【イベントレポート】日本展開が本格化!「Wix Harmony」と「Base44」が拓くAI時代の制作環境

2026年3月17日(火)東京・新宿、京王プラザホテルにてWix.comおよびBase44に関するメディアラウンドテーブルが行われました。同会見には、Wix.com共同創設者兼最高経営責任者のアビシャイ・アブラハミ(Avishai Abrahami)氏、Base44創設者兼CEOのマオール・シュロモ(Maor Shlomo)氏、Wix.com Japan株式会社の日本法人代表を務める積田英明氏の3名が登壇しました。

当日は、3月12日にリリースされたAI搭載型Webサイトビルダー「Wix Harmony」と、2025年からWix傘下となったAI搭載アプリ開発プラットフォーム「Base44」の日本市場への本格参入の話を中心に、国内でのWix.comの今後について発表がありました。

目次

AIエージェント「Aria」搭載の「Wix Harmony」が、ノーコードで新たなWeb制作を実現!

ラウンドテーブル冒頭には、日本法人代表の積田英明氏が登壇。Wix.comが創業された2006年以降、「あらゆるビジネスコミュニティ、そして個人がオンラインで夢を実現できるようにする」を掲げ、今日までに世界でWixユーザー数が3億人以上に達し、売上高が約20億ドル(2025年通期実績)、また日本国内のユーザー数に限っても550万人以上に伸びてきたことに対する感謝の言葉が述べられました。

Wix.com Japan株式会社の日本法人代表、積田英明氏

続いて登場したのは、Wix.com共同創設者兼最高経営責任者のアビシャイ・アブラハミ氏。「Wix Harmony」について、2016年にWixが初めてAI機能を搭載した「Wix ADI」をリリース後、10年の積み重ねローンチにつながったことに言及しました。

Wix Harmonyについては、AIによるバイブコーディング(vibe coding)と、Wixがかねてから搭載する直感的な操作性を担保したビジュアル編集機能とを融合したWeb制作ツールであり、自然言語によるプロンプトの指示で「高品質かつ細部に配慮の行き渡ったWebサイト」の構築を可能にした、と説明。Wix Harmonyに搭載されたAIエージェント「Aria」によって、各デバイスの画面サイズにあわせたレスポンシブWebにも自動対応できる、としました。

「Wix Harmonyのユーザーは、学習時間を要することなく、ドラッグ&ドロップでサイト内の各要素を細かく調整しながらのデザインが可能です。デザインやコンテンツの調整を思い通りにコントロールできることは、精度や品質、デザインが重視される日本にこそ、Wix Harmonyが最適な製品であるのだと信じています」(アビシャイ・アブラハミ氏)

Wix.com共同創設者兼最高経営責任者(Co-Founder and CEO)のアビシャイ・アブラハミ(Avishai Abrahami)氏

またアブラハミ氏は、Wix HarmonyがAriaとの対話(プロンプト)で、制作だけでなく、運用対策にも対応できることを強調。「自動でSEO(検索エンジン最適化)を行い、Google検索対策にも対応するほか、FacebookやGoogleへの広告キャンペーンも自動作成します」など、サイト公開後のキャンペーン対策機能についても触れました。

とりわけ日本市場向けとして、「(モリサワフォントを含む)200種類以上の日本語フォントを揃えたほか、日本市場向けのテンプレートも用意しました。現段階では21種類ですが、近くさらなる追加予定です」とも伝えました。

デモ映像で公開された「Wix Harmony」。右ペインのAIエージェント「Aria」にプロンプト(日本語)を入力すれば、指示内容に基づくWebサイトが生成されます。生成後の調整も、プロンプトで適宜可能です
同じくデモ映像より。操作中はスマートガイドが表示されるので、より正確な調整が可能です

AI搭載アプリ開発プラットフォームが日本市場に提供開始。Base44が進める「アプリの民主化」

続いて登壇したのは、Base44の創設者兼CEOであるマオール・シュロモ氏。Wix.com Ltd.が2025年に買収したAI搭載アプリ開発プラットフォーム「Base44」の日本語版提供開始を軸に、プレゼンテーションが展開されました。

「Base44は、アプリケーションをつくるための、すべてが揃った“オールインワン・プラットフォーム”です。コードをよく知らない人でも、ユーザーの技術力や専門性の有無を問わず、ときに数分で動くアプリケーション(ソフトウェア)を構築します」(シュロモ氏)

Base44創設者兼CEOのマオール・シュロモ(Maor Shlomo)氏

Base44がWixとのパートナーシップに至った背景について、両者はいずれも自然言語によるプロンプトで開発が行えるという共通点を持ち、「Webサイトやアプリケーション制作の民主化」というビジョンを共有していた点を挙げます。そのうえで、「パートナーシップに至る決断は自然なものだった」と強調しました。

「Wixとの提携で、Base44は数百万人を超える新規ユーザーを獲得し、年間経常収益(ARR)が1億ドルを突破しました。これは、ベンチャーキャピタルからの資金調達なしで達成した企業として、間違いなく最速での到達です。今後も私たちは、Base44が“ユニバーサル・ビルダー(万能ツール)”になることを目指します」(シュロモ氏)

Base44のUI。プロンプトを入力後の画面例
筆者環境のもと、Base44で試しに「社内タスク管理ツール」の生成を日本語で指示した結果。数分後には、上の状態が生成されました

終盤には、この3月にリリースされたばかりのBase44のAIエージェント「Super Agents」についても言及しました。Super Agentsは、GmailやSlack、HubSpotなど日常的に利用するツールと連携し、業務を自動化する機能。ユーザーごとに最適化されたかたちで自律的にサポートするAIエージェントの搭載により、業務自動化のさらなる進化が期待されます。

日本語フォント対応の本気度。Wix.comが見据える、日本国内での取り組みについて

会見後半には、再び積田社長が登壇し、日本市場におけるWixの取り組みについて説明がありました。まず強調されたのは、日本語フォントへの対応です。Wix Harmonyの紹介でも触れられた通り、Wixは2025年11月にモリサワと戦略的パートナーシップを締結しています。

「200種類以上の日本語フォントを、Wixの有料ユーザー、無料ユーザーに関係なく550万ユーザーの方々全員が利用できます」(積田氏)

Wixの事例紹介では、Wixエンタープライズプランを導入している2社に言及。1社目の株式会社FANY(吉本興業グループ)では、サブスクリプション機能を活用し、所属タレントやアーティストのオンラインサロンをWix上で運営する取り組みです。

2社目は、EV事業で知られる双日株式会社(双日オートグループ)。Wixの導入により、通常2カ月かかっていた納期は3週間へと短縮されるだけでなく、機動的なWeb施策が可能になり、販売台数の向上にもつながっています。

Base44の事例にも触れ、1社目には株式会社ドールが紹介されました。同社で導入テストを実施したところ、非エンジニアの社員を中心に50以上の実務直結アプリケーションを作成。「Base44が企業文化を変える」という声が上がるなど、そのインパクトの大きさがうかがえます。

また、クリエイティブ事業などを手がけるジャングルジム株式会社では、社内用途や自社サービスに加え、受託案件にもBase44を導入。従来は5つのツールで運用していた不動産会社向けの仕組みを、Base44によって1つに統合しています。さらに、新システムの横展開へと発展している点も印象的です。

止まらないAI搭載ツールの発展が意味する、Web制作者のこれからとは?

質疑応答では、Base44のサポート体制について質問が挙がりました。これに対し、Wixは有料・無料を問わず、電話やチャット、メールなど複数チャネルで全ユーザーに対応していると説明。Base44についても、日本語が初のローカライズ言語であることに触れ、日本市場への強い期待を表明しました。今後は国内向けの連携強化に加え、ご要望に応じて支援する「ソリューション・エンジニア」体制の構築にも取り組むとしています。

また、Wix Harmonyに関しては、プロンプトベースで制作が高度化する中で、プロのWeb制作者の価値がどう変化するかが問われました。これに対し、アブラハミ氏から「Wix Harmonyは現時点で最も進んだ制作手法の一つであり、骨組みやコンテンツの大部分は高速かつ高精度に生成可能」と説明。一方で「最終的な完成度には人の手が不可欠であり、プロフェッショナルの役割はむしろ拡張していく」との見解を示しました。

記者会見より、左から積田英明氏(Wix.com Japan)、アビシャイ・アブラハミ氏(Wix.com)、マオール・シュロモ氏(Base44)

まとめ

本会見の中心はWix HarmonyとBase44でしたが、総じてWix.comがAIをフル活用し、ノーコードで直感的な操作のもと、高品質の成果物を生み出すツール提供への意欲を強く感じる内容でした。

Web制作に関わるクリエイターや開発者にとっては、AIの存在感が一層高まる制作・開発環境を改めて実感する機会です。旧来の進め方にとらわれない、AI時代への対応力が問われています。

取材・文:遠藤義浩、写真:Wix.com Japan株式会社

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