ユーザーのニーズに応じた京橋ワインの施策と商品で新規・リピーターを獲得●特集「リピーター&ファンを生む新法則」

 

リアル店舗のようにワインを提案

2000年にECショップをスタートし、これまでに何度も楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞した実績を持つワインECショップ「京橋ワイン」。有名店、人気店ひしめくワインというカテゴリーでユーザーに利用してもらうために、同サイトではどのような手法をとっているのだろうか?

同サイトを運営するワインキュレーション(株)の代表取締役社長、鈴木達雄氏はワインという商材の特徴をこう説明する。

「ワインは利用頻度としてはちょうど真ん中ぐらいの商材だと考えています。日用品や食料品ほど頻繁に買うものではありませんが、年に1、2回しか買わないというものでもありません。そのため、新規のお客様と同じくらい、リピーターの方も重要と考えています。そしてもう一つ、ワインは、『何を選べばいいのかわからない』という悩みを持っているお客様が非常に多いことも特徴だと思います」

そこで同社が2015年12月から始めた新たな取り組みが、「ワインコンシェルジュ」というサービス。Webサイトに用意されたフォームに予算や希望本数に加えて、利用するシチュエーションやあわせたい食事、好みの味わいなどを自由に記入して送信すると、1~2営業日でレコメンダーと呼ばれる同社のスタッフがリクエストにあわせて提案してくれる仕組み。レコメンダーは、ワインアドバイザー有資格者や国際ワインコンクール審査員経験者、現地海外で買い付け経験を持つ熟練バイヤーなどであると同時に、フランスやイタリア、スペインなど、世界各国に精通した7名が担当しているため、深い知識に基づいた提案が受けられるのが特徴だ。

「食事の邪魔をせず、もらってうれしいワイン」というリクエストへの返信として届いた、おすすめのワインとメールの抜粋。非常に丁寧に説明されており、相手に渡す際の話題としても使えそうだ

 

開始してまもないサービスのため利用者はまだそれほど多くないが、同ショップを利用するきっかけの一つになっていると説明するのはEC推進事業部の羽島良祐氏。

「ワインに詳しいお客様は自分で選ぶ傾向があるので、『ワインコンシェルジュ』のようなサービスへの反響はありませんが、新規のお客様との出会いに繋がればと考えています」

 

さまざまな選び方の提案で他店と差別化

同サイトは、以前から少しでもワインを選びやすいようにという視点から、さまざまな工夫を行っていた。

例えばWebサイトは、赤、白、スパークリングなどのタイプのほかに産地、価格帯などさまざまな切り口からワインを探せるように構築されているほか、そもそもユーザーがワインを選ばなくてもいいように、セット商品も充実させてきた。この延長線上にあるのがワインコンシェルジュだ。また、同時にこのサービスは同社の強みを活かし、他店と差別化を図る狙いもある。

「当社では試飲や買い付けもちろん、Webサイトの商品説明からワインコンシェルジュの提案まで、一貫してレコメンダーが行っています。これは専門的な知識を持ったスタッフが複数いなければできません。これが『京橋ワイン』を利用していただく理由になればと考えています」(鈴木氏)

 

今後はリピーター増加や購入頻度を増やしてもらうために、ワインコンシェルジュの改善や、さらに一歩踏み込んでワインを提案する方法も考えているという。

「ワインコンシェルジュも実店舗で相談するのに比べると、まだまだ時間がかかってしまいます。ですからLINEやチャットを利用するなど、もっと気軽に、テンポ良く提案できればと考えていますし、定期的にワインをお届けする頒布会のような施策も検討しています」(羽島氏)

自社の強みを活かしてエンゲージメントの強化を図る京橋ワイン。ぜひ施策の参考にしてほしい。

ワインキュレーション(株)

代表取締役社長 鈴木達雄氏(右)

EC推進事業部 羽島良祐氏(左)

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