動画のSEO

仮にWDが動画コンテンツを用意する場合、検索エンジン経由の集客は苦戦するだろう。検索エンジンの基本の仕組みは、Web上のテキストを巨大なデータベースに保管して、それをさまざまな基準で検索エンジンに返すものなので、テキスト情報が少なくなりがちな動画コンテンツはそもそも相性が悪い。

今回はそういった課題をどのように解決するのかをさまざまなWebサービスの事例をもとに解説したい。

 

大事なことはコンテンツを文字に起こすこと

全世界で400万人以上の会員を持つ動画教育サービスが「Lynda.com」。プログラミングスキルやHTMLコーディングなどのITスキルを、月19.99ドルか29.99ドルで学べる。各講座のページにはTranscriptというコンテンツがあり、講座の内容を文字に起こして表示することで検索エンジンも講座の内容を理解できるだけでなく、ユーザーが講座を受けるかどうか判断できるため、CVR改善にも寄与する施策だ。ログミーも、さまざまな動画コンテンツをテキスト表示することで検索流入を伸ばしている。この施策はぜひ取り入れてほしい。

 

文字起こしだけで評価されるとは限らない

一方で講座をすべて文字に起こすと、動画が閲覧されなくなるリスクが発生する。そもそも検索エンジンが好むコンテンツは、体系化されていたり、見出しで論理的に整理されているような情報だが、口語がそのまま検索エンジンが好む形に整理されているとは限らない。

こういった問題を解消するうえで有効な施策が、動画コンテンツを紹介する「集客メディア」を持つことだ。集客メディアというと大げさだが、動画を紹介する編集記事があれば良い。Lynda.comもブログで講師の紹介やハウツー記事を用意し、動画への導線を引いている(https://www.lynda.com/articles/)。

国内に50万人以上の有料会員を有するニコニコ動画も、導線としてニコニコ大百科というテキストベースのWikiコンテンツを用意している。サブカル特化のWikipediaのようなコンテンツで、単語に対する概要、関連動画、掲示板などあらゆる情報でページが構造化されており、ニコニコ動画よりもこのWikiコンテンツの方がSEOに強い。あくまでも憶測だが、ニコニコ動画への流入に相当寄与しているはずだ。

また、ニコニコ動画自体はタグページを大量に生成することで、SEO流入を担保している。検索ワードによる流入を調査できる外部ツールで調べると、検索経由の着地ページはほとんどがタグページになっているのがわかる。キーワードも検索流入が大きく難易度が高いものばかりだ。これも動画コンテンツのSEOの成功事例といえる。

注意点として、ニコニコ動画はユーザー投稿型のサービスなので雪だるま式にコンテンツが増える構造がある。こういったサービスはタグのような施策が有効ではあるが、数十、数百ほどのコンテンツであれば、タグを入れたからといって爆発的に流入が増えることはない。SEOはコンテンツ量で流入が決まるからだ。さらに、タグ施策自体は低品質や重複したコンテンツの温床となるリスクが高いため活用には注意したい。ニコニコ動画は「canonical」という正規化タグも使って重複状態を解消させているので、その点も参考になる。

 

動画のSEO

●動画コンテンツの検索流入を伸ばすポイントは 2つ

 

●ニコニコ動画のSEOは大規模動画サービスにとって参考になる

 

改造してくれる人:黒須敏行
1983年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、2007年にアルコ入社。過去10年間にわたり、コンサルタントとしてベネッセやラクスルなどにおけるメディアビジネスモデル領域のWebマーケティング戦略、SEO戦略のプロジェクトに携わる。「女性向けCGMサービスの検索流入を3倍増加」「検索経由の年商を新規に2億創出」などの成果を創出。http://www.alco.co.jp/
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