
生み出す人×生み出す人の対話 特殊と普遍が同居する不思議なインタビュー集
ここで紹介する2冊は、クリエイターや文化人が「インタビュアー」となり、会いたい人にインタビューを行うWebサイト「Qonversations(カンバセーションズ)」を書籍化したものだ。メディアにあふれるインタビューとは少し違った趣きを放つ、やや風変わりなインタビュー記事を再編集している。たとえば、“編集者”がインタビューするとき、読者がその人に抱くイメージみたいなものを想定して情報を掬っていく。けれども掬い上げる指からこぼれ落ちる言葉が本来の実像やパーソナリティを型取っていき、そのプロセスを伝えられるかどうかが良記事への分水嶺になると思うのだが、どうもこの本は違う。インタビュアーの質問がほとんど私的で特殊なものばかりだから。読者のイメージとかプロセスとかそういった類いのものがあるようで、実はない。生み出す人と生み出す人が対話をすると、それだけでおもしろい。会話の節々にパーソナリティが立ち現れ、それでいて私的で特殊な質問がふと普遍性を帯びてしまう。そんなインタビューの不思議な読後感を、ぜひ味わってほしい。
