動画マーケティングの予算感

内容次第で制作費は抑えられる

しっかりとした動画広告をつくって効果をあげたい時や、企業や商品のブランディングに関わる動画をつくりたい時は、やはりプロの制作会社に依頼したい。その場合のコストはどれくらいになるのだろうか。Web動画の黎明期から動画の制作・コンサルティングを行うイメージ・ジャパンの隈部周作氏に話を聞いてみた。

隈部氏はまず、「そもそも動画マーケティングのコストは、制作費と広告費の2種類があります」と述べた上で、それぞれの相場について教えてくれた。

まず制作費については、ランサーズなどクラウドソーシングが台頭してきたこともあり、以前に比べれば比較的低価格で依頼が可能になってきているという。静止画やCGを組み合わせた動画なら、撮影の人件費やモデルの費用などもかからないため、制作費を抑えることができる。イメージ・ジャパンでは30万円程度から相談に応じているという。

動画広告の出稿を考えたとき、動画の制作費とプラットフォームへ支払う広告費を足したものが、トータルのコストとなる。あらかじめ予算を確保しておくことが大切だ

もちろん、どれくらいの制作費がかかるかは、動画の内容によって大きく変わってくる。先ほど挙げた撮影の人件費の他にも、企画・構成から依頼するかどうか、ナレーションを入れるかどうかなど、費用を左右する要素は複数ある。どんな動画にするか具体的なイメージがない場合でも、あれこれ悩むより相談してしまったほうが素早く予算感を掴めるはずだ。

撮影の人件費(人数×所要時間)の他にも、さまざまな要因が制作費に関わってくる。例えばナレーション費用では、イメージ・ジャパンの場合は収録スタジオの利用も含め9万8,000円でできるのだという。また一方で、セミナーなどの内容を固定カメラで撮影するようなケースでは、10万円台からでも制作が可能だそうだ

 

費用対効果を高めるには改善のサイクルが肝心

次に教えてくれたのが、プラットフォームに支払う広告費の相場だ。イメージ・ジャパンでは、1カ月あたり10万円、3カ月間の出稿から対応が可能だという。なお、実際は1カ月20万円程度を広告費として使うケースが多いそうだ。

YouTube、Facebook、Twitter、Instagramといったプラットフォームは、少ない広告費から出稿できるのがメリット。図は同じ10万円を投資した際の、表示回数などのシミュレーションだ。ターゲット設定によっても推定再生回数は変わってくるが、どのプラットフォームが費用対効果が高いというようなことを一概に語るのは困難だ

そもそも広告費用は、企業が動画配信プラットフォームに直接支払う方法もあるし、外注に管理を任せる方法も考えられる。イメージ・ジャパンの場合は後者を推奨しており、その場合は全体の2割を管理費として受け取っている。例えば企業が広告費として1カ月10万円をかけた場合、管理費を差し引いた8万円がプラットフォームに支払う広告費になる。外注先は管理費を受け取っている分、広告の設定などを適切に行ってくれる上、広告掲載期間中は分析を行い、コンバージョン改善のための提案まで行ってくれる。

広告費は企業が直接支払う方法もある。ただし、本来の業務に追われながら広告の分析を行い、改善を図るのはなかなか困難な場合が多い。改善提案も含め、外部に管理してもらうほうが効果を高められるだろう

やはり、費用対効果を高めるためには、分析に基づいた改善が欠かせない。そして費用対効果を高める上で隈部氏が特にオススメするのが、動画のテストマーケティングだ。同じ動画でもテロップを変えるだけで効果が変わってくるため、短い期間で複数のバリエーションを試した後、もっとも効果的だったものを大々的に展開していくという考え方だ。これなら、反応の低い動画に余計なコストをかけてしまうリスクを避けることができ、費用対効果を最大化できる。

内容がまったく異なる動画を制作してテストするのはコストがかかるが、テロップの差し替え程度であれば比較的軽微なコストでできるはず。小規模にテストを重ねながら、反応の良いものを見つけたい

動画は制作することが目的ではなく、Webサイトへの誘導やコンバージョンなどを伸ばすことが本来の目的のはず。動画広告に限ったことではないが、制作・分析・改善のサイクルが重要になってくる。

 

教えてくれたのは… 隈部周作
(株)イメージ・ジャパン代表取締役社長。千葉と東京にオフィスを構え、全国の中小企業を中心に動画制作、動画マーケティングのコンサルタントを行う。http://dougamarketing.net
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