GIFアニメーションのマーケティング●特集「動画マーケティング」

2013年から見られた動き

InstagramやVineなど、短い時間制限のある動画が人気を集める一方で、同じように短い時間の動画フォーマットとして、GIFアニメーションが注目を集めている。2013年ごろから「reaction GIF」(01)と呼ばれる、GIFアニメーションを使って感情を表現する方法が人気を集めはじめ、SNSなどで絵文字と並んでコミュニケーションの一部として使われることが増えてきた。その流れを受けて、TwitterやGoogle+、今年の6月にはFacebookが、それぞれのフィード内でのGIFアニメーションの再生をサポートしだした。

各SNSのフィード内でGIFアニメーションを使えば、他のポストとの差別化が可能だ。当然、その延長上には、マーケティングツールとしての活用も考えられることとなる。

 

Googleトレンドによると、2013年以降「reaction GIF」の検索機会が飛躍的に上昇していることがわかる https://www.google.com/trends/explore#q= reaction%20gif&cmpt=q&tz=Etc%2FGMT-9

 

踏まえたい4つの着眼点

ここでは、実際に企業がGIFアニメーションをマーケティングツールとして活用する要点を4点にまとめてみた。

 

① プロダクトを取り上げる

② ストーリーを伝える

③ 企業としてのパーソナリティを加える

④ 企業文化を伝える

 

この4つの着目点を照らし合わせながら、実際のマーケティングに活用した事例を見てみよう。

①については、短時間でループするという特性を活かし、例えば新プロダクトの際立った機能をまとめたり、スニークピーク(公開前の関連映像)を見せるのに活用する。プロダクトに対する期待感を高めていけるだろう。

ここで挙げた事例は、8月21日にファストフードレストランの「Wendy's」がFacebookで公開した作品。新商品のサラダのプロモーションで、材料と調理方法をGIFアニメーションで表現した。11月現在で1万4,000人を超える「いいね!」を獲得し、エンゲージメントの強化に成功したといえる。

 

Wendy's

野菜がどんどん追加されて新商品のサラダになるというもの。8月下旬から11月現在までに、1万4,000を超える「いいね!」と、コメントが265件、シェアが358件に達している

 

②は、静止画をつなぎあわせて動きを表現できるため、時間経過を伴う変化(ストーリー)を短く表現するのに適している。

事例の一つが米国のNFLチーム「Houston Texans」のツイートだ。ケーブルテレビのHBOと共同制作したドキュメンタリードラマ「Hard Knocks」シーズン10のプロモーションとして、Twitter上でスニークピーク(番組の関連映像)を取り上げて、ファンの期待感の向上を図っている。さらにもう1つは、ニューヨークタイムズが2014年に自社サイトをリニューアルした際、これまでのサイトデザインの変遷を見せるためトップイメージをつなげたGIFアニメーションを自社サイトで公開した。これは、大きなバイラルを生み出すことに成功している。

 

Houston Texans

米国NFLのチームを題材としたドキュメンタリードラマ。そのスニークピークをチームのTwitterアカウントで投稿し興味喚起を促している

The Evolution of The New York Times Homepage, in 1 GIF

雑誌『Atlantic』がニューヨークタイムズのサイトリニューアルに合わせた記事の中で紹介。サイトデザインの変遷について短い再生時間の中で表現している

 

続いて③は、企業としてのパーソナリティを伝えて、ブランド・アウェアネス(ブランドへの認知)の向上につなげるというもの。例えば、SNS上でユーザーとのやりとりの中で、ユーモアあふれるGIFアニメーションで返信すれば、消費者に対して機転が利くなどポジティブな印象を与えることもできる。

ここも事例を2点挙げたい。一つがWebサービス会社「Buffer」のツイート。ユーザーとの対応にGIFアニメーションを使うことで、コミュニケーションを円滑にし、ブランド・アウェアネスおよびロイヤリティを高めた。もう一つが、ソーシャルメディア管理ツールの「Hootsuite」のツイート。クレーム対応にGIFアニメーションを使い、同じくロイヤリティを高めようとしている。

 

Buffer

ユーザーからの感謝の言葉に対して(左)、照れているGIFアニメーションを返信して(右)、企業としてのパーソナリティを出している

Hootsuite

ユーザーからのクレームに対して、処理が完了したことをGIFアニメーションを添えて報告し、ユーザーとの距離感を縮めることに成功している(下図)

 

最後に④は、特に企業文化を象徴する部分をGIFアニメーションで表現。例えば、笑えるコンテンツを用意してバイラル効果を生み出せれば、ブランド・アウェアネス(認知)の向上も期待できる。

これに相当する事例としては、企業向け動画共有サービス「Wistia」がある。これもTwitterで投稿されたもので、社員紹介をGIFアニメーションで表現しながら、企業文化や社員の印象づけを試みた好例だ。

 

Wistia

イベントのアフターパーティでのネットワーキングのために、参加する社員の紹介をGIFアニメーションで表現

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