
モール間の管理・連携を自動化してくれるツールがすごい●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」
顧客は「モールに付く」
「多店舗展開」はECショップが売り上げを上げる最大の方法の一つだ。楽天市場、アマゾン、Yahoo!ショッピング‥‥と店舗を増やしていくことが売り上げ増に直結するのだ。その際に事業者が心配するのは、「それぞれのモールに、同じようなお店を出店してお客様に嫌がられるのではないか」という点だろうが、心配は無用だ。複数のモールを“カブって”利用している顧客は5%にも満たない、と言われているからだ。ほとんどの顧客は、ショップの前に「モールに付いている」のだ。ちなみにロイヤリティの高いユーザーは本店で購入することが多い。
顧客はそれぞれ自分の気に入った場所にいてそこから離れない。数多く出店すれば売り上げ増が見込めるのはそのためだ。
店舗を増やす際の最大の問題とは?
多店舗展開を行う際には、本店、各モール店ごとに担当者を付け、それぞれが独立して担当するケースが多いだろう。各モールごとに、手続きの方法や管理画面の操作など、多くの異なる点があるためだ。
ただし、そのやり方にはデメリットがある。商品データや情報ページのデータ、さらにはバナーなどもそれぞれの担当者が扱うことになるため、同じような業務が並行して発生する。すなわち無駄が増えてしまうのだ。ならば、一人が全てを担当できればいいが、それはそれで多大な手間がかかる。
在庫や受注管理も厄介
また、在庫の管理も大変だ。どの店舗にどの程度の在庫を置くか、その塩梅が売り上げに直結するからだ。ECショップはデータの管理が容易なので、1店舗ごとであれば在庫の数を管理するのはそれほど難しくない。しかし、ある店で商品が売れたと同時に、他の店の在庫を減らしたり、上乗せしたり、といった作業が発生すると、途端に作業の難易度が上がる。データのアップロードにタイムラグが出てしまうことで、注文を売り逃してしまうようなこともある。「店舗間の在庫調整こそECショップ経営の腕の見せ所」などと考えられていた時代もあったが、はっきり言って効率は悪い。
さらに受注の管理も難しい。例えば「北海道の鈴木ですが、昨日注文したソファはいつ届きますか?」とか、「先日、花を注文した田中ですが、もう一度同じものを送ってほしいのですが」と言った問い合わせがきたら、瞬時に、その顧客がどのモールで、いつ、どういう支払い方法で注文をしたのか、そして出荷のステータスはどうなっているのか、対応をする必要がある。場合よっては「お得意様か、初めてのお客様か」「結婚して姓が変わっていないか」「引っ越ししていないか」といった情報を引き出せなければ顧客の信頼は失われてしまう。
こういった問題を乗り越えて、複数店舗を効率よく運営して売り上げを上げるには、モールごとの違いを吸収しつつ、データを共有し、作業の効率化を図る仕組みを作っておく必要があるのだ。
課題を解決するツールを使う
そこで注目したいのが、商品データ、在庫データ、受注・顧客情報などを、モールをまたいで一元管理できる「多店舗展開ツール」だ。データの管理から顧客分析なども可能となるものもある。また、これら多店舗展開ツールはクラウドで提供されることが多いため、複数人数で複数の場所で対応できることもメリットの一つ。最近ではデータを取り出して顧客分析をしたり、マーケティングツールと連携させたり、メールシステムや倉庫との連携もできるようになってきた。今回は代表的な多店舗展開ツールを3つ紹介する。それぞれ特徴があるため自社にあった多店舗展開ツールで作業の効率化と、売り上げアップを実現してほしい。

多店舗展開ツールは、商品、在庫、受注・顧客情報などのデータを、モールをまたいで一元管理するためのツールだ。それぞれの操作方法の違いを気にせず管理できるようになる
- Text:川連一豊
- フォースター(株)代表取締役、ジャパンEコマースコンサルタント協会代表理事。1999年よりEコマースを始め、倍々で業績を伸ばす。楽天市場で講師等を手掛けた後独立。これまで1万社以上の企業、モール、ECサイトにアドバイスや取引実績がある。