
つくり手による、つくり手のための祭典「DemoDay.Tokyo」
さまざまなつくり手が集う実験結果の見本市のような「場」
突如NYに住む清水幹太さんが声を掛けてくれて、昨年12月に「DemoDay.Tokyo」というイベントを一緒に企画させていただきました。それまで一度もお会いしたことはなかったのですが、「塩谷さんの記事を読んでいれば、やりたいことはだいたいわかるから」と、嬉しいお誘いでした。
DemoDay.Tokyoは、“つくり手による、つくり手のための祭典”です。いま東京では、起業家や広報マンなどが大きな舞台で朗々とプレゼンする姿を多く見かけます。私もプレゼンすることが多いのでそんな場所に属しますが、語れば語るほどに、しかし自責の念に苛まれるわけです。「このプロダクトやサービスをつくってるのって、自分じゃないからー!」と。一方、エンジニアによる言語勉強会もたくさんありますね。これはこれで(私のような浅瀬にいる人間には)理解したくても知識がなくてさっぱりわからない。
ひらたく言えば、私にとってDemoDay.Tokyoは、この2つのわだかまりを解決してくれるような「場」となりました。作り手自身が作品のプロセスや意図をプレゼンする。そのこと自体がいわば、デジタルクリエイティブのカルチャーと、スタートアップカルチャーの良いとこ取りです。

クリエイターやスタートアップ企業らが集い、自らの作品をデモンストレーションするカルチャー「Demo Day」。会場や規模の大小にかかわらず、たくさんのクリエイティブチームの「発表の場・発表の方法」としてアメリカを中心に注目を集めている。プレゼンできる条件はただひとつ、「自らの手で」作品を生み出していること。12月13日、東京・渋谷のdots.を舞台に行われた「DemoDay.Tokyo」は、Demo Dayカルチャーの東京版プラットフォームとして、始動した。

同業者に向けたプレゼンではないので、来場者にわかりやすく伝わるよう、登壇者の方々とともに事前に練習を繰り返して、内容を吟味しながら当日に挑みました。
たとえ作品がデジタルクリエイティブであっても、業界の小さな村で、そのならわしに従っているだけではつまらない。いまの時代、面白い人は決まってジャンルレスな活動をしています。ファッションや音楽、飲食、照明などさまざまな場所からあたらしい道を開拓している。その真っただ中にいる登壇者の方々のご協力があって、なんだかカオスで、脳ミソの疲れる、濃密な1日になりました。
ファッションブランド・シアタープロダクツの金森香さんが、「この場がアウェイだと思ってたけど、実は日常こそがアウェイだったかもしれない」というようなことをおっしゃっていました。偶然にも、金森さんの前に登壇したiOSエンジニアの堤さんとトークのテーマが一致。かたや服の型紙を、かたやプログラミングのライブラリを「オープンソース化」していくと、どんな世界が広がるのか? というものでした。
未発表のもの、好奇心だけで作ってしまったもの、とんでもなく便利なもの。会場は実験結果の見本市のような場となり、来場者から「次はいつやるの?」という声を多くいただきました。これから文化として根付かせていきたいと思います。公式サイトもぜひチェックしてみてください。詳細レポートも掲載しています!
私はオープンソースにすべき型紙もプラグインも持っていませんが、思想をオープンソースにしていくのもまた、良いことです。そのおかげで、会ったこともないNY在住のクリエイターと一緒にあたらしい場をつくることになったんですから。

