《連載:Webクリエイターの“偏愛”仕事道具 Vol.1》ワヴデザイン・松本龍彦|第1話 対話を生むスマホスタンド

仕事で使う道具には、その人の思考や美意識、そして働き方が自然と表れます。本企画では、日々の仕事を支える「道具」を入り口に、Webクリエイターのスタイルをひもといていきます。
初回に登場するのは、ワヴデザインCEOでクリエイティブディレクターの松本龍彦さん。選び抜かれた道具の背景から、いまの仕事観に迫ります。
プロフィール

松本 龍彦 さん
Wab Design INC. CEO / Creative Director
ショップスタッフ、デザインプロダクション、アパレルのグラフィックデザイナーを経て2003年に独立。2006年ワヴデザイン株式会社を設立。衣食住の分野に豊富な知識と実績をもつ。ストラテジー、デジタル・アナログを問わないクリエイティブ、ビジネスとのバランスの取れたプランニングを得意とする。主な受賞にグッドデザイン賞など。
https://wab.cc
松本さんの仕事道具①|Lomicall アルミ折り畳みスマホスタンド

Lomicall アルミ折り畳みスマホスタンド
発売:Lomicall
価格:2280円(編集部調べ)
URL:https://item.rakuten.co.jp/lomicall/a2/
旅行の風景から、仕事の風景へ
このiPhoneスタンドを使い始めたのは、今から5〜6年ほど前のこと。きっかけは、旅先で偶然目にしたある光景にありました。
「飛行機の中で、前の席に座っていた若い人がスタンドを使ってスマートフォンを立てていて。単純に“便利そうだな”と感じたんです」(松本)
折りたたみ式で、持ち運びもしやすそう。そんな印象から、当初は旅行用の道具として手に入れたといいます。機内で映画を観たり、自宅で食事をしながら動画を流したりと、用途はあくまでリラックスタイムの延長にありました。
しかし、リモートワーク中心の働き方へと移行するにつれ、このスタンドの位置づけは大きく変わっていきます。
「気づけば、完全に“仕事の相棒”になっていました。今では外出時に忘れると、正直かなりがっかりしますね」(松本)
AIと「対面」するためのインターフェイス
現在、松本さんのデスクには、ノートPCと並んでこのiPhoneスタンドが置かれていることが多いそうです。主な用途は、ChatGPTとの対話です。
「音声モードで会話しながら、企画を練ることが多いですね。タイピングしなくていいのはもちろん、会話する感覚で考えを広げられるのがいい」(松本)
Slackで簡単な文章を書く際にも、音声入力を使うことがあるといいます。iPhoneを机に寝かせるのではなく、スタンドで立てて置く。その“高さ”が、思考に与える影響は小さくありません。
「机にベタ置きしていると、どうしても話しかける気にならない。でも、視線の高さに立てて“対面”させると、不思議と使いたくなるんです」(松本)
デバイスとの距離感や位置関係は、AIとの向き合い方をも左右します。松本さんは、そうした感覚を日々の実感として捉えています。
誰もが手に取れる道具の中に、質を見出す
現在では、MagSafeで背面に装着するタイプなど、よりスマートなiPhoneスタンドも数多く存在します。それでもこの製品を使い続けている理由は明確です。
「決め手は、構造の堅牢さですね。ヒンジが本当にしっかりしていて、長く使っているのにほとんど緩んでいません。価格は手頃ですが、安定感は十分。“誠実なものづくり”を感じますね。高価なデザイナーズ家具にも惹かれますけど、一方で、こういう“ちゃんと作られている日用品”にも愛着が湧くんです」(松本)
もし壊れても、すぐに手に入る。そのカジュアルさも、日々使う道具としては重要な要素です。
「気負わず使えることも含めて、今の自分の仕事にはちょうどいい道具だと思っています」(松本)
《第2話》に続く
取材・文:小平淳一
