家庭向け撮影用バック紙販売「ぐらこころ」|写真をシェアする時代のアイデア商品「おうち写真館」

SHOP: ぐらこころ

創業 :2014年12月1日

スタッフ数 :5

取扱商品 :グラフィックグッズ

商品点数:約25点

SNS:インスタグラム フェイスブック

ひな祭り準備の大変さが着想となった「こんなのあったらいいな」

ネットショップ「ぐらこころ」の主力商品「おうち写真館」は、家庭で気軽に使える写真撮影用背景のバックペーパーだ。A0サイズのポスターのようなものだが、記念日に使える文言が入っていたり、人物が入る部分をあけて要素を配置していたりと、貼るだけで家庭で写真館のような撮影ができるよう、さまざまな配慮がされている。この商品アイデアを思いついたのが、ぐらこころ代表の瀬上良子さん。

「一昨年7月に娘が生まれて、育児でいっぱいいっぱいのなか、昨年の3月に初めてのひな祭りのお祝いをする準備をしていたんです。そんなときにSNSを見ると、『ひな祭りだからこんな飾り付けをしました』という投稿を見かけて。私もちゃんとやってあげたいなとは思ったんですけど、そこまで手が回らなくて。こんなときに、貼るだけで簡単に飾り付けができるものがあったらいいなと思ったのが、おうち写真館を作るきっかけでした」(瀬上)

ママになる前の瀬上さんは、広告代理店で制作部門のディレクターを務めていた。結婚後退職し、家事育児と並行しながらも自分発でできるサービスを立ち上げたいと考えていたという。

「ひな祭りが終わった翌日には、知り合いのデザイナーさんに電話をして動きだしました。それまでの制作ディレクターとしての経験、グラフィックデザインが好きなこと、そしていま自分が母親である視点のすべてが繋がると思い、これしかないという感じでした」(瀬上)

現在は、瀬上さんが企画・ディレクションを手がけ、3人のデザイナーとマーケティングを担当するご主人とで運営している。デザイナーの一人である羽根千尋さんは、プロジェクトに声がかかったときの印象をこう話す。

「誘われたときに、すごく楽しそうだと思いました。自分でも子供向けの商品を作るというのはずっとやりたいことだったので。最初の打ち合わせのときにラフを用意していって、打ち合わせ中もどんどんアイデアが出てきて」(羽根)

「羽根さんは二人の男の子のママで、デザインだけでなくイラストも描けるんです。実際に何種類か作ってみて、グラフィック的な絵柄はアプリっぽく見えてしまうので、アナログ感が大事だとわかりました。何か1アイデアを加えるということも大事にしていて、たとえば1枚の紙でなく本当に看板などを貼ったような立体感を出す工夫をしたり。その位置に頭を合わせるとかぶって見えるよう、王冠を描いたり。これは『1歳くらいの子供はかぶり物がいやですぐに脱いでしまうので良い』と共感してくれるお母さんが多かったです」(瀬上)

●01 おうち写真館「moon&star」を前に撮影したところ(上)。かわいらしいモデルは羽根さんの次男、良太郎くん。一見すると背景に多くのアイテムを貼ったように見えるが、立体感が出るよう工夫した見せ方をしていて、1枚の紙を貼っているだけだ。こうした賑やかなものから上品なものまで、さまざまなバリエーションがある(中)。開発段階では、背景色の違いなどさまざまなバリエーションを検討している(下)。これは頭の位置に王冠を描く工夫をしたもので、黒い線のみで描いたバージョンで白と薄い水色の背景の2種類が採用となった

撮影方法など丁寧な解説で購入後の利用をフォロー

ぐらこころのサイトでは、商品説明やギャラリー、お客さまの声など丁寧なコンテンツが用意されている。

「商品自体が他にはないし、サイトで写真を見るだけだと何だかわかりづらいものだと思うんですよ。特に立体感を出しているものは、そこに映っているガーランドや小物を売っているのかなと思う人もいるかもしれないですし。そういうところを、サイトでなるべくわかりやすく伝えていきたいなと思っています。まだ手を付けられていないのですが、今後は使っている様子を動画で撮って公開するということもやりたいですね」(瀬上)

なかでも「使い方・楽しみ方」というコンテンツでは、おうち写真館を貼るにはどんなテープが良いか、どの高さに貼れば良いか、撮影の仕方、PCとスマホそれぞれの写真加工方法、撮影小道具の作り方など懇切丁寧な解説記事が用意されいる。

「せっかくお金を出して買ってくださったのだから、できるだけうまく撮っていただきたいと思っています。子供を撮るのって難しいじゃないですか。写真を撮るのはお客様なので、そのコツを記事でできる限りフォローするようにしています。また、買っていただいた方にはサイトで紹介している情報を凝縮した説明書をつけています。良い写真が撮れて初めて満足してもらえる商品だと思いますので」(瀬上)

瀬上さん自身も、娘さんの誕生日には、おうち写真館で記念撮影をしている。

「私が料理をしていたら、夫と娘でフォトセッションみたいなことが始まって。すごく楽しそうで良いなと思いました。パパが撮るのも良いんですけど、おすすめはセルフタイマーを連写してみんなで撮る方法ですね。これも近いうちに撮り方の解説をサイトで紹介したいと思っています」(瀬上)

●02 サイトはアイキャッチとして商品イメージを活かし、わかりやすいメニュー構成や導線で作られている(上)。「使い方・楽しみ方」ページでは、たとえば撮影の仕方を解説する際には、子供の目線の高さに合わせてしゃがんで撮影したほうが良いこと(中)、大きめに撮ってからトリミングした方がよいことなどを(下)、図版や写真を入れて丁寧に紹介している。独自性の高い商品を、対面ではなくネット販売するからこそ、こうした情報は親切すぎるくらいの配慮が必要になるのだろう

撮影会のレポートで楽しさを共有する

ぐらこころでは、不定期にリアルな場での撮影会イベントやワークショップを行っている。

「最初におうち写真館を作るときから、友人家族に集まってもらい撮影会を行いました。最近は、さまざまな方に参加していただいています。サイトに掲載する写真を撮るためという目的でやっていますが、実際に使ってもらってみてわかることもたくさんあります。それによって商品の色味や配置を調整することもあります。羽根さんに作ってもらった『家族ツリー』という商品は、クリスマスツリーをプリントしたポスターを自分たちでデコレーションして楽しむもので、これも使い方をイメージしてもらいやすいようワークショップを開催しました」(瀬上)

こうした撮影会やワークショップの様子もサイトで公開されていて、使っているシーンがイメージしやすくなり、楽しいさまが伝わってくる。

「おうち写真館は、みんなでリラックスして撮影する、その楽しい時間こそが価値だと思うんです。今日は子供とパパママで撮って、次は祖父母と撮って、今度は友達と撮ってと何度も楽しむことができます。さらにガーランドを足したり、上手に工夫してアレンジして使ってくださる方もいます」(瀬上)

「表面的にかわいいものはいくらでも作れるのですが、それぞれの家族が自由な楽しみ方で使っていただけるものを作るよう心がけています。家族ごとにオリジナルな使い方をしているのを見て、またアイデアが生まれます」(羽根)

先人が多くのものを生み出してきたいま、新たなものを生み出すのは難しくなっている。しかしながら、おうち写真館のようにSNSで写真がシェアされる時代だからこそ求められる新たなニーズも生まれてくる。こうしたアイデアの発見力も、ネットショップ運営に重要な才能だといえるだろう。

●03 ぐらこころでは、不定期に撮影会イベントを行い、そのレポートをサイトで公開している。被写体となる子供だけではなく、良い表情を撮ろうと格闘する父母の様子がわかるのも微笑ましい(上)。クリスマスツリーのデコレーションをして楽しむ商品「家族ツリー」も、使う姿がイメージできるようワークショップを行った(下)

販路拡大に効果絶大なInstagram

ネットショップでの販路拡大として大きく貢献しているのが、Instagramだという。1月から利用を開始し、フォロワーは9月末時点で1,200人を越えている。「4月頃から本格的に活用しはじめたら、売り上げがすごくあがって。Instagramを見ているママは、写真を撮るのが好きで、どういう風にしたら上手に撮れるかというアイデアを探している方が多く、そこにマッチしたのだと思います。タグでの回遊性が高いので偶然の出会いが多く、写真館ではなかなか受け入れられないペット撮影の背景に使うなど、お客様の利用の仕方から教わることもたくさんあります」と瀬上さん。 ぐらこころ Instagram

STORES.jp PRマネージャー 千田絵美さん

アイテムはもちろん、Webサイトなどのデザインもすごくかわいくて素敵だなと思っていました!

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