CMSの“先駆け”は、なぜ今も選ばれ続けるのか。データで紐解く「Movable Type」の真価と実力

CMS市場にはさまざまな選択肢が存在する中、長年にわたって信頼を集め続けている「Movable Type」シリーズ。2001年の登場以来、進化を重ねながら多様なニーズに応えてきたこのCMSは、いまもなお企業や大学、公共機関など幅広い現場で活用されています。本記事では、実際の導入企業の声や各製品の特徴をデータとともにひもときながら、Movable Typeがいまなぜ選ばれているのか、その“現在地”を明らかにします。

目次

「Movable Type」とは?

2001年、本誌『Web Designing』が創刊されたまさにその年、「ブログソフトウェア」として登場し、世界中にブログブームを巻き起こした「Movable Type」。当初から先進的なコンテンツ管理機能やテンプレートシステム、複数ブログ管理機能などを備えた同プロダクトは、その後、Webサイトを効率よく構築・管理するための「WebCMS」へと進化していきました。そう、今日、当たり前に使われているCMSの先駆けが、このMovable Typeなのです。

そしてMovable Typeは、今日においても、商用パッケージ型CMSの分野で、さまざまな企業や機関から“選ばれ続けて”いることをご存知でしょうか。小規模なブログから数万ページにおよぶ大規模な企業サイトに至るまで、国内50,000サイト以上で使われ、長年にわたって「シェアNo.1」の実績を誇っているのです(データの出展元は後述)。

ではなぜ、Movable Typeは多くのサイト管理者からの、そして制作者からの信頼と評価を得続けているのでしょうか。ここでは、その現状や理由を見ていきたいと思います。

9年連続シェアNo.1! 数字に見る「Movable Type」の評価

普段はなかなか見えてこないCMSの利用実態。そのため、Movable Typeがどういった分野で使われているのか、あまり知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、まずはMovable Typeについての利用状況を示すデータを見てみましょう。多くの人がイメージしている以上に、Movable Typeが選ばれていることがわかるはずです。

①商用パッケージ型CMSの分野におけるMovable Typeの国内導入シェアは「82.1%」(2023年度・本数ベース)。2015年〜2023年度まで9年連続1位を記録(*1)。
②日経平均株価構成銘柄225社のうち「64.4%」がMovable Typeを導入(*2)
③東証プライム上場企業1,645社のうち「45.5%」以上がMovable Typeを導入(*2)
④国立大学85校の「88.2%」がMovable Typeを導入(*2)
⑤私立を含む国内の全798大学のうち「45.6%」以上がMovable Typeを導入(*2)

(*1)出典:富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場』2016年版〜2024年版(2015年〜2023年度実績)
(*2)出典:Movable Typeソフトウェア版のライセンス登録およびクラウド版の契約情報に基づいたシックス・アパートによる調査

このように、Movable Typeは安全性やカスタマイズ性、柔軟な管理・運用といった機能を重視する大企業や官公庁、国立・私立大学などの教育機関まで、幅広いユーザー層から長く支持を得ているのです。

2015年度から9年連続で商用パッケージ型CMSの国内導入シェア(数量ベース)1位を獲得している「Movable Type」。またライセンス登録企業としては、日経平均株価構成銘柄(225社)のうち64.4%、東証プライム上場企業(1645社)のうち45.5%と、幅広い企業に導入されています。

【利用環境/用途別】利用者の“ツボ”を押さえた製品ラインナップ

Movable Typeが支持される理由の一つに、利用環境や用途に応じて複数の製品タイプが用意されている点が挙げられます。ここでは、それぞれの製品の特徴や、導入時のおおよその費用感について紹介しましょう。

なお、Webサービス型の「MovableType.net」は、他のMovable Typeシリーズとは仕様や搭載機能が異なりますが、それ以外の製品はいずれもソフトウェア版のMovable Typeをベースとしており、基本的な機能は共通しています。

MovableType.net

MovableType.net」は、Webサービス型のCMSで、サーバの管理や再構築が不要な点が特徴です。標準テーマのカスタマイズだけでも、簡単に見栄えのよいサイトを構築できます。

全プランにフォーム機能が標準搭載されており、上位プランではワークフロー機能やステージング機能も利用可能。これにより、コストを抑えながら運用の効率化・品質向上・リスク管理を実現できます。

料金は年間契約の場合、テクニカルサポート費用を含めて税込27,500円から利用可能です。

Movable Type ソフトウェア版

Movable Type ソフトウェア版」は、自社サーバにインストールして利用するパッケージ製品です。静的生成による高速な表示が可能で、豊富なプラグインを活用した柔軟なカスタマイズにも対応しています。

自由度の高いサイト構築やオンプレミス環境との連携を求める企業に最適です。ライセンス料金は税込99,000円から(初年度テクニカルサポート費用を含む)となっています。

Movable Type クラウド版

Movable Type クラウド版」は、クラウド環境にインストールされた最新版のMovable Typeを利用できる、マネージド型のサービスです。サーバ管理やアップデートといった煩雑な作業が不要で、高速な動作と高い安定性を備えている点が特長です。

全プランにサーバ配信機能が標準搭載されているなど、クラウド版限定の機能も利用可能です。料金は月額5,500円(税込、テクニカルサポート費用含)からと、手頃な価格設定となっています。

Movable Type Premium / Movable Type Advanced

エンタープライズ向けのソリューションとして、上位版の「Movable Type Premium」と「Movable Type Advanced」が用意されています。

「Movable Type Premium」は、ハイエンドな機能を追加した上位モデルで、上場企業やコンプライアンス管理を徹底したい企業に適しています。一方の「Movable Type Advanced」は、商用データベースへの対応やLDAPディレクトリとの連携など、大規模な運用環境に特化した製品です。なお、同製品をベースにした「Movable Type Premium (Advanced Edition)」 も用意されています。

※料金の詳細については、シックス・アパートまでお問い合わせください。

Movable Type AMI版

Movable Type AMI版」は、Movable Typeがあらかじめインストールされた、すぐに利用可能なAmazon Machine Image(AMI)です。Amazon Linuxをベースに、Movable Typeの動作に必要なミドルウェアやPerlモジュールが事前にインストール・設定されており、導入後すぐに運用を開始できます。

AWS Marketplaceから購入可能で、初期構築の手間を大幅に軽減できるのが特長です。

※料金の詳細については、シックス・アパートまでお問い合わせください。

制作会社・導入企業に聞いた「Movable Typeのココがスゴい!」

では、Movable Typeを導入している企業や教育機関は、どのような点を評価して選んでいるのでしょうか。ここでは、実際に利用している導入企業や制作会社の「生の声」を紹介します。

MovableType.net

マツモトファインケミカル株式会社|コーポレートサイト
制作会社:株式会社ステッチデザインラボ

「Webサイト制作に必要な機能がもとから全て揃っており、ブラグインを追加する必要がない点や、CMSのバージョンアップが自動的に行われ、セキュリティ的にも安心な点が決め手となりました。『Movable Type ソフトウェア版』と同じように独自のテンプレートを作成することも可能で、自由度が高いことも魅力です」(制作会社より)

Movable Type ソフトウェア版

株式会社ネットフォレスト|コーポレートサイト
制作会社:株式会社ネットフォレスト

「2009年ごろよりクライアントのWebサイト制作にMovable Typeを利用してきており、自社のサイトの基盤としても利用しています。Movable Typeの優位性は高いセキュリティを保持しやすいこと。外部からどんなCMSを使っているかがわかりにくく、耐障害性が高いのでお客様に提案しやすいです」

Movable Type クラウド版

株式会社インボイス|コーポレートサイト
制作会社:C-M-P株式会社

「マネージドサーピスであるため、CMSの脆弱性対応などの保守・運用業務にリソースが割かずに済むため、必要なサイト構成やベージ設計、コンテンツラインナップの企画に時間と力を注ぐことができました。専門知識のない人でも情報更新がしやすく、CMSに触れたことがない初心者でも扱いやすくなっている点も非常に好評です」

Movable Type Advanced

住信SBIネット銀行|住信SBIネット銀行 公式サイト
制作会社:株式会社COLSIS

「Movable Type SmartSync Pack(COLSIS社開発)も導入し、すべてのコンテンツを静的配信にすることでセキュリティに配慮したシステム設計・構成を行いました。住信SBIネット銀行様がパートナー企業へ銀行機能を提供するBaaS(Banking as a Service)である『NEOBANK®』サービスの親和性を考慮し、複数の提携先に配信する仕組みも実現しています」(制作会社より)

Movable Type AMI版

株式会社イースリー|COACH UNITED
制作会社:株式会社アークウェブ

「高トラフィック対策として、Amazon EC2での構築を前提にMovable Typeに最適化された環境構築の手間を削減できる『Movable Type AMI版』を採用しました。Data APIを活用した無限スクロールでユーザビリティを向上させ、リピーター率70%超えを実現しました」

※シックス・アパートが公開している導入事例の一部を抜粋・再編集して掲載しています。

次期バージョンもリリース間近! Movable Typeのこれから

Movable Typeを開発するシックス・アパートはこれまで、現場の声を反映しながら効率化や操作性の向上を追求しつつ、互換性や安定性も重視した改良を積み重ねてきました。その結果、最新の技術や運用環境にも適応しながら、堅実な進化を遂げています。

こうした姿勢は、日々の更新作業を担う運用担当者はもちろん、既存資産の活用や安定的な運用を重視するエンタープライズ企業や大学のWeb部門からも高い信頼を得ています。

2025年4月に公開された最新版「Movable Type 9」のデベロッパープレビューにおいても、そうした“地に足のついた”進化の方向性が随所に見られます。

たとえば、コンテンツ制作現場の効率化を図る管理画面の操作性向上や、リッチテキストエディタの刷新、安全性・安定性・互換性を重視した各種機能強化などが挙げられます。これにより、より使いやすく、安全で安定したWeb運用環境の構築が可能になるでしょう。

今後CMSを選定する際には、Movable Typeを選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

文:小泉森弥 写真提供:シックス・アパート株式会社

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