
グッドパッチ創業15周年。大規模リニューアルを支えたFunTechの挑戦!

2026年9月1日。グッドパッチが創業15周年を記念して、コーポレートサイトを全面リニューアルし、同時に創業15周年サイトも公開しました。グッドパッチの現在地と未来を表現している2つのWebサイトは、いずれも高いクリエイティビティを発揮した内容で、公開直後から大きな注目を集めています。
Web Designing編集部では、本案件の企画・制作を手がけたクリエイティブ集団、スーパークラフト&ブランディングカンパニーを掲げる「FunTech」へのインタビューを敢行! FunTech代表取締役CEOの太田義孝さんに、大規模リニューアルの舞台裏やプロジェクトに込めた思いなどを、率直に語ってもらいました。
今回は、FunTechが本プロジェクトに参画することになった経緯と、5年ぶりとなるグッドパッチのコーポレートサイト刷新の見どころに迫ります(※創業15周年サイトについては、別の回で改めて伝えます)。
目次
グッドパッチが注目したFunTechとは?
──グッドパッチが公開した2つの大きなWebサイトについて、FunTechがそれぞれの制作を手がけることになった経緯を教えてください。
太田義孝(以下、太田) グッドパッチさん側では、最初、複数の会社に声をかけたとうかがっています。「2026年でもっとも勢いのあるプロダクション」として、私たちにもお声がけいただけたそうで、率直に光栄でした。
最終的に選んでいただいたのは、それだけではなかったとも聞きました。私たちは、正式な提案をするまでに約2週間で4度のヒアリングの時間をいただいて、グッドパッチさんがとても大切にされている存在意義(Why)について、現在の事業や経営状況、今後の戦略、これまで同社が歩んできたストーリーなどとともに、一つひとつ丹念に話をうかがっていきました。そうした姿勢が評価につながったのだと思います。

──本案件の質問を進める前に、FunTechのことを教えてください。2026年に創業10周年を迎え、3Dや映像制作にも定評があるとうかがっています。
太田 創業当時の10年前は、まだ私は大学生でした。2016年、Web制作の需要の高まりを感じて起業したのがFunTechです。初期はLP(ランディングページ)を数多く手がけ、4期目あたりからデザイン会社としての手応えを感じるようになりました。
──当時の経験が、要件をまとめる前の段階を大切にする姿勢にもつながるのでしょうか?
太田 その後、企業の採用サイトを手がける機会が増えて、サイト制作にとどまらず、採用戦略にもかかわるようになりました。さらには、クライアントのブランディングや戦略設計にも伴走するようになって、そうした地道な経験が今日のFunTechの基礎をかためていったと思います。

なぜグッドパッチはFunTechを選んだのか
──グッドパッチがFunTechを選んだ決め手を、どう考えていますか?
太田 大前提として伝えたいのが「熱量」です。FunTechの最大の強みはアウトプットのつくり込みですが、全身全霊をかけてどのプロジェクトにも取り組む強い意思や覚悟は、どこにも負けない気持ちで臨んでいます。随分、面白くないことを言って申し訳ないのですが(苦笑)。
──いえ、そんなことはありません。とても大切なことです。
太田 そのうえで、私たちは前例がないこと、世の中に出ていないことへの挑戦を周りの目を気にせず、臆さずに突き進む姿勢を大事にしています。今回、深く丁寧に相手を知る姿勢も評価していただきましたが、私たちの意気込みも感じ取ってくださったのだと思っています。「FunTechなら、やってくれそう」というご期待に応えるために、身を引き締めて携わりました。
──本プロジェクトでは、実際にどう反映されていますか。
太田 2サイト共通で言えるのが、最先端技術を用いた実装に徹したことです。だからこそ、3カ月弱の実装期間でこれら2サイトを完成できました。率直な言い方をするなら、“バリバリに”AIを使っています。
──全面的に、ですか?
太田 現時点で、今回ほど徹底してAIを使いこなしたWebサイトは、少なくとも上場企業や一定以上の組織規模のサイトだと「ない」のではないでしょうか。前例を気にしないからこそ、突き進めたと思っています。
もちろん、実現の背景には、上場企業でありながらGoサインを出したグッドパッチさんのご理解とご決断があってこそです。まさしく突き進む姿勢は、グッドパッチさんが対外的に示したい姿勢と通じるところで、そうした部分への「共鳴」が本案件の根幹を支えています。
工程ごとに最適なAIを活用する
──全面的なAI活用について、もう少し具体的に教えてください。
太田 言い換えると、工程ごとに最適なAIを使い分けています。
たとえば、実装にはClaude CodeやCodex、画像生成にはGPT Image、映像生成は、Seedanceなど複数のモデルをFigma Weave上で使い分けています。また、生成した映像を高品質化するためにアップスケーリングツールも組み合わせて、調整しました。社内エンジニアに環境を整えてもらって、Figma Weaveで画像・映像などの生成系をすべて横断的に扱えるようにして、アイコンや各種ビジュアルの制作・加工も実施しました。
──企画から制作、実装までを支える基盤として、AIを使いこなした?
太田 はい。今回の案件は、グッドパッチ創業15周年と、AIによるダイナミズムが起きている現代というタイミングとが重なった、と思っています。そこで、制作の姿勢だけでなく技術や表現についても、従来にはなかった手法をどんどん、意識して取り入れました。また、グッドパッチさんは当初から最後まで、私たちのクリエイティブの姿勢を最大限尊重し、つくり込みを粘らせてもくれました。上場企業相手に、今回ほど極限までつくり込めるとは思いませんでしたね。
全面刷新したコーポレートサイトの見どころは?
──ここからはコーポレートサイトのフルリニューアルについてお聞きします。
太田 変革への思いはありながら、コーポレートサイトにはステークホルダーがいます。そのため、ダイナミックに表現する箇所と、シンプルさや表示速度を優先する箇所とのバランスを意識して制作しました。
──とはいえ、一般的なコーポレートサイトとは一線を画す創造性を感じます。
太田 上場企業として求められるバランスには十分配慮しながら、クリエイターが憧れるデザイン会社としての面白さや凄みも伝わる仕上がり(体験)を目指しました。大胆な表現を思う存分に追求したのは15周年記念サイトに譲りますが、コーポレートサイトは細部のつくり込みを中心に、最後まで粘って、調整を続けながら実装しています。
──ズバリ、見どころは?
太田 まず挙げたいのが、初回アクセス時に3Dビジュアルが広がる場面です。3Dの立体オブジェクトをはじめ、動画ではなくコードベースでリアルタイムに描画しています。






太田 一方で、AI中心の制作と言ってきましたが、すべてがすべて、完全にAIまかせにしたという意味ではありません。
──どういうことでしょうか?
太田 核となる3Dモデリングは、手作業でひとつずつ、丁寧に造形していきました。そのモデルデータを読み込んだうえでWeb上での見え方、たとえば色やライティング、質感といったテクスチャを調整していきました。


細かなつくり込みは、じつはグッドパッチとFunTech、両社のCEOが自ら手を動かして完成へとこぎつけたのだとか
──要所で手作業を取り入れながら、最適にAIを活用した、ということですね?
太田 今回の工夫のひとつが、エンジニアにGUIの調整パラメータを組み込んでもらったことです。これで、私やデザイナーなどの非エンジニアメンバーが直感的に色味や質感、ライティングを調整できるようになり、完成まで自分たちの手で追い込んでいきました。

AI時代のコーポレートサイトのスタンダードに?!
──スクロールを進めていくと、オブジェクトやキャラクターが動くなど、移動のたびに印象に残る体験が用意されています。
太田 ありがとうございます。ぜひみなさんにも、ページの下部まで進んでいただきたいです。たとえば、「Get In Touch」へ進んでいくと、ハートを持つキャラクターの手と、人の手が合わさる場面があります。

太田 さらに最下部のフッタでは、マウスの動きにあわせて足跡を残していく演出も用意しています。決して技術的に難しいことはやっていませんが、すみずみまで、きめ細やかにつくり込んでいます。この箇所も、そうした表現のひとつです。


ぱっちーが視線を動かすなど、心にくい細かなつくり込みがこうした部分にも垣間見えます
──固定ページで60ページ規模の制作、と事前にうかがっていましたが、ものすごく手数がかかっていますね。
太田 今回の取材では、どうしてもみなさんに伝えたいことが1点あります。それは、アクセシビリティへの配慮から、モーション機能の停止ボタンを用意したことです。これは、グッドパッチのアクセシビリティチームから提案をいただいて実装したものになります。

太田 このボタンでモーションを「オフ」にすると、Webサイト内の動きや演出面がすべて止まります。映像で動いているものは静止画となりますし、ホバーやインタラクションがなくなるようにしています。
──モーションオフで閲覧できる、と?
太田 おっしゃる通りです。ユーザーの選択肢を確保できると、届ける側の表現にも選択肢が生まれます。このボタンを用意しておけば、多方面に配慮したWebサイトがつくりやすくなると思っています。国際的な標準ガイドラインであるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)でも、動きがあるページはユーザーが停止、または非表示できる必要がある、と定義されています(参考)。今後、上場企業サイトのスタンダードになるかもしれない、と感じながら実装していました。
──この実装が普及すれば、コーポレートサイト表現の可能性を確実に広げてくれそうですね。 次回は、15周年記念(Goodpatch 15th Anniversary)サイトについてうかがいます!
WD Editor’s Eye|編集者の視点
思わず取材中にうならされた箇所の1つが、モーションのオン・オフボタンの説明。きちんと配慮するべきことを欠かさない、こうした本サイトの特長もみなさんに知ってもらいたいです。インパクトでいえば、創業15周年サイトの影に隠れるかもしれませんが、本サイトも一般的なコーポレートらしからぬクリエイティブな雰囲気を体感できます。
本プロジェクトを手がけたのは……


2016年5月創業。「スーパークラフト&ブランディングカンパニー」を掲げ、戦略設計から、Webデザイン、フロントエンド実装、モーション・3D表現、映像制作までを自社チームで手がけるデジタルクリエイティブ制作会社。東京・渋谷を拠点とする。Awwwards Site of the Day、CSS Design Awards Website of the Day など、国内外のアワードでの受賞多数。
今回は、FunTech代表取締役CEOの太田義孝さん(写真)がインタビューに応じました。
Title
グッドパッチ コーポレートサイト
Credit
Client:株式会社グッドパッチ
Strategic Planner、Concept Design:太田義孝、松本健佑/CD、AD、Concept Copy Writing:太田義孝/Design、Motion Design:森屋楓土/Design:仮屋佑哉/Character Design:堀野絢平/Frontend Developer、Motion Design:橋本卓磨、城倉禄/3D Modeling:テレンス・ド・フリース/Quality Assurance:田中優樹
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取材・文:Web Designing編集部