プロにリサーチを依頼するメリットとは?

1. インターネットリサーチを行う仕組み

誰にアンケートを依頼しているのか

インターネットリサーチなどを提供しているマーケティング支援会社は、誰に、どのようにして調査を行っているのでしょうか? もしもモニターのターゲット属性に偏りがあったら、フラットな調査結果が得られないのでは…と不安に思う人がいるかもしれません。調査の仕組みは、一体どうなっているのでしょうか?

インターネットリサーチを行なっている会社では、自社の持つアンケートサイトに登録しているモニター会員に対してリサーチの参加を依頼し、回答を集めます。アンケートの依頼は主にメールでモニター会員に送られ、モニター会員は調査に協力することで各種のポイントを手に入れられる仕組みです。

モニター会員は、登録時に性別や年代などの属性を登録しています。インターネットリサーチを行う会社は、その登録情報を元にターゲットを絞り込んでアンケートを配信。これにより、調査の依頼主が求めるターゲットをしっかり抽出してアンケートを集められるというわけです。

アンケートサイトに登録する人は、一般の消費者と動向が異なるケースもあるのでは? という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、ネオマーケティングによると、モニター全体としては「ごく普通の人々とまったく変わらない」のだとか。インターネットリサーチで得られる結果は、国勢調査などの全数調査とほぼ変わらないという調査結果もあるそうです。

なお、インターネットリサーチを提供する会社はそれぞれ独自のモニター会員を保有していますが、現在は調査会社同士でモニターを連携させており、企業によるモニターの属性の偏りや数の大小はほとんどないのが実情だといいます。

 

プロが提供しているさまざまな調査手法

104ページでも触れましたが、調査を行なっているマーケティング支援会社が提供しているのは、インターネットリサーチだけではありません。インターネットリサーチは、統計的に「量」でユーザー動向を判断できる「定量調査」ですが、それ以外にもユーザーのニーズを深掘りする「定性調査」も提供しています。企業は、まず定量調査でターゲットの動向を把握し、次に定性調査を行なってユーザーの意見を拾い上げ、行うべき施策を探っていくことが重要になります。そしてその施策を行った後に、再び定量調査を行って施策の効果がどれくらいあったのかを探ります。このようにしてリサーチを行いながらPDCAを回していくことが、効率的なビジネスの近道になっていきます。

インターネットリサーチだけなら、短ければ数日~数週間で調査が完了しますが、課題の見極め、定量調査、定性調査、施策の実施という流れを行うと、1年間くらいマーケティング支援会社と一緒にやっていくケースもあるそうです。そこまで入念なリサーチを行おうとするとやはり費用もかかってきますが、最初は小規模なインターネットリサーチだけでも、するとしないでは大違いです。ネオマーケティングでは、先に予算感を相談して、それに応じた提案を行ってくれるそうです。

 

もはやリサーチが当たり前の時代

今や、企業はリサーチによってユーザーの消費動向を調べ、それを元に商品開発をしたり広告宣伝を行うのが当たり前になってきました。リサーチをせずにビジネスの施策を行うことが競合に対する大きなビハインドにつながることはすでに述べたとおりですが、リサーチが当たり前になってきた今、定量調査だけでは他社に差をつけられなくなってきました。今やどの会社も統計的なターゲットの動向を押さえていますが、そうしたデータから導き出せる答えはごく平均的なものになりがち。定量データだけでは独自の強みを掘り起こせなくなっているのです。

そこで重要になってくるのが、定性調査です。ユーザーのニーズを深掘りして、ビジネスの新しいヒントを探れるかどうか。調査会社はいくつかありますが、定性調査の力量が調査会社選びの大きなポイントになってきます。

企業の思い込みを覆したリサーチ事例

リサーチをすると、企業側の思惑とはまったく別の意見が得られることがあります。こういうケースは「意外に多い」のだそうです

 

2. プロにどこまで頼るか

企業の思い込みを調査で覆す

定性調査でニーズを深掘りできるといっても、そこまで外部の会社に頼り切るのは若干不安…と思うかもしれません。しかし、プロの力をうまく活用することで、自社だけでは辿り着けなかったビジネスの「気付き」が手に入ることもあります。

「ある市販薬のメーカーから、既存商品のシェアを拡大したいという相談を受けました」と、ネオマーケティングの加藤さんがある事例を紹介してくれました。

その商品は、本来のコアターゲットである中年男性のシェアは獲得できており、企業側は新たに若い女性もターゲットに取り込みたいと考えていました。そこでどんな広告施策をするのがいいかを探るため、若い女性を集めてインタビューを行ったそうです。その結果、その商品が中年男性が使用するものだというイメージが強すぎて、自分たち向けの商品として考えられない、という声が挙がってきたといいます。そのメーカーは、既存商品の広告戦略を考えるのではなく、姉妹ブランドとして若年女性向けの商品をリリースし、新たなターゲットの獲得につなげたということです。

外部の会社に頼らず自社だけで施策を考えていたとしたら、この判断にはなかなか辿り着けなかったのではないでしょうか。

 

深層ニーズを掘り起こす2つのソリューション

顧客の深層ニーズを掘り起こす調査として、ネオマーケティングでは、「インサイトドリブン」と「カスタマードリブン」という2つのソリューションを提案しています。

1つ目の「インサイドドリブン」とは、「新しい商品を開発したい。でもどんな商品がいいのかがわからない」という時に役立つ、訪問観察とワークショップのパッケージです。ある商品についてユニークな使い方をしている「エクストリームユーザー」を見つけ出し、訪問して使い方を尋ねます。その回答から商品開発のヒントを掘り起こし、新しい企画に役立てるというものです。

もう1つの「カスタマードリブン」は、「既存商品の売り上げが伸び悩んでいるので改善したい」という課題や「もう少しシェアを拡大したい」という時に役立つソリューションです。カスタマードリブンでは、商品に対して愛着を持つ「ロイヤルユーザー」を見つけ出し、その人がどのようにしてファンになったのかをインタビューします。そこで得たエピソードを一般の顧客に落とし込むことで、新たなロイヤルユーザーを生み出そうというのがこのソリューションの狙いです。

どちらもインターネットの定量調査だけでは決して得られない情報ですが、しっかりと意見を聞けるノウハウを持っているかどうかも、調査を依頼する会社を選ぶ上でのポイントになります、。

 

企業のマーケティングパートナーとして

また、ネオマーケティングは、調査後のワークショップにも参加して、議論のファシリテーター(出席者の発言を促したり、会議の流れを整理する役割)を務めることもあるそうです。リサーチ結果の分析に長けており、そこからユーザーのニーズを代弁できるというのは、外部の会社に頼る大きなメリットだといえるでしょう。

結局のところ、調査を行なってくれる会社は単なる「調査マン」ではなく、顧客への調査を通じてビジネスの意思決定を外部から支えてくれる「マーケティングパートナー」という側面が強いといえます。

まずは気軽にインターネットリサーチの依頼からはじめ、どう頼るのが良いのかを見極めながら長い関係性を築き上げていくのが良さそうです。

企業の思い込みを覆したリサーチ事例

リサーチをすると、企業側の思惑とはまったく別の意見が得られることがあります。こういうケースは「意外に多い」のだそうです

ネオマーケティングの調査レポート

調査後にネオマーケティングが提出するレポートのサンプル。依頼内容や契約内容によって異なりますが、単に生の調査データが送られてくるだけではなく、データの要点などもまとめられています

教えてくれたのは…杉山太一さん
株式会社ネオマーケティング マーケティンググループ リーダー
加藤賢大さん
株式会社ネオマーケティング リサーチ&プランニンググループ マネージャー
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