《デザイン基礎講座》「インタラクションデザイン」を学ぶメリットとは?

インタラクションデザインとは、使う側の気持ちを大事にする設計思想のこと。UIの設計をする際に、システム側の都合ばかりを重視したり、ユーザーを騙すような仕組みに対して「NO」を宣言することでもあります。ユーザーとの関係性を重視する今の時代には、ぜひ学んでおきたい分野です。

目次

システムよりユーザーを重視する

近年、その重要性がますます高まっているインタラクションデザイン。「interaction」という言葉が使われていることからもわかるように、ユーザーとシステムのやり取りを設計することを言います。その際に、「ユーザーがシステムを嫌いにならないようにする」といった、ユーザーの感情部分にも注目する点がその特徴です。

例えば、電話番号を入力する欄をデザインするケースを考えてみましょう。

電話番号には、8文字以上の数字がないと成立しないというルールがあります。システム側の都合で考えれば、ユーザーのデータを受け取った後に「8文字に達していないのでやり直してください」と返す形で構わないでしょう。

しかし、ユーザーの立場になってみれば、「そんなこと、入力時に指摘してくれればいいのに」となる。こうしたケースで、ユーザーがフラストレーションをためない仕組みを、いかにして設計していくかがインタラクションデザインのポイントになります。

インタラクションデザインが必要なケースはさまざまあり、事例に応じて対策の形は異なります。効果的なフィードバックを与えるのがいいケースもあれば、応答時間を適正化するのがいい場合もある。インターフェイスを親しみやすくするといったところに解決策が存在する場合もあります。

そのためインタラクションデザインは、Tips集的な形をとって説明されることが多く、実際にそうしたTipsを包括してインタラクションデザインと呼んでいるケースもあります。

解約はスムーズに
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「こずるいこと」はしない

インタラクションデザインは、昨今の「ダークパターン」に対する考え方として紹介されることもあります。ダークパターンとは、例えば、ユーザーが気づかないうちに手数料をとってしまうとか、申し込みの際に最初からニュースレターを購読するよう設定しておくと言ったような、“こずるい施策”全般を指します。近年のLTV(ライフタイムバリュー)を重視する考え方とはまったく相容れない思想ですが、短期的な目標を達成したいばかりに、こうした手法に手を染める人は少なからずいます。

インタラクションデザインに取り組むことは、そうしたダークパターンに対して「NO」の立場をとることであり、ユーザーとの関係性を正しい形に進めていくことです。

LTVのみならず、ユーザビリティや満足度、エンゲージメントの向上に重要な影響を与えるもの。誰もが身につけたいスキルと言えるでしょう。

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アクティブ率を高めたり、休眠ユーザーにアプローチするのに使われるプッシュ通知。何も考えずに利用していると逆効果になることも…。
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教えてくれたのは…

広野 萌さん
株式会社フォルテ 代表取締役 一般社団法人デザインシップ代表理事 デジタル庁/ヤフー株式会社にデザイナーとして入社後、2015年株式会社FOLIO共同創業。2018年一般社団法人デザインシップ設立、2021年株式会社フォルテ設立、同年内閣官房IT総合戦略室を経てデジタル庁入庁。

Text:小泉森弥 Illustration:國廣 稔
※本記事は、「Web Designing 2024年2月号」の記事を一部抜粋・再編集して掲載しています。

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