
【Column】中小のECサイトにこそ、マーケティングオートメーション導入を●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」
「マーケティングオートメーション(MA)」は、この数年の流行語となり、実際に大企業を中心に導入が進んでいる。では、資本力に制約のある中小のECサイト運営企業にとっては無縁のツールなのだろうか? 実は、まったく逆で、規模の小さい企業こそ利用すべき仕組みなのだ。
まず、そもそもMAとは、どういったものなのだろうか?MAとは、顧客接点ごとのアプローチを自動化してマーケティング担当者を楽にするツールと考えられがちだが、そうではない。データを基に「より有望な見込み客を見出す」ための最適化ツールなのだ(01)。

MAは、マーケティングと営業をつなぐ最適化を目指すシステム。データを収集・分析する機能、キャンペーン設計を行う機能、マルチチャネルで実行する機能に大別される
では、なぜ小規模な組織ほど向いているのだろうか? 理由は大きく二つあり、逆にこのことが大企業の導入におけるボトルネックにもなっている。
一つ目は、小規模な組織ではコミュニケーションに一貫性を持たせやすいということが挙げられる。MAの鍵は、「マーケティングと営業の協働プロセス」にあり、大企業では部門間の「恊働」が1つの壁となるが、小さな組織では兼任のケースも多く、比較的ハードルは低い。
もう一つは、データ管理の問題だ。リード元のデータは、イベント・名刺交換・テレマーケティングなど、特に大企業では管理が煩雑になっているため、統一しやすい小規模な組織のほうが有利なのだ。
ただし、いくら向いているとはいえ、MAツールを導入するには、それなりに仕掛けも初期投資も必要となる。しかし、最近では、その点においても心配は無用だ。
まず、仕掛けについてだが、一番効果があるのは購買意欲が高いタイミングを見計らってのフォローメールである。「カゴ落ち」対応に注力するのが効果的である(02)。

消費者の行動特性として、コンバージョンに近いほど購買意欲が高まるが、離脱すると急速にその意欲が低下してしまう。MAツール導入で効果を上げやすいのは、そのピークを迅速に検知してフォローする仕組みづくりである
初期投資は、以前であればMAツールは大企業向けを想定した数千万円規模の製品ばかりだったが、今はクラウドですぐに利用できるサービスも登場している。価格も1万円以下のものもあり、機能は大企業向けには劣るが、十分に投資回収は可能だろう。
本格的な導入の前に、数カ月かけてテストしてみよう。MAツールの導入には、まずは顧客の行動を把握し、カスタマージャーニーマップを作る‥‥といわれることもあるが、実は必要ない。これには、顧客の理解促進という表面上の目的のほかに、組織間の協働を促す目的もあるからだ。小規模な組織では、本格的な導入の前にテストを行おう。MAツールの本格導入前に、1カ月ほどGoogle アナリティクスなどの解析ツールを活用して、CV数(コンバージョン数)を計測しておく。MAは導入直後に急に効果があがり、徐々に薄まるのが一般的である。したがって、導入後最低3カ月間の平均値を効果として採用するのが現実的だろう。そして、CVの差分に平均注文単価を乗じることで簡易的なMA効果が見えてくる。具体的な数値で見てみよう。
導入前1カ月のCV数:331
導入後3カ月のCV数:571, 481, 433 → 平均495
平均注文単価:2,000円
(可能なら原価を差し引いた粗利益でも計算を)
つまり、この場合、MAツール導入による売上効果は、2,000円×(495-331)=32.8万円となる。あとは、ツール操作に要した時間相当の費用を差し引けば、ツール導入の定量的な見定めが可能となる。
実際にはこれほど単純ではないが、小規模の企業にとっても現実的に導入可能なツールであることがわかるだろう。MAは大企業のものだと誤解していたみなさんも、初めの一歩を踏み出しては、いかがだろうか。

- Text:福岡浩二(上級ウェブ解析士)
- 企業向けマーケティングやアナリティクス領域の企画立案・導入支援に長年従事。チワワと子供と遊ぶのが三度の飯より好き。