《イベントレポート》Webデザインの祭典「Studio Design Award 2024」授賞式が今年も開催! グランプリを受賞したWebサイトは……

ノーコードWeb制作プラットフォーム「Studio」を運営するStudio株式会社は、2025年2月7日(金)、Webデザインの祭典「Studio Design Award 2024」を開催しました。アワード受賞作およびイベントの模様をレポートします。

目次

5回目となるWebデザインの祭典「Studio Design Award 2024」

「Studio Design Award 2024」(以下、SDA 2024)は、2024年にStudioを使用して制作・公開されたWebサイトの中から優れたサイトを讃えるWebデザインの祭典です。

2020年に第1回目が開催され、今回が5回目。年を追うごとに応募作が大きく増え、今回は377サイトと過去最大のエントリー数となりました。

アワードにノミネートされたのは、このうち48のサイト。一般からの投票数で受賞作が決まる「オーディエンス賞」の投票期間(2025年1月20日〜27日)を経て、2月7日、グランプリをはじめとする各賞の発表を行うSDA 2024授賞式イベントが開催されました。

今回の会場は、渋谷ヒカリエホール。広いホールの中央にStudioを象徴する「/」の形にステージが配置され、壁沿いにはノミネート作品のパネルが掲示されました。

また来場者にノベルティとして手渡されたのは、Studioの作例とクリエイターのインタビューを集めた書籍『Studio Site Gallery』をはじめとするStudioの特製グッズ。さらにバーカウンターでは、Studioスタッフが醸造所まで足を運び、こだわってつくりあげたオリジナルのクラフトビール「Studio Hazy Pale Ale」が振る舞われました。

授賞式のほかにも、ゲストを招いてのトークセッションや、ノミネート者によるLT、アフターパーティなど、豊富なプログラムで1日まるごとデザインとクリエイティブを楽しむイベントとなりました。

受賞したWebサイトを一挙紹介!

ここからは、377のサイトから選ばれた10の受賞サイトと特別賞1社を、発表順にご紹介します。

Takram賞:Next 10 Chairs

デザインの可能性を追求するプロジェクトから生まれた、10脚の挑戦的なデザインの椅子と、それを形にする工房の魅力を伝えるサイト。株式会社RYDENとの共同案件です。50以上の項目を5つのCMSモデルで整理・管理し、美しさだけでなく機能性・運用性も兼ね備えています。「シンプルでありながら既視感がなく、それでいて細部まで気の行き届いた心地よさを感じる」と評価されました。

クレジット
Client:赤沼 百生、富井 育宏、中島 生幸(DE-SIGN)
Craftsman:株式会社イヨベ工芸社
Art Direction / Design:岡野 真也(RYDEN)
Design:三木純代
Producer / Director:兵庫 達人
Photographer:本浪 隆弘
Prop Stylist:秋山 麻衣子(mag)
Studio実装 :東江 秀(gaz)
Custom Code:三ヶ尻 有輝(gaz)、東江 秀(gaz)

iDID賞:私食散文 – PERSONAL MEALS, PERSONAL WORDS

食に関するエッセイをまとめた個人制作のZINE「私食散文」のWeb版ZINE。「極めて個人的で、実験的なアイディアを実現できるのがStudioというプラットフォームであり、ものづくりの可能性でもある」と、1人の情熱を“パーソナル・ウェブジン”として昇華した魅力が評価されました。

KAZUHA NAKAMOTOさん欠席のため、Studio株式会社CEO・石井穣さんが代理で登場しました

クレジット
Wireframe、Web design、 Studio、 Logo、 Copywriting、 Photo:KAZUHA NAKAMOTO

Web Designing賞:名古屋たちばな高等学校マーチングバンド部

映画『沈黙のパレード』を観てマーチングバンド部のサイトをつくりたいと考え、熱量あるパフォーマンスをする高校に声をかけて形にしたという自主制作サイト。シンプルな構成ながら、迫力あるイラストやドラマチックなアニメーションなど、心を惹きつける精緻なストーリー性が評価されました。

クレジット
情報設計・デザイン・Studio実装:大橋絵里奈
写真撮影:サジ ヒデノブ

S5 Style賞:タイムトリップしよう、常陸国ロングトレイルで。|茨城県

茨城県北地域の6市町村にまたがる「常陸国ロングトレイル」のブランディングを目的にした特設サイト。地域の特性や文化を魅力的なコンテンツとして再構築し、高いブランド性を実現している点が評価されました。ユーザーのニーズに沿って動画、記事、旅プランといったコンテンツが配置され、ビジュアルやUIの品質がユーザー体験の価値を高めています。

クレジット
■ Produce
Planner: Riku (NEWPEACE)
Art Director: YOPPY(NEWPEACE)
Producer / Project Manager: Yuri Abo(NEWPEACE)
■ Web Design
Creative Director: Tatsuhiko Matsumoto(Wab Design)
Web Director: Naho Ando(Wab Design), Sachino Iwasa (Re:design)
Art Director: Mariko Muto(Wab Design)
Designer: Mariko Muto(Wab Design)
Developer:Takamichi Saito(Re:design),Takuya Matsumoto(Wab Design)
■ Map Design
Map Designer: Mahiro Kamioka(cocochi(Onf Inc.))
Map Designer: Arisa Muto(cocochi(Onf Inc.))
Illustrator: YU SUDA

THE GUILD賞:4周年を迎えたカロアをのぞいてみよう!

Web制作を行う株式会社caroaの4周年記念サイト。表に出ることの少ない制作メンバーにスポットを当て、制作の舞台裏や仕事術、それぞれの想いを紹介しながら、自社の魅力を紹介しています。「カロアをのぞく」というコンセプトから、“のぞく”体験を軸にしたさまざまな演出を組み込み、ユーザーの興味を惹き続ける設計が評価されました。

クレジット
Planning:葉栗 雄貴
Direction:松下 佳奈
Design, Illustration, Studio Development:北川 太我

アイディア賞:NEWTOWNデザイナー募集2024

NEWTOWNのデザイナー採用サイト。「Webサイトに本のような帯を巻きたい」というアイデアが、社外の方々に描いてもらった推薦文によってよりリアルになり、中身が気になると感じさせます。カルーセル機能を活用した演出も含め、Studioでデザインする楽しさ、面白さを存分に表現したサイトとして評価されました。

クレジット
デザイン・Studio実装:犬飼崇

クラフト賞:TOYOTA FINANCE Design Team

トヨタファイナンス株式会社のデザイナー採用サイト。キービジュアルはblenderで作成した3Dアニメーションをカスタムコードで実装。スクロールに合わせたシームレスな動きを実現し、コンテンツの世界観や価値観が丁寧に表現された細部へのこだわりが、クラフト賞にふさわしいと評価されました。

クレジット
Account Executive:小林 尚規
Art Director:小猿 啓太
Lead Designer:豊田 メル
Assistant Designer:福邉 美波
Lead Developer:大島 涼佑
Photographer:相川 健一(フリーランス)

アウトカム賞:株式会社Awarefy コーポレートサイト

株式会社Awarefyのリブランディングで制作したコーポレートサイト。リニューアルにより指名検索が約2倍に増加、採用応募数増加といったプロジェクト成果への貢献が評価されました。細部までこだわった表現力・技術力はもちろん、プレスリリースや採用ブログの更新性など、情報発信の効率・頻度を向上させる機能面もよく考えられています。

クレジット
Creative Direction:阿部 文人
Art Direction:今 聖菜・長野 真理
Direction / Project Management:夏井 ひとみ
Web Design:今 聖菜・長野 真理・龍神 菜緒・中川 小雪・田口 冬菜・安達 友香・阿部 文人
Editorial Design:今 聖菜・長野 真理・龍神 菜緒・中川 小雪・阿部 文人
Logo Design:今 聖菜・中川 小雪・龍神 菜緒
Character Design:今 聖菜
3DCG Logo & Character Modeling:長野 真理
Motion Design:長野 真理
Contents Design:夏井 ひとみ・龍神 菜緒・阿部 文人
Development:佐藤 あゆみ・高木 菜美・龍神 菜緒
Digest Movie & Motion Graphics:田口 冬菜

オーディエンス賞:株式会社URAKATA

「経営者の孤独に寄り添う」をミッションとする株式会社URAKATAのコーポレートサイト。モノトーンの落ち着いたデザインや、黒衣をモチーフにしたロゴマークが影分身のように現れるアニメーションが、裏方として経営者をサポートするパートナーとしての存在感を表現しています。親近感の湧くイラストや触れていて心地のよい演出なども、多くの人を惹きつけるポイントになったと思われます。

クレジット
クリエイティブディレクター:東和香
デザイナー:片岡篤大

Experts of the Year:株式会社gaz

年間でもっとも目覚ましい活躍を見せたStudio Expertsに授与される賞として、今回新設されました。初代の受賞者は、創業時からStudio専門で400以上のサイトを制作してきた株式会社gazです。数だけでなく、ギャラリーサイトStudio Showcaseに27サイトが掲載されるクオリティの高い制作、そして顧客のレビューから伝わってくる信頼関係も高く評価されました。

映えあるグランプリを受賞したのは……

グランプリ:旅と仕事と

株式会社アイティプラスの設立から10年の軌跡を振り返り、次の10年を考えるために制作した特集サイト。アイティプラスは、ECやWebサイト、営業組織の課題に向き合いながら、売り方・行動・見せ方を共につくる事業を行っています。国内外のつながりから生まれた新規事業にも多数挑戦してきました。

そのため、数年前から「何の仕事をしているのか」という質問に答えづらい状況があり、自分たちの仕事や生き方を伝えるものをつくりたいと考えていたそうです。しかし、それを表現するのが難しいこともわかっていました。野口さん・溝口さんは、「ビジュアルを含めて、世界観や我々の想いまで伝えるサイトをつくれたのは、Studioのおかげ」だとコメントしました。

プレゼンターのStudio 代表取締役CEO 石井穣さんは、米国のデザイン教育者アレクサンダー・アイズレーの言葉「優れたデザインは、見る人にもっと知りたいという欲望を喚起する」を引用した上で、「アイティプラスのことをもっと知りたい、彼らと実際に話してみたい、という気持ちを引き出す、まさに情報デザインの粋が詰まった、今年のグランプリにふさわしい優れた作品」と評しました。

クレジット
アートディレクション:溝口 耕太
デザイン・実装:溝口 耕太
総合監修:野口 和央

Studioはクリエイターの入り口、ビジネスの出口

Web Designingコラボレーション企画のトークセッションには、本誌編集長・五十嵐正憲をモデレーターに、mount inc. CEO イム ジョンホさん、necco inc. CEO 阿部文人さん、CTO 佐藤あゆみさん、STARRYWORKS inc. デザイナー 西村沙羊子さんが登壇。「クリエイティブ・ビジネス両面から探る “Studio案件”の実情と未来」と題し、Studioをまだ使ったことのないイムさんが質問し、阿部さん、佐藤さん、西村さんが回答する形式で行われました。

デザイナー目線、経営者目線でStudioの良さや成果が語られる中、イムさんは「Studio案件」という売り込みフレーズに、「安くできます」というニュアンスが見え隠れすることに懸念を示しました。

阿部さんもこれには同意しながら、実際に他の方法で制作する場合と「金額感はあまり変わらない」として、「重要なのは選択肢を持ち、最適ならStudioを提案することで、全体のクオリティも上がってくる」と述べました。

実際にStudioを使うかどうか質問されたイムさんは「クライアントに最適なソリューションが何かを考え、Studioが合致するなら積極的に使い、そうでなければ別の手立てを考える」と、本当に必要になるときを見極める姿勢です。

ただStudioというプロダクトに対しては非常に前向きで、「Studioは入り口を広げる意味でも最適。人が増えればよいアウトプットが増え、相応の対価をもらえる。その入り口と出口を意識して、Webサイトをつくる人たちの文化を引っ張っていってほしい」と、Studioが力を入れる「文化をつくる」取り組みに強い賛同を示しました。

制作者がサイトをプレゼンするライトニングトーク

授賞式の合間にはファイナリストによるLTセッションが行われ、事前の応募から選ばれた6サイトの制作者が登壇し、作品の概要や独自のこだわりをプレゼンしました。登壇されたのは次の方々です。

GOOD PORTFOLIO

トム・イシカワさん(ウェブスタッフ株式会社)

休息デザインプロジェクト

長崎弘貴さん(株式会社フィールド)

U.S Inc.

坂田修さん(株式会社U.S)

株式会社URAKATA

片岡篤大さん(株式会社ARTERY)

新潮文芸振興会

中村朋子さん(株式会社コンセント)

お金のEXPO 2024

稲田拓郎さん、花沢昌樹さん、林はるかさん(17design. / 株式会社マネーフォワード)

大盛り上がりのうちに閉幕した「Studio Design Award 2024」。本年度の受賞サイトおよび全ノミネート作品は、過去開催分も含めてStudioの特設ページに掲載されています。ぜひチェックしてみてください。

●Studio Design Award 2024特設ページ
https://designaward2024.studio.design

Text:笠井美史乃、Photo:Studio株式会社

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