
使いやすく独自色の強い新しい物流サービスに注目を●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」
混乱は「1日5件」から始まる
ECショップの大きな課題の一つが出荷に関する作業だ。ひとことで言えば単純だが、そこには山のような工程が含まれている。在庫の確認、発送日の確認、受注確認のメール送信、さらにはピッキングリストの作成、納品書印刷、梱包。もし在庫がなければ、メーカーに問い合わせてお客様に連絡、入荷日が確認できたら発送日を連絡する必要もあるだろう。
ここに、注文の変更や追加、さらには突然のキャンセルなどがあるわけだから、一筋縄でいかないのは当然のことだ。在庫が確認できない、箱がない、包装用のガムテープがない‥‥。ちょっとした出来事で現場は大混乱。そこにはミスの種が大量にまかれているのだ。
私の経験上、一人でECショップを行っている事業者の場合、1日の注文数が5件になると混乱が始まる。注文から商品到着までが平均4日とすると、常に20件の注文情報や顧客情報を頭のなかに入れておくのは大変だ。
成長しているショップの現実とは?
さらに売り上げが伸びてきたケースも考えてみよう。例えば、月商1,000万円のショップで客単価が5,000円だとすると、月間の注文は2,000件になる。月間稼働数が20日であれば1日に約100件の処理をしないといけなくなる。ピッキングから梱包、宅配業者への引き渡しまでの時間は、経験がある人でも1件あたり5分はかかるから、一人で働くなら500分、8時間以上も出荷作業をしなければいけないという計算になる。これではお客様サポートに費やす時間も、ミスをフォローする余裕もない。
出荷体制が破綻してしまったらどうなるのか。私の知っているあるショップでは、お客様への謝罪で業務がパンクし、店を閉めざるをえなくなってしまった。事業者の方であればよく理解しているだろうが、トラブルが元で離れた顧客は、なかなか元には戻らない。
ではどうすればいいのか。ミスを起こさないことは大事だが、それよりも、ミスが起きにくい運用体制を作るべきなのだ。そのためのポイントは、仕組み化による効率化だ。
物流の効率化が業務全体の効率化につながる
仕組み化を自社でするのも一つの手だが、物流のアウトソーシングもぜひ検討してほしい。在庫の管理から出荷に至るまでの工程を請け負ってくれるのが「物流サービス」だ。以前は物流のアウトソーシングというと、大手のショップが使うものという認識があったと思うが、今では在庫1点から扱ってくれるところもあるし、安価な利用もできるようになった。
さらにはサービスごとの特色にも注目したい。大きな物が得意とか、ファッションに最適化しているといったような品物に関することだけでなく、「海外発送も担当」「受注作業も請け負う」とか、「コールセンター機能が付随している」といった、業務全体の効率化を図ることのできるもの、さらには「ミシンでロゴ入りの刺繍をしてくれる」とか、「社員の教育をしてくれる」といったプラスアルファのサービスを利用できるところもある。こういった特色に注目して、自分の事業とマッチした物流サービスを選びたい。

ひと口に「物流」といっても、そこには入庫・検品から出荷に至るまでのさまざまな作業が含まれている。ここを効率化すれば、業務全体が効率化されるのだ
決断は早ければ早いほど良い
どこまでアウトソーシングするかは、ショップの方向性によって変わってくるが、見通しは早めに立てたい。冒頭で「日に5件の発注が混乱の始まり」と書いたが、月商50万円を超えたら、成長のペースを見極めながら情報を集め、早めに方向性を決めたほうがいいだろう。売り上げが上がってからの倉庫移転、アウトソーシング移転は熟練したプロでも難しい。しかも対応には1カ月、通常で3カ月が必要だ。先を見据えた早めの決断が大事なのだ。
- Text:川連一豊
- フォースター(株)代表取締役、ジャパンEコマースコンサルタント協会代表理事。1999年よりEコマースを始め、倍々で業績を伸ばす。楽天市場で講師等を手掛けた後独立。これまで1万社以上の企業、モール、ECサイトにアドバイスや取引実績がある。