《連載:Webクリエイターの“偏愛”仕事道具 Vol.1》ワヴデザイン・松本龍彦|第3話 自由な発想から生まれたワークデスク

仕事で使う道具には、その人の思考や美意識、そして働き方が自然と表れます。本企画では、日々の仕事を支える「道具」を入り口に、Webクリエイターのスタイルをひもといていきます。
初回に登場するのは、ワヴデザインCEOでクリエイティブディレクターの松本龍彦さん。選び抜かれた道具の背景から、いまの仕事観に迫ります。
プロフィール

松本 龍彦 さん
Wab Design INC. CEO / Creative Director
ショップスタッフ、デザインプロダクション、アパレルのグラフィックデザイナーを経て2003年に独立。2006年ワヴデザイン株式会社を設立。衣食住の分野に豊富な知識と実績をもつ。ストラテジー、デジタル・アナログを問わないクリエイティブ、ビジネスとのバランスの取れたプランニングを得意とする。主な受賞にグッドデザイン賞など。
https://wab.cc
松本さんの仕事道具③|無印良品 ステンレスユニットシェルフ

ステンレスユニットシェルフ
発売:無印良品
価格:20,900円(編集部調べ)
URL:https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S2000321001
デスクという枠組みに捉われない選択
松本さんの自宅のワークスペースで、デスクとして使われているのは、無印良品のユニットシェルフです。本来は収納棚として設計されたプロダクトですが、2つのブロックを組み合わせて天板を渡すことで、ワークデスクとして活用しています。
「いかにも仕事用、という専用デスクは選びませんでした。生活空間に、できるだけ自然に溶け込ませたかったんです」(松本)
無印良品のシェルフは、日本の住宅事情を前提にしたモジュール設計で、空間に圧迫感を与えにくいのが特徴です。特別な一点ものに頼るのではなく、誰でも手に入る定番品をどう編集して使うか。そのプロセスにこそ、使い手の個性が表れると松本さんはいいます。
「完成された答えを買うというより、余白のある道具をどう使うか。そのほうが、自分らしさが出る気がしますね」(松本)
物を置かないことで、思考をクリアに保つ
松本さんのデスクの上には、ほとんど物が置かれていません。基本的にあるのは、ノートPCとiPhoneスタンドだけ。かつては大きなテーブルに資料を広げて作業することもありましたが、現在はほとんどの工程がデジタルで完結しています。
「Figmaやオンライン会議ツールを使えば、情報は画面の中で整理できます。物理的に物を並べる必要がなくなりました」(松本)
視界をあえてシンプルに保っているのは、外部からの刺激を制限するためでもあります。
「情報を浴びすぎると、知らないうちに何かの影響を受けてしまう。何もないデスクに向かうことで、自分の中から出てくる感覚と向き合える気がするんです」(松本)
グラデーションで仕事を始めるための「余白」
松本さんにとって、仕事の始まりは明確なスイッチを入れるようなものではありません。朝起きて、頭に浮かんだアイデアがあれば、そのままリビングで作業を始めることもあります。
「エンジンが温まってきたタイミングで、このデスクに移動して、本格的な資料づくりに入ることが多いですね」(松本)
生活の延長線上にある働き方。そのスタイルに、このシンプルなデスク環境はよく合っています。2段構成にできるシェルフの下段には、バンカーボックスを置いて細かなものをまとめ、常に整った状態を保てるように工夫しています。
「仕事に入るための“余白”があることで、無理なく集中状態に移行できる。その感覚が、今の自分にはちょうどいいですね」(松本)
《Vol.4》に続く
取材・文:小平淳一
