
2分で始められる物流サービス。価格と効率の両面をカイゼン●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」

誰でも簡単に、最短2分で物流をアウトソーシングすることができるサービス。自らも業務をアウトソーシング化し、シンプルな業態化を進める。1個から安価に預けられるなど、これまでにない思想で物流に新風を吹き込む。
物流アウトソーシングの「壁が高い」理由
「物流」というと、宅配便のような配送工程をイメージする人もいるかもしれないが、正確には倉庫に商品を収める「入庫」処理にはじまり、在庫の「保管」、ピッキングから梱包に至る「出荷」、そして「配送」及び「返品対応」に至るまでの5つの工程を総称して指す言葉だ。
規模の大小を問わず負担の大きな部分ゆえに、アウトソーシングを考えたことのあるEC事業者も多いだろう。
しかし、特に中小のEC事業者の中に、その実施にためらいを感じているケースも多いと聞く。そこには、物流の世界特有の事情が影響しているようだ。オープンロジを起業し、現在は代表取締役を務める伊藤秀嗣さんが、一部の企業の間で残る、“慣習”ともいうべき事情を話してくれた。
「商品を物流業者に預けようと考えた事業者が、まず第一に直面するのが、規模の問題かと思います。倉庫は基本的に取り扱い量を基準に、坪単位(広さ)で契約するのが一般的。そのため、それなりの取扱量がない事業者にはメリットが生まれないどころか、倉庫を借してもらえないといったようなケースもあるんですね。それでもなんとか利用したいと調整しても、見積もりを取って契約内容を調整している間に1カ月はかかってしまうというのが普通なんです。その期間の発注処理、在庫管理をどうするか。けっして小さな問題ではありません」
課題は規模、価格、時間だけではない。実際に運用がはじまってからも生じるのだ。
「倉庫への納品、出荷といった日々の工程もかなりの手間がかかると聞きます。たとえば納品、出荷の操作一つとっても、PC上で10も15も工程を踏まないといけないこともあるんですよね。それでは効率化を図ろうとアウトソーシングしたのにかえって手間がかかるようになった、なんてことになりかねません」
明快で安価な利用料 わかりやすい管理画面
伊藤さんは、そういった物流業界の課題を徹底的に研究し、オープンロジを立ち上げた。それゆえそのサービス内容は非常にわかりやすく、シンプルだ。
「どんな規模の事業者でも使えるように、料金は坪単位ではなく、個口単位としました。入庫量が1個15円、保管料が日額1個0.2円から。さらに配送料は梱包作業費・資材費込みでポスト便で200円、縦横高の合計が60センチ以内の宅配便で450円と、通常よりも安価に設定しています。また、管理画面もシンプルに設計しており、誰でもすぐに使うことができるようにしています。たとえば入庫の場合、商品を選択して個数を入力、入庫ラベルと明細書出力のボタンをクリックするだけの、わずか3画面、3ステップで済むようにしました」
出庫の操作も同様にシンプルだし、配送ステータスの確認も容易だ。また、配送時間やギフトラッピングの指定なども、単一の画面で容易に設定できる。
「オープンロジをご利用いただいているお客様からは、業務を効率化することに加え、配送費や人件費といった部分を大きく削減できたといった声をいただいています」
さらに書き加えておきたいのが、申し込みも非常に簡単な点だ。登録にかかる時間はわずか2分ほど、登録後すぐに倉庫に商品を送れば、最短で2日後には出荷ができるという。この手軽さもあって、中小のEC事業者どころか、オークションの利用者などにも活用されているという。

利用するまでに1カ月は掛かってしまうこともあるという物流サービスだが、オープンロジは、他のクラウドサービスのように数ステップで登録が可能だ。実際の発送作業も最短で2日で可能だという。図はアカウント設定画面

同社のWebサイトに掲載されている掲載されている価格表。個数単位で安価に利用できることがわかる。
エンジニアリングの力を最大限に活用
オープンロジは、こういった新しい仕組みと料金体系を、どう作り上げたのだろう。
「いくつか理由はあるのですが、一つにはアウトソーシングが挙げられるかと思います。我々自身は倉庫を持たずに、多くの物流企業さんをパートナーとしてこの事業を展開しています。大量の商品を扱うことで、思い切った価格設定ができるようになったというわけです。もう一つは「IT」、つまりエンジニアリングの力を最大限に活用し、我々のパートナーである物流企業さんの効率の悪かった部分を改善し、最適化する方策を徹底して実践していることです。たとえば、常態化している倉庫の“空きスペース”を最大限活用できるようにするとか、作業を標準化してシンプルにする、といったことがそれにあたります」

シンプルで、すぐに操作できる管理画面。ここで商品登録から、倉庫への入庫、在庫の管理、出庫依頼、さらには支払に関する操作ができる。画面はPCのブラウザだが、もちろんスマホからも操作可能だ
オープンロジがこうして作り上げたシステムには、空きスペースの問題に悩み、顧客獲得に苦戦していた倉庫会社側にもメリットをもたらした。
「これまでの物流企業では、エンジニアリングの力が発揮しきれてれていませんでした。システム化されているところも、その視線は業務側にしか向いていなかった。我々は倉庫を利用するEC事業者側と、倉庫を運営する側の両面を見ながら、無駄を省きながらシステムを構築したんです」
オープンロジのサービスは、これまでの物流を知っている人にこそ画期的に感じる仕組みなのだ。

一例として「商品登録」の画面を開いてみた。ここでは商品名と商品コード、タグといった情報を入力する

サイトで表示される説明より。仕組み自体が整理されているため、サービス利用の流れはすぐに理解できるだろう
発注から出荷までの自動化も
オープンロジはその名前からも想像できるように、データの連携に対してもオープンな方針をとっており、データを自社システムと連携さるためのAPIを公開したり、他のサービスとの連携を進めるなどしているが、その代表的なケースが「ネクストエンジン」(→レポート)との連携だ。ネクストエンジンは煩雑な発注業務を自動化するサービスだ。
「発注システムと、物流の管理システムは別々ですから、それぞれのシステムで処理するというのが普通です。顧客から注文があったら、まず発注システムで処理を行い、そのデータをあらためて物流のシステムに入力するわけです。逆もそう。商品が倉庫に納入されたら、物流側のシステムに反映された商品データを、あらためて発注側のシステムに反映させる必要があります。それがネクストエンジンとオープンロジの連携機能を利用していただくと、両者の間をデータが行き来するようになりますので、お客様から注文が入ったら、そのまま倉庫に出荷指示を出すとか、倉庫の在庫数の増減をリアルタイムで発注側のシステムに反映させる、といったことができるようになるんです」
この仕組みは、商売の形自体を変えてしまうほどのインパクトを持っている。

ネクストエンジンと連携を行うと、商品データが直結し、「ネクストエンジン」で取り込まれた受注データをオープンロジの提携先の倉庫会社にデータ連携することが可能となり、出荷作業にかかるデータアップロード作業などの負担や、ミスを削減することができる
「お客様の中にはこの連携を活用し、旅をしながらECショップを経営している方がいらっしゃいます。旅先で見つけた商品をオープンロジの倉庫に送る。これで準備完了です。あとはスマホで在庫を確認して、売れたら出荷を指示するだけ。こんなことも可能になるんです」
さらなるサービス連携も
オープンロジは今後に向けてさらなるサービスの拡張、連携を進めているという。
「現在のところサービスの中に定温倉庫が用意できていませんので、まずはそれを実現したいと思っています。また、越境ECの利用者も多いので、将来的には海外の物流業者との提携もしていきたいと考えています。
データの仕組みの部分で言いますと、近く、クラウド会計ソフトとの連携を実現させたいと考えております。データを会計と連携させることが事業者様の大きな負担減につながるのは間違いのないところかと思います。また将来的には、実店舗の在庫管理とも連携させていきたいですね。このノウハウを活かせば、おおいに役立つのではないかと」
エンジニアリングの力を最大限に活用した、わかりやすくシンプルなサービスを実現しているオープンロジ。EC事業との親和性の高いこのサービスが、EC運営の大幅な効率化を実現してくれるだろう。

明治大学卒業、ネットエイジを経て定期購読のECサイト富士山マガジンサービス創業メンバーとして、営業、マーケティング、事業開発など多岐にわたる領域を担当し、成長に貢献。レガシーな物流領域をもっとオープンに革新したいという思いから2013年12月(株)オープンロジを設立。