
[UX2-1]そのコンテンツは「誰に」「何を」もたらすのかを考える
あなたがイメージする理想の効果は?
あなたの運用するメディアは、ユーザーや自社にどのような効果をもたらすものにしていきたいですか? まず最初に、イメージを書き出してみましょう。この段階では、「なんとなくこんな風に利用されたらよいな」という願望で構いません。具体的な制限・制約などはひとまず抜きにして、将来的に目指したい姿や達成したいことなどを考えていきます。
Goodpatch Blogの場合には、以下の6点を挙げました。
(1)グッドパッチと一緒にサービスをつくりたいと思ってもらう。
(2)グッドパッチが提供するプロトタイピングツール「Prott」を使ってみようと思ってもらう。
(3)このブログをやっている会社に入社したいと思われる。
(4)部署・社内外を超えた、情報提供のハブになる。
(5)いままで放置・分断されてきた社内資産が一つの情報として結合し、発信されていく。
(6)Goodpatch Blogで構築されたグッドパッチブランドが、各部署に還元されていく。
ユーザー向けと社内向け二つの視点で考えよう
先に挙げたGoodpatch Blogのコンテンツがもたらす6項目は、(1)~(3)と(4)~(6)では目的が違っています。
前者は、「ユーザーにとってこういう存在になってほしい」というイメージです。メディアをすべて社内で運用していくとしても、その分のリソースがかかります。やるからには、ビジネスとして何らかのメリットをもたらさないとなりません。そのために、これまでリーチできていなかったビジネス層とブログで接点を持ち、最終的にはビジネスや採用などに繋げたいと考えました。
一方後者は、「自社のメンバーにとってこういう存在になってほしい」というイメージです。これまで以上にブログに注力するには、社内の協力が必要不可欠になります。そのためには、社内の役に立つ存在になる必要がありました。ブランディング、PR、マーケティングなど多様な還元をしていくプラットフォームにしたいと考えたのです。
このように、関わるすべての人にとって、どんな効果をもたらすのかを考えていくようにしましょう。
社内の理解・協力を獲得しよう
「自社にこんな効果をもたらすコンテンツを発信します」ということを社内に共有することは大切ですが、ただ「伝えた」だけでは不十分です。メディアは、会社の顔の一つとなるものです。しかし社内での理解や協力を得られなければ、ただ担当者が運用しているだけの、他の社員にとっては無関心な存在になってしまいます。
Goodpatch Blogの場合は、前身となる「MEMOPATCH」というブログがあり、そこでは社内のデザイナーがデザインに関する情報などを公開していました。自社のデザイナーのスキルやアンテナの高さが伝わり、採用やブランディングには非常に有効でした。しかしその反面、デザイナーでないとついてこられない内容が多く、ビジネスには繋がりにくい状況でした。Goodpatch Blogとしてリニューアルしビジネス的な効果をもたらすことを考えると、これまでの内容に比べてハードルを下げ、非デザイナーでも学ぶことができるコンテンツを増やしていく必要がありました。
リニューアル当初は、社内から「自分たちらしくない記事が増えてしまうのではないか」「今までと大きく変わってしまうのではないか」など不安の声があがってきました。彼らの理解を得るため、ブログの運用チームが各セクションのミーティングなどに参加し「どうして非デザイナー向けのコンテンツが必要か」ということを丁寧に説明しました。何度も直接顔をあわせてコミュニケーションを取ることで、解決していったのです。
こうした手間を怠ると、あなたが運用するメディアに社内から協力を得られなくなってしまいます。まずは社内で「これは自分たちにとっても有益な、愛すべきコンテンツだ」という認識を持ってらい、味方につけるようにしましょう。