【デザイナー3年目の教科書】クライアントの「本音」を引き出すにはどうすればいい? 小玉千陽さん(ium inc.)が教える「聞く力」を伸ばすコツ

新たな役割や課題に直面し、デザイナーとして次のステップを意識し始める“3年目”。第一線で活躍するデザイナーたちは、3年目に必要なスキルや視点をどのように身につけ、乗り越えてきたのでしょうか。デザインスタジオであるium inc.の小玉千陽さんに、デザイナーにとって欠かせない「聞く力」を伸ばすためのコツを聞きました。

答えてくれた人

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大事なのは、相手に寄り添う姿勢を磨くこと

デザイナーに求められるのは、クライアントの「本音」を引き出す力です。そのためには、何よりまず相手に寄り添う姿勢が重要です。

ただ形式的な質問を投げて一問一答を求めると、相手は質問攻めにあっているような感覚になりやすく、話す側に負荷がかかってしまいます。

一緒にいいものをつくるために、コミュニケーションの土台を築いているという目的意識を持つことが大切です。そのうえで、用意していた質問だけではなく、話の流れや相手の表情や反応も意識しながら、「相手が本当に思っていること」や「望んでいること」を丁寧に聞き出すことが重要なのでは、と考えています。

デザイナー3年目が、ヒアリングでやりがちなミスとは?

ヒアリングでよくあるミスのひとつに、「リサーチ不足」からくるものがあります。

十分にリサーチができていないと、相手がこちらの理解のなさにがっかりするような質問をしてしまったり、クライアントが話している内容が理解しきれず、深堀りできなかったりすることがあります。

また、自分が聞きたいことに意識が集中しすぎて、クライアントが伝えようとしている細かなニュアンスに気づかず、大切なインサイトを取りこぼしてしまうことも……。私自身もこのような経験が多かったため、事前のリサーチや準備がどれだけ重要かを実感しています。

「本音」を掴むためには、一歩踏み込んだ事前リサーチが必要不可欠

クライアントと同じ目線で会話ができるよう、現状のWeb サイトに掲載されている情報や会社資料などから、クライアントに対する理解度を徹底的に上げておくことは必須事項です。

私も若手のころは、聞きたいことに集中しすぎて、相手の細かな要望に気づけず、大事なインサイトを取りこぼすことがありました。

そうならないためにも、クライアントが抱えそうな悩みを想像したり、業界に対する理解を深めたり、競合他社の成功事例を集めたりと、自分の引き出しを広げることが大切。そうすることで自然と会話が弾み、より深い部分へと話を導くことができると思います。

小玉千陽さんが3年目の自分へメッセージを送るなら…

私にとって社会人3年目は、フリーランス2年目の年。いただいた仕事に全力で取り組んでいましたが、一歩引いて客観的に考え直したり、クライアントの要望に冷静に向き合ったりすることができず、主観の強さが目立つデザイナーだったと今では反省しています。

もう少し落ち着いて、地に足のついたデザインができるよう、広い視野を持つこと。業界トレンドや最新技術、建築、映画、ファッションなど、幅広くインプットをする時間を確保しながら仕事に向き合いなさい、と伝えたいです。

Text:掛谷泉、横塚瑞貴、室井美優(Playce)
※本記事は『Web Designing 2025年2月号』の掲載記事を一部引用・再編集しています。

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