[IoT:Amazon Dash Button]インターネット的体験のその先へ

「ポストインターネット」という言葉を最近よく聞く。インターネットが浸透し、現実世界との境界が曖昧になっているなかで、体験や感覚はどう変わったのかが問われているらしい。ポストインターネット的イベントとして「インターネット闇市」が 海外でも話題だ。どんなものかというと、インターネット的なものをリアルなフリーマーケットで販売するというのだが、たとえばインターネット上のカレーのレシピを集計し、最も平均的なスパイスの調合をしたものが「インターネットカレー」として売られているそうだ。インターネットの中で感じたことや体験をモノ化してみることで、それらがより身近に感じられるのがうけているのだろう。

前置きが長くなったが、今回紹介するのは「Amazon Dash Button」だ。すでにいろいろなところでニュースになっているので「何を今さら」という感もあるが、あえて紹介したい。

これはボタン型のIoTデバイスで、頻繁に購入する日用品のボタンを冷蔵庫や家具などに貼り付け、買い足しが必要な時にボタンを押すと、Amazonからその商品が届くという仕組みだ。

マウスをクリックして何かを選択する行為というのは、GUIの誕生とともに生まれた。それをECとつなげて極限にまでシンプルにした注文方法が「1-Click」であり、さらにそれをリアルな体験にしたものが、まさにDash Buttonなのである。

インターネットの存在を感じさせることなく、素早く商品を購入でき、利用頻度・状況などのデータを活用すれば、さらなる顧客体験の向上につながる。インターネットで生まれた体験をふたたび現実世界に持ち込むことで、世界はよりシームレスで便利になる。インターネット的体験を知り尽くしたクリエイターたちがモノを作りまくることで、IoTはこれからもっともっと面白くなるはずだ。

 

【Internet of Things】Amazon Dash Button

Dash Buttonは家具や家電に貼り付けられる
Dash Buttonを押すだけでAmazonへの注文が完了。文字どおりワンクリックで商品が届く
洗濯用洗剤やトイレットペーパー、食品など、現在29種類のDash Buttonが販売されている

 

ナビゲーター:神谷憲司
Creative Director/Creative Technologist (株)WHITE 代表取締役。(株)スパイスボックスで「プロトタイピングラボWHITE」を立ち上げた後、今年4月にはIoT企画会社となる(株)WHITEを設立。文化庁メディア芸術祭グランプリ、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル銅賞など、国内外の広告賞受賞歴多数。 http://255255255.com/
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