接客の質を高める「サプライズ」●特集「EC再強化」

接客の基本はコミュニケーションですが、だいじなのはその中身です。くどいコミュニケーションは、コミュニケーション不足と同様に接客としては失格です。それはECでも同じ。インターネットができた時に、これからは双方向コミュニケーションが必須になると言われていました。ところが、いざ始まってみるとメールアドレスも電話番号も書かれていない、問い合わせフォームすら見あたらないというECサイトが多く見受けられました。今でも少なくないですよね。

Amazonのように、サイトのすみずみまでロボットで接客できるよう巨額の投資ができるなら別ですが、中小零細企業では、そんなことはできません。そこで挙げられるのが「密着軸」です。顧客との関係を密にし、望むものを形にして提供することを売りにしようという戦略です。中小零細企業の一番の差別化要素と言えるでしょう。ただし、ここで考える必要があるのが、マニュアルどおりの接客をしていないかという点に加え、行き過ぎた接客をしていないか、です。ほどほどの、ちょうどよい距離感での接客が必要になります。

ECサイトの接客というとメールをイメージしがちですがそれだけではありません。電話やファクス、さらにはサイトそのものやFAQページ、梱包やダンボール、納品書やサンクスカードも接客です。わかりやすい「梱包」で見てみましょう。もしもまったく梱包がされていなかったら。2度とそのEC店舗では買わない! と感じる顧客が多いでしょうね。しかし、行き過ぎた商品梱包がされていても「なぜこんなにゴミを増やすの?」と感じる人が出てきてしまうのです。そのEC店舗は、できれば避けたいお店になってしまうかもしれません。

その点、下に挙げた北海道の「米のさくら屋」の接客は興味深いものがあります。特に、その梱包は一度チェックしてほしいところです。蓋の裏に出荷日の北海道の天気やコメントが、さらには店長の似顔絵入りの手紙が入っていたり、さらには予想外のおまけが入っていたりします。私は、おもてなしには「サプライズ」が欠かせないと思っています。ちょっとした驚きが「3本立て」くらいあると理想的です。サプライズを考える際に大事なのは、お客様と同一目線、同じレベルで考えることです。どうすればお客様が、気味悪がらず、楽しんで驚いてくれるか。接客は、お客様の半歩先を行くぐらいがちょうどよいのです。

 

米のさくら屋

北海道産のブランド米である「ゆめぴりか」の専門店。米の品質はもとより、接客サービスでも評価が高く、多くのリピーターを抱える。

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