを生むにはシェアされることが必須で、そのためにはユーザーが抱く“コンテンツの読後感”、いわゆる「何か言いたくなる要素」が大事。ティザーで公開された謎だらけのMVはモヤッとした後味が残ります。そこからユーザーは“答え合わせ欲求”を満たすため、シェアへと行動を移すのです。逆に、すぐにすべてが理解できてしまうコンテンツは、見て満足して終わってしまいます。つまり、「アイドルのエビ中が、ココナッツサブレ50周年のためにかっこよくてクールなロックバンドを結成」と順当な情報伝達でローンチした場合、おそらくバズは生まれていないはずです。

そして本作には、広告だったと種明かしされた後でもバズの加速を弱めない力が! それが、このクリエイティブと商品との“ギャップ”です。こんなにもド派手な登場をはたした施策の正体が、「(古くから親しまれてきた)おとなしくて地味なココナッツサブレだった!」という驚きが、シェアしたい欲求を生み、二次的なバズを作り出しています。やはり人は昔から、ミステリアスとギャップに弱い(笑)。

 

【Buzz】五五七二三二〇

 

ギター5人、ドラム3人という超変則編成の、長い前髪のあやしい女子中学生。激しいドラムと歪んだギターに、トリッキーなリフ(曲中で繰り返される印象的な短いフレーズ)、可愛らしく囁かれる歌詞など話題性にあふれる要素が満載。また、五五七二三二〇は“ココナッツサブレ”の語呂合わせ、50周年だから曲名は「半生記優等生」などなど、推測できるポイントがさらにバズを生む(左はファーストシングル「半生記優等生」、右はセカンドシングル「ポンパラ ペコルナ パピヨッタ」のMV)

 

ナビゲーター:眞鍋海里 Kairi Manabe
Contents Planner/Interactive Planner 1982年、宮崎市生まれ。タワーレコード、Webプロダクションを経て、BBDO J WESTに入社。コンテンツプランナーを務める。2013年に手がけたタイヤ通販会社AUTOWAYのムービー「雪道コワイ」は世界220カ国以上でバイラルし、動画は1,000万回以上の再生を記録して話題となる。 http://www.bbdojw.com/
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