【コラム】「CMS」と「育休」は同工異曲なり

小泉進次郎環境相が育休を取得しましたね。男性の育休取得に関してさまざまな議論が展開される中で 『ビジネス インサイダー ジャパン』の滝川麻衣子記者が「3分で分かる男性育休。実は“世界一”収入カバーされる日本」というタイトルで日本の育休の正しい理解のための情報を記事にしていました。働く女性ですら出産が自分事になるまで正確な知識を持ち合わせていない事も多い。ましてや男性であれば配偶者あるいは部下が育休をとる事でもない限り、調べることは少ないでしょう。この記事を見た時、制度を知らないことで生じる得体の知れない不安から、望まない議論が生じる可能性、そして仕組みを知ることの大切さを感じました。

さて、今回はCMSというテーマだったはず。大きく脱線した世間話から始めましたが、私のもとに同じタイミングで飛び込んだふたつのテーマ、「育休のようなライフステージが変化したタイミングで出会う制度」と「CMS」は、同工異曲と言える部分もあるのかもしれないと考えています。それは、誰にでも適用できるよう整えられた仕組みである点、ルールと知識を揃えて提示してあげれば初心者でも比較的簡単に導入でき得るという点においてです。

CMSを使わずいちからシステムを開発しようというのはたいへん骨の折れる作業です。それなりの技術と経験が必要です。もしも日本に育休という仕組みがなく、各会社もしくは個人が独自に制定し使おうと思うとそれは大変でしょう。私が今住んでいる米国には育休という仕組みがありません。その状況から鑑みても、日本の育休は、すでに安定したCMSぐらいにはなっている、前述の記事からもそれが読み取れます。

同工異曲と書きました。その理由は、前者の制度を利用する個人にはそれぞれのライフスタイル(働き方、暮らし方)があるため、CMSのようにインプットとアウトプットを固定化したところで、すべてが当てはまり同じ結果を生めるか、というとそれは難しいからです。赤ちゃん一人ひとりに個性があり、産んだ女性一人ひとりの望むライフスタイルも異なる。仕組みで規定されていても、思い通りにならない時もあるのが現実です。働き方、暮らし方が多様化する中で、いかにカスタマイズ可能な仕組みをつくっていくかが、これからのライフスタイルに関わる制度には求められているように思います。

ひとつ事例を紹介すると、カヤックLivingの男性メンバーが第3子誕生のため今年の春に1カ月の育休を取得したい、と申し出てきました。彼は第2子の時に育休を検討していたのですが、雇用条件をそのままに、10時~15時をベースの勤務時間として残りは自宅という働き方に変更しました。

私の経験からも朝夕に夫がいてくれるのは助かりました。私も昼は割りと赤ちゃんと寝てたので、「日中はどっちでも良いのでは?」と、さらに「昼ごはんをつくるつもりがないなら、家にいないほうが楽かもよ」とも言ってしまいました(笑)。朝、子どもを送って洗濯をしてくれて、夕方のお迎えと買い物をお願いできて(時には夕飯も)、お風呂に私ひとりで入る時間さえあれば、そんなに助かる事はないわけです。ただし、本件は3人目。私は経験ないし、想像するだけで日中も大変そうなので、育休の取得は正解かも! と思い実行に到りました。

一例ではありますが、取り巻く環境と、その人自身のライフスタイル(CMSの場合にはスキル)に応じて、臨機応変に最適な使い方を模索していく…それができるようになるともっと上手に制度(とCMS)とも付き合えるのでしょうね。

CMSを使う人それぞれが使いやすく、メリットを享受できるよう設計するのは、かなり難しいのが現状。各種制度もしかり、アウトプットとインプットを柔軟にすることが、どちらにも大事な考え方なのかもしれませんね
ナビゲーター:松原佳代
2005年に(株)面白法人カヤック入社。広報および企業ブランディングを担当する。2015年に独立し、株式会社ハモニアを設立。スタートアップの広報戦略、広報人材育成をおこなう。2017年7月より、(株)カヤックLivingの代表取締役を兼任。暮らし、住宅、移住をテーマとする事業を展開する。カヤックLiving/ Twitter @kayom
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