《文章力を上げる新・鉄板ルール #4》「AIバレ」時代の文章に必要なもの。それは「意外性」と「飛距離」だ!

現代は、すべての文章作成を効率重視でAI任せにもできる時代。だからこそ、読み手との関係性を踏まえた“ならでは”の文章を書ける人の価値は増す一方です。本連載では、株式会社ワン・パブリッシングの取締役社長・松井謙介氏が、「売上につながる文章術」を徹底解説。今回は、「AIバレ」の時代に、文章に書き手の熱量を載せるための「好きなモノ・コト文章術」を伝授します。
「AI」過渡期の現在、「バレること=マズいこと」
「AIバレ」。そんなおかしな言葉がいま世の中を賑わせています。
この「AIバレ」とは、クライアントや世の中に向けて提出した文章が、「自分で書いたものではなく、AIによって書かれたものだとバレてしまう」こと。事実、オンライン上には「AIバレしないためのプロンプト集」みたいなものが多数公開されています。つまり「これなら人間らしい文章を書くことができるのか~」みたいなことを学ぼうとする、妙な空気が醸成されているのです!
もちろんこのムーブメントは、生成AIが浸透するまでの、あくまで過渡期限定の現象のようにも感じます。私が学生だった1990年代後半ごろ、就職活動で携帯電話を使うのを禁止している企業は確かにありました。当時は、通信状況の問題などから、携帯電話が正式なコミュニケーションツールと認められていなかったのでしょう。
このように、新しいテクノロジーの登場に対しては、いつも世の中は慎重になるもの。業務にインターネットを使うことを禁止する、という企業もあったくらいですから!
生成AIも、確かに著作権リスクなどが一定量存在し、まだガイドライン未整備の企業も多い現状です。そのなかで「AIバレ」なんていう言葉が生まれ、注目されているのでしょう。
近しい言葉で言えば「身バレ」でしょうか。「マッチングアプリで身バレしないように~」なんて文脈で使われるわけですから、「バレること=マズいこと」なわけです。「生成AI」の利用についても、上司やクライアントから「手抜きしているな、お前」ととらえられ、怒られる可能性がある。そういうことなのだと思います。
個人的には、生成AIは使いどころが肝要だと思っています。「事実ベースの書類、報告書」の類では、「バレ」など気にすることは不要。人間が書くよりも精度が高く、間違いも発生しにくい以上、胸を張って「AI宣言」すればいいのです。
問題は、書き手の気持ちや感情を込めるべき文章における生成AIの利用です。
「好きなモノ・コト」を語る熱さはAIに表現できない
では、「そんな書き手の気持ちを載せる文章など、どう書いたらいいのかわからない」という人に、一つテクニックを伝授しましょう。それは「好きなモノ・コト文章術」です。
バカみたいなタイトルですが、このフレームワークを覚えておくだけで、あなたが書く文章は一気にパッションが輝き、読み手の心を動かしやすくなるはず。覚えておいて損はないでしょう。
今回の例題はNetflixで大ヒットしたデスゲーム時代劇「イクサガミ」。まずは、あるAIにそのレビューを書いてもらいました。
【指示文】
ドラマ「イクサガミ」の感想を、100文字程度で文章として感想文を書いて。そのさい「人間らしく」「感情的に」書いてください
【出力文】
「イクサガミ」は、明治という時代に命を賭けたデスゲームを描く異色の作品だ。岡田准一の殺陣は圧巻で、刀の一振りに宿る緊張感が画面越しに伝わる。雨中の戦闘や血の匂いを感じさせる映像美に、息を呑んだ。豪華キャストが次々と退場する予測不能な展開は恐怖と興奮を呼ぶ。ただ、キャラクターの背景をもっと深く知りたかった。それでも「生きるために斬る」という衝動が心を揺さぶり、私は最後まで飲み込まれた。
どうにも面白味がありません。こんなの即「AIバレ」です。
ネットから集めた情報をこぎれいにまとめていますが、とにかく「最大公約数」的なレビューにとどまっています。一文ごとの長さも均一で、文章に引っかかりがない。もちろんプロンプトをもっと高精度にすれば、これよりはよくなるでしょう。でもね。それなら書けばいいじゃないか! そう思うのです。
「いい文章」とは、AIライクな「きれいな文章」「整っている文章」ではないのです。読み手の思考に棘を刺すような、癖があり、パワーがあり、熱さのある文章です。
そう、重要なのは「完璧でなくとも、あなたの言葉で書かれた文章」。よく映画や漫画のレビューにある「これをまだ見ていない人がうらやましい! これからこの素晴らしいコンテンツが味わえるなんて」というタイプの「熱量」が欲しいのです。
そこで「好きなモノ・コト文章術」です。これは、テーマ(=「イクサガミ」)はいったんおいといて、「自分の好き」起点で文章を考える方法。意外性が出るうえに、文章を考えやすいという利点があります。
例えば、あなたが無類の音楽好きだったらどうか。その場合は、あなたの音楽的知識・情熱と「イクサガミ」の接着点を見つけ、文章を書き始めればいいのです。
【好きなモノ・コト文章術(音楽の場合)】
「イクサガミ」の作曲って大間々昂さんが担当してるんだけど、実は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」と同じ方で…
この書きっぷりの利点は、内容・文章に「飛距離(意外性)」と「(語れる)熱さ」が生まれること。自分にしか見い出せない、特有の切り口が表現できることにあります。
「音楽なんて詳しくないし…」と思うかもしれませんが、このメソッドは、多様なジャンルで応用可能。下の表を見てほしいですが、「グルメ」でも「ゲーム」でもなんでもいけるのです。
まずは、この方法で、「意外性」と「熱さ」を生み、読み手をグッと自分の世界に引き込んでしまいましょう。すべてはそれからです。この書き方は、まずAIには不可能。だって、あなたの「熱さ」はあなたの中にしかないはずですから!
| 音楽×イクサガミ | マンガ×イクサガミ | アイドル×イクサガミ | グルメ×イクサガミ | 歴史・建築×イクサガミ |
| 「イクサガミ」の作曲って大間々昂さんなんだけど実は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」と同じ方で… | 「イクサガミ」の設定って、「カイジ」+「あずみ」って感じだよね。 | ヒロインの藤﨑ゆみあちゃんになら殺されてもいい! 双葉の舞を眺めるだけでその価値あるよ、実際。 | 東出昌大が「イクサガミ」特別企画で「蠱毒ノグルメ」ってやってるんだけど知ってる? 新宿の中華料理店「上海小吃」ってところでゲテモノを…。 | 最初の方の二宮和也さんが出てきて殺し合いが始まるシーンのロケ場所、あれ実は会津若松の「日新館」っていう藩校で…。 |
著者

松井 謙介
株式会社ワン・パブリッシング取締役社長
株式会社ワン・パブリッシング取締役社長兼メディアビジネス本部長。20年間雑誌制作に従事。現在はメディア運営のマネジメントをしながら、コンテンツの多角的な活用を実践中。自社のメディアのみならず、企業のメディア運営や広告のコピーライティングなども手掛ける。「生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術」(小社刊)発売中
書誌情報

書籍:1,980円
電子版:1,980円
B6変:208ページ
ISBN:978-4-8399-90275
発売日:2025年09月19日
■概要
生成AIの進化により、議事録やレポート、マニュアルといった事務的な文章は効率的に自動化できるようになりました。しかしビジネスの現場では、それだけでは不十分。企画書や提案書、人材募集文、オウンドメディアの記事など──人の感情を動かし、行動へとつなげる文章には、書き手自身の思考や意見、そして「相手にどう動いてほしいか」という意図が不可欠です。
最新のAIは流麗な文章を生み出し、表現力も増しています。しかし、「誰に向けて、何を伝えるのか」という視点は、人間にしか持ち得ません。読み手を意識し、関係性を踏まえて言葉を選ぶことこそが、成果を生む文章の鍵なのです。
本書では、生成AI時代にあっても欠かすことのできない「自分で書く力」を、実践的かつ最新のテクニックとともに解説。あなたの仕事に直結する「伝わる文章術」をお届けします。
■目次
はじめに
第1章 文章を書き始める前にやるべきこと
1-1 文章の「価値」を見直しておく
1-2 準備段階で、文章の90%は完成させよ
1-3 「マクロからミクロの視点」を意識する
1-4 「結論から書けぃ!」は絶対的ルール?
1-5 書く前に「統一表記」を作ろう
1-6 「だ・である」「です・ます」を統一せよ
コラム 「普通に」って一体どの程度?
第2章 文章執筆の基本ルール
2-1 文章は「短く」、「能動態」で書こう
2-2 読み手の時間を奪う「冗長表現」を排除せよ!
2-3 カタカナ語はバランスを模索しよう
2-4 漢字と平仮名は「3:7」を目指せ!
2-5 「話し言葉」と「書き言葉」を使い分けよう
2-6 「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の秘密
コラム 「言葉の繰り返し」の新潮流とは?
第3章 文章が美しくなる7つのポイント
3-1 「読点」は感覚で打つべからず
3-2 「修飾」の正しい扱いを守る
3-3 デリケートな「並列」の扱いに注意しよう
3-4 げに恐ろしきは「主語と述語の呼応」
3-5 「は」と「が」の使い分けを知る
3-6 生成AI時代は「接続詞」の活用をマスターせよ
3-7 時代とともに変化する「副詞の呼応」
コラム 疑問文はこの上ない「断定」になる
第4章 文章の神は細部に宿る
4-1 類似表現は「ニュアンスの僅差」を把握すべし
4-2 誤解しやすい日本語表現を把握せよ
4-3 「比喩」はいまどきの若者言葉に学べ
4-4 日本語は「オノマトペ」を攻略せよ
4-5 雑誌編集者流の文章校正を学ぼう
コラム 意外と身近にある「リスクのある言葉」
おわりに


