ルーキーズキャンプ開催レポ①|若手Webデザイナーが挑んだ「伝えるデザイン」を学ぶ充実の4日間
Web制作の実務に求められるのは、見た目の美しさだけでなく、「目的を達成するデザイン」。ルーキーズキャンプのWebデザイナー養成研修では、実際のプロジェクトに近い条件のもと、受講者が自らの思考力と提案力を磨きながら課題に取り組みました。現場経験豊富な講師陣からのフィードバックやプレゼンテーション演習を通じて、「相手に伝わるデザインとは何か?」を深く掘り下げた4日間。その研修の様子を振り返ります。

受講者

菅野瑛子さん
株式会社エスケイワード所属。2022年に入社し、デザインチームの一員としてアプリのデザインなどを担当。デザイン・テクニカル・ディレクションなどのスキル磨くため、Webデザイナー養成研修に参加。

大柳千羽鶴さん
株式会社エスケイワード所属。大学時代にデザインを学び、2023年に新卒で入社。デザインチームに所属し、Webやシステム系のUIデザインを担当。
講師

金 成奎さん
UI/UXデザイナー/Webデザイナー
制作会社・事業会社などで行政・保険・交通・教育分野でUIデザイン・ビジュアルデザイン・アートディレクションに従事。デザインのメソッドを体系化した著書『ウェブデザインの思考法』(マイナビ出版)を執筆。
デザインの現場で感じた“自分に足りないもの”
──まずは、ルーキーズキャンプのWebデザイナー養成研修に参加したきっかけを教えてください。
菅野瑛子(以下、菅野) デザインチームでWebや紙媒体の制作に関わって2年半ほどになりますが、Webデザインの進め方に課題を感じていました。自分のキャリアについても少し悩んでいたところ、上司に相談した際に「こういうキャンプがあるよ」とルーキーズキャンプを紹介してもらい、参加することに決めました。
大柳千羽鶴(以下、大柳) 私は新卒入社して3年目になりますが、これまで外部の研修やイベントに参加する機会がなくて。一度参加してみたいという気持ちがあったんです。ちょうどそのときに上司からルーキーズキャンプの案内があり、「せっかくなら挑戦してみよう!」と思って参加を決めました。
──キャンプに参加するにあたって、期待していたことは何でしたか?
菅野 正直、最初は「キャンプって何をやるんだろう?」という印象でした(笑)。でも、Webデザインの企画・構成や情報設計、分析といった制作後のプロセスまで、一連の流れを体系的に学べる点に魅力を感じていました。
普段からデザインの業務には携わっているのですが、先輩の仕事を「見て覚える」だけだったので、デザインの考え方を基礎からじっくり学べる機会はとても貴重でしたね。
大柳 私は最初、「制作ツールの使い方が中心になるのかな」と思っていたんです。でも実際は、企画から最終的なプレゼンテーションまで、かなり幅広い内容でデザインを学べたので驚きました。特に弊社の制作体制では情報設計の部分をWebディレクターが担当することが多いので、その部分から取り組めたのはよい経験となりました。
実践的なカリキュラムから得られたユーザ視点の重要性
──全4日間の研修を受けてみて、苦労されたことはありますか?
菅野 大きく2つあります。1つ目は、私はWebサイトの情報構造をつくる作業自体が初めてだったんです。なので、情報分析の結果をどのように制作に反映させればよいのかわからず、一度形にしてみた後で「もっとこうしておけばよかった!」と気づくことが多くありました。
2つ目は、ビジュアルデザインへの落とし込みです。設計に基づいてワイヤーフレームをつくっても、それをどのようにビジュアルに展開するかが難しく、限られた時間の中で進めるのは大変でした。

大柳 私は、カリキュラムの初期段階にあった「ユーザ分析」の工程が難しかったです。「クライアントがどんな課題を抱えているのか」を探るプロセスに戸惑い、最初はどこから手をつければよいのか迷いました。ビジュアル制作に入ってからは、参考になるサイトを探す作業に時間がかかってしまい、時間配分の難しさも痛感しました。
──講師の金(成奎)さんから、印象に残るフィードバックはありましたか?
菅野 はい。一番印象に残っているのは、最終プレゼンでいただいたサイト構成に関するフィードバックです。私のテーマは採用サイトで、「メインビジュアル→メッセージ→お知らせ→アバウト→インタビュー」という順番で構成していました。そのとき、「働いている人の姿が見えるコンテンツは、もっと上にあったほうがいいんじゃないか」と指摘されて、「確かにそのとおりだな」と納得しました。
大柳 制作の途中で一度進捗を報告した際、金さんから「見た目の単調さ」を指摘されたことが印象に残っています。キービジュアルと同じ色味のままバナーを配置していたため、ほかの要素と馴染みすぎてしまっていたのです。
そこで「むしろ白を基調にして、コントラストを付けたほうがいい」とアドバイスをいただきました。自分では気づかなかった視点だったので、「目から鱗」の気づきでしたね。

成長を実感し、現場に学びを活かす
──比較的短期間の研修でしたが、成長を実感できた部分はありますか?
菅野 全体的にスキルアップできた実感はあるのですが、なかでも大きかったのは「0から1を生み出す」経験ができたことです。構成からビジュアルへの落とし込みまで、一連の流れを迷いながらも最後までやりきったことで自分なりに成長を感じられました。
その効果は、すでに進行中の案件にも少しずつ表れてきています。今後、LP(ランディングページ)の構成をいちから考えるような案件に取り組む際には、今回の経験を活かしたいと思っています。また、ビジュアル制作のみを担当する場合でも、「構成を意識する」ようになったことで思い込みにとらわれず代替案を提案できるようになったと感じています。
大柳 普段の業務でもユーザ視点を意識してデザインを行う機会は多いのですが、今回の研修では「まずユーザをどう定義し、どう見せていくか」という思考の順序を学べたことが、自分にとって大きな変化でした。
最初に考えるべきポイントが明確になったことで、自分の中に“思考の軸”のようなものができて、業務に取り組む際も迷いが少なくなったと実感しています。

──研修を経て、今後のキャリアや業務との向き合い方について展望は広がりましたか?
菅野 はい。もともとUI/UXの領域には関心があったので、今後はさらに知識や経験を深めていきたいと考えています。また、構成からビジュアルまで一貫して担当できるような案件にも、どんどんチャレンジしていきたいです。
大柳 デザインルールに従ってパーツを追加するような業務だけでなく、これからは自分でルールをつくり、グランドデザインを設計するようなフェーズにも挑戦したいと思っています。その際には、お客様に対して自分の案を提案する場面も増えていくと思うので、今回の研修で得た学びをしっかり活かして、自信を持って業務に取り組んでいけたらと思います。
──講師の金さんからも、お二人の今後のさらなる活躍に向けたアドバイスをお願いいたします。
金成奎 改めてお疲れ様でした。座学はもちろんのこと、実際に手を動かしデザインをこの場で行っていただき、リアルタイムでフィードバックを得ながら品質を高めていただくのがルーキーズキャンプの特徴です。短い時間の中で進め方やコツを学び、それを形にしながら着実にレベルアップしていくお二人の様子を見ていて、こちらも大変頼もしく感じました。ぜひ今後の実務に活かしていただけたら幸いです。
また、今回の研修でお伝えしたのは“フルパッケージ”のWebデザインの考え方であり、すべてを一度に実務へ応用するのは難しいかもしれません。そこは今の自分の業務や役割に合わせて、必要な部分から少しずつ取り入れてもらえたらと思います。また、共有した資料やフレームワークも、ぜひ思い出したときに見返して、繰り返し活用していってください。
文・栗原亮(Arkhē)
