人工知能はWebデザインの領域まで! 画像やテキストを判別して自動でサイトをつくる「The Grid」

最近では人工知能に関するニュースが毎日のように伝えられますが、サンフランシスコでは、その最先端のテクノロジーをサイト制作に活用したサービスを提供するスタートアップが話題になっています。

Googleアドセンスのプロダクト部長を務めたBrian Axe氏らが開発する「The Grid」は、ユーザーが管理画面から文字や写真をアップし、カラースキームを決めるだけで、それらのスペックに最適なサイトを“人工知能”で生成する仕組み。アップロードした写真は、システムが最適なサイズで切り抜き、ユーザーが指定したカラースキームにあわせ、テキストのフォントも選定し、デザインを生成してくれるのです。もちろんPCやモバイル、タブレットといったマルチデバイスに対応したレイアウトの調整を自動的に行ってくれます。

The Gridのシステムが提供するのは、サイトのデザインだけではありません。コンテンツ自体も、そのサイトのテーマにあったコンテンツも他のサイトやソーシャルメディアから自動的にピックアップし、サイトに掲載します。これは、概念的にはRSSフィードの自動表示に近いですが、The Gridの場合は、その内容自体もサイトの属性にあわせて分析・選定し、掲載します。

そしてもっとも興味深いのは、いったん生成したサイトを公開した後も、そのサイトにアクセスしたユーザーの動きを分析し、コンバージョン率を上げるために定期的に自動更新する機能があることです。もしこれが実現されれば、現在多くの企業が人力でA/Bテストなどのグロースハック施策を通して行っているサイト改善や最適化を、24時間体制でシステムが行ってくれるのです。コンバージョンの設定も、ソーシャルメディアへのシェア率、問い合わせ率、ECの場合は購入率など、実際のビジネスの結果に繋がる内容です。

とはいえ、実はこのサービス、現在はプレオーダー、クローズドベータ状態です。約1年前にプレローンチキャンペーンとして年間96ドルでユーザーからの事前申し込みを開始しました。すると現在までに6万3,000人以上のユーザーからオーダーを獲得。単純計算でも7億円ほどの資金を獲得しています。ですが、実際のサービスは数百人程度のユーザーに対してしか提供していないため、そのサービスの全容、詳細は明らかにされていません。

もし、このサービスが実現するのであれば、Web制作、マーケティング業界が根本からひっくり返される可能性もあります。最適なサイトの制作・更新・改善を常にシステムが自動的に行うと、Web制作会社の仕事内容のほとんどがテクノロジーによって取って代わられるかもしれず、ひいては人間の仕事が機械に奪われてしまう実例が生まれるかもしれません。

 

 
人工知能で自動的にWebサイトをつくるサービス「The Grid」は、たとえば写真の人が笑っているなどを判定し、それにあわせたフォントや色を使ったり、コントラストの浅い部分を見つけてそこにテキストを置けるか検討したり、写真全体の色調からカラーパレットを決めたりもします The Grid
Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。サンフランシスコ、シリコンバレーを中心に、スタートアップの魅力をデザイン、ビジネス、テクノロジー面から解説します。 http://btrax.com/jp/
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