知らなきゃ損するv0実践ガイド|ワイヤーフレーム・企画書・見積書を最速で仕上げる方法

ワイヤーフレームの作成に、どれくらい時間をかけているでしょうか。提案書、見積書、ガントチャートを、それぞれ別のツールで行き来しながら用意していないでしょうか。chot Inc.代表・小島芳樹さんは、それらをすべてひとつのツールで完結させていると言います。使っているのは、生成AIサービス「v0」。このツールは、Web制作のワークフローをどのように変えつつあるのか。小島さんに、そのノウハウを聞きました。

目次

教えてくれた人

小島 芳樹
ちょっと株式会社 代表取締役社長

1986年生まれ。会社員としてWebデザイン・ディレクション・事業開発の仕事に携わるかたわら、勉強会や技術者向けのコミュニティを主催。2018年5月に独立し、2019年4月にちょっと株式会社を設立
https://chot-inc.com

v0とは何か──Vercelが描く「言葉から始まるWeb制作」

「こんなWebサイトをつくりたい」。そのイメージを言葉で入力するだけで、数分後には動くWebページが立ち上がる––––––「v0」は、そんな体験を可能にする生成AIサービスです。

ワイヤーフレームの作成、クライアント提案のたたき台づくり、業務システムの管理画面の試作。コードを書かずに“まず形にする”工程を一気に進められるツールとして、私は最近ほぼ毎日v0を使っています。

v0を提供しているのはVercelで、同社はこれまで、WebフレームワークのNext.js、ホスティング基盤のVercel、そして複数のAIモデルを接続できる「AI SDK」を展開してきました。v0はそれらを統合し、自然言語の入力からUI生成、公開までを一気通貫で扱える環境です。

登場当初はNext.jsの知識が前提とされ、エンジニア向けの印象が強いプロダクトでした。しかしここ1年で機能は大きく進化し、いまではWebディレクターやデザイナーでも十分に扱えるツールへと変わっています。

細部まで作り込んだビジュアル表現には向きませんが、シンプルで整理されたUIであれば、そのスピードと再現性は高い。制作の初速を上げる装置として、v0は確実に存在感を増しています。

v0はWebブラウザから利用します。v0のWebサイトにアクセスし、最初に[Sign Up]ボタンを押してアカウント登録を行いましょう
v0のメイン画面。多くの生成AIと同じように、中央に文字入力欄があるシンプルなUIです

v0の基本的な使い方。ワイヤーもたたき案も数分で形になる

v0は、ごく自然な日本語でページを生成できます。たとえば「Web Designingというメディアサイトを構築します」といった簡単なプロンプトを入力するだけで構いません。

送信すると、裏側ではソースコードの生成が始まり、サイト構築に必要なファイル群がプロジェクトフォルダに自動配置されていきます。しばらく待つと生成が完了し、トップページがv0上に表示されます。先ほどの例では、トップページだけでなく、記事ページや各種下層ページまで一括で出力されました。

想定と異なる内容が生成された場合は、対話を重ねながら修正していきます。追加の指示を与えれば、構造や文言、UIのトーンも段階的に調整可能です。

また、FigmaのデザインデータやGitHub上のプロジェクトを読み込む機能も備えています。加えて、データベースサービスのSupabaseと接続すれば、実際のデータを用いたWebアプリケーションをそのままプレビューすることも可能です。

ワイヤーフレームの作成にとどまらず、実装を見据えたプロトタイプまで一気に進められる点が、v0の大きな特徴だと言えるでしょう。

つくりたいものを日本語の文章で入力すると、v0が必要なソースコードを生成し始めます。進行状況は画面左側にリアルタイムで表示されます
生成が終わると、画面右側のメインエリアに表示されます。下層ページも生成されており、ボタンなどをクリックするとページ遷移して確認できます
v0のUIは、「shadcn/ui」というシンプルなデザインシステムを活用しています。かつてBootstrapが果たしていたUIフレームワークの役割を、いまはNext.jsと相性の良いshadcn/uiが担っています

ほかのAIで壁打ちしてから使うのがおすすめ

手軽に使えるのがv0の強みですが、私の場合、いきなりv0にプロンプトを入力することはあまりありません。v0はトークン消費型のサービスで、やり取りを重ねるほど追加購入が必要になるためです。

コストを抑えるには、まずGeminiやChatGPTで壁打ちを行い、アイデアや構成を整理してからv0に入力するのがおすすめです。あらかじめプロンプトを練り込んでおくことで、少ない試行回数で理想に近いアウトプットを得やすくなります。

Webディレクターの方がワイヤーフレーム生成を目的に使う場合には、プロンプトに「無機質に」というキーワードを加えるのも一つのコツです。装飾を抑えた出力になり、構造確認用の骨格として活用しやすくなります。

生成したページは[Share]ボタンから共有リンクを取得できます。そのURLをクライアントに送れば、ブラウザ上で確認してもらえます。共有設定には[Anyone with the link]と[Anyone with the web]の2種類がありますが、後者を選ぶと検索エンジンの対象になる可能性があります。確認用途であれば「Anyone with the link」を選択するのが安全です。

v0は無料でも利用できますが、1日の会話量や生成できるもののボリュームに制限があります。有料プランにすることで、制限が緩和されるほか、必要に応じてトークンを追加購入できるようになります
「無機質」というキーワードを入れ、電気料金乗り換えシミュレーションページを生成してみました。デザインは非常にシンプルですが、実用的な要素はしっかりと揃っています
画面右上にある[Share]ボタンで、プロジェクトを共有できます。[Anyone with the link]と[Anyone with the web]の2種類がありますが、前者を選ぶのが安全です 

プロの現場を変える「裏技」

v0は、Webサイトやアプリの生成だけにとどまりません。実務の周辺業務にも応用できます。

企画書の作成

たとえば企画書の作成です。v0でWebサイトを生成したあと、「このWebサイトの企画書スライドをつくってください」と指示します。すると、コンセプト、ターゲットユーザー、サイト構成、運用方針、収益モデルまで整理された提案資料が、ブラウザ上で確認できるスライド形式で出力されます。

ゼロから資料を組み立てるのではなく、まず“叩き台”を一瞬で生成し、そこに人間が手を入れていく。この進め方のほうが、圧倒的に速いと感じています。

Webブラウザで表示できる企画書を一瞬で生成できます。内容を精査しながら文字などを編集し、[Share]ボタンでクライアントと共有しましょう

見積書の作成

さらに「見積書もつくってください」と指示すれば、見積書まで生成されます。もちろん自動生成なので精査は必要ですが、内訳や費用感はかなり現実的。承認欄や捺印欄、有効期限まで含まれており、実務にも十分耐えうるレベルに達しています。プロジェクトによっては、金額を微調整するだけでそのまま使えるケースもあるでしょう。

見積書もブラウザ形式で生成され、URLを共有すればそのままクライアントに確認してもらえます。「PDF出力ボタンを追加してください」と指示すれば、出力機能も即座に実装されます。

作成したプロジェクトの見積もりも生成できます。生成したページの右上に[印刷/PDF保存]をつけることも可能です(リクエストしなくても最初から生成されるケースもあります)

ガントチャートの作成

もう一つ便利なのが、ガントチャートの作成です。「平日のみ稼働で3月1日から開始」といった条件を入力するだけで、完成までのスケジュールが可視化されます。担当人数や工程の詳細を加えれば、より精度の高い計画に仕上がります。

私は、クライアント提出用のスケジュール案をv0で作成し、プロジェクト正式始動後はBacklogで管理する流れにしています。生成AIを“叩き台づくりの加速装置”として位置づけることで、制作以外の業務も大きく効率化できます。

要件定義やデザインといった現実的なフェーズに分かれたガントチャートまで生成できます。作成するプロジェクトのボリューム感に合った自然なスケジュールが一発で生成されるのは驚きです

真の価値は、イメージを早い段階で形にできること

v0を使えば、ワイヤーフレームの作成から企画書、見積書、ガントチャートまでを一つのツールで完結できます。時短や効率化は確かに大きなメリットです。

ただ、私がそれ以上に価値を感じているのは、「これからつくるもののイメージを、早い段階でクライアントに提示できる」点にあります。

実際に動く形で共有することで、議論は具体化します。抽象的な言葉のやり取りでは見えにくかった認識のズレも、早い段階で可視化されます。プロジェクトの失敗要因の多くは、初期の解像度不足にあります。それを未然に防げる効果は大きいと感じています。

また、事業会社が新規事業を立ち上げる際にも有効です。Webサイトの検討にとどまらず、事業そのものの方向性や提供価値を検証するための“思考のプロトタイプ”としても活用できます。

最近はAIを活用した「バイブコーディング」という言葉も広がりつつあり、CursorやClaude Codeといったツールを使えば、高度な開発も可能になっています。

ただ、デザイナーやディレクターといった非エンジニアの立場から見ると、v0のほうが格段に親しみやすい。自然言語で生成し、その場でプレビューし、直接編集できる。この一連の体験は、ほかの開発系AIとは異なる強みです。

無料で使い始められるので、まずは触ってみることをおすすめします。生成AIが制作フローをどう変えるのかは、体験してみるのがいちばん早いはずです。

語り手:小島芳樹(chot Inc.)、取材・執筆:小平淳一

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