大手競合ひしめく化粧品市場 成功のカギは“待ち”の姿勢

パートナーを選定しいざ、リスティング広告対策

エステティックサロン経営や化粧品販売を主軸に事業展開するAGOSビューティークリニック(以下AGOS)は、1999年創業の化粧品販売会社である。化粧品という商材は、グローバルに大手がひしめく“レッドオーシャン”ど真ん中の厳しい市場だが、リスティングプラスとパートナーシップを結んで今期で6期目というAGOSは、リスティング広告を通じて大きな成果を出し続けているという。

AGOSビューティークリニック」について

1999年創業、化粧品販売などを扱う会社。エイジング化粧品などの主力商品を中心に、40代以降の女性から支持を集めている

AGOSは、リスティング広告を利用する以前から、SEO対策における集客施策に積極的で、その当時の経験を通じて、ネット広告全般の知見を貯めていたという背景も持っている。いかにインターネット経由で利益を上げることが難しいかを体感してきた、とAGOSの代表取締役社長、曽我友見子氏は話す。

「2年以上、自前でSEO対策に時間を割いてきた後、紙媒体への出稿とともに、ネット広告で新たな集客施策を検討するようにしました。何でも自前となると、広告対策だけで自社のリソースが割かれてしまうので、運用を手伝ってくれるパートナーと提携しながら、効率のいい広告対策に取りかかることにしました」(曽我氏)

 

商品ごとで最適化したLTVの考え方

リスティング広告でもっとも大切なのは、「LTV(ライフタイムバリュー)」をどう設定するか、である。

「SEO対策の経験を通じて、もともとLTVという考え方には理解があったので、弊社では商品ごとに最適なLTVを算出するようにしたのです。なぜなら、商品ごとに特性や求めている役割が違うからです。例えば、商品Aは新規獲得を優先し、商品BはAよりも長い期間を見ながら訴求してコンバージョンを高めよう、商品Cは前月の売上が抑えめだったので、もう少し上向き傾向に転じておきたいなど、その時々の状況を加味しながら、商品ごとでLTVの設定を組みました」(曽我氏)

各商品にはそれぞれの特徴があり、訴求点が異なる。どの商品も同じ考え方に基づくような雑な計算をせず、商材によってLTVを算出し分けることで、より確度の高い広告予算が割り出せるようになる。

「洗練したLTVが出せると、より最適な広告対策が可能となります。最終的なコンバージョンの向上にもつながりますし、最適化によってできた浮いた予算を別の商材に投資する、といったことも可能です」(リスティングプラス・湯本一弥氏)

しかし、これから初めてリスティング広告に取り組みたいという立場の人たちからすると、そうは言われても、つい成果を短期間で求めがちではないだろうか。AGOSが“待てる”のは、なぜなのだろうか?

「長くSEO対策に携わってきたからこそ、すぐに成果が訪れないことを身を持って体感しているからです。リスティング広告は期間をかけてデータを蓄積していけば、改善策に磨きがかかりやすくなります。収集してきたデータを分析することで、洗練された次の一手を打ちやすくなるというのが実感です」(曽我氏)

LTVの考え方

商材ごとにLTVが設定できると、よりきめ細やかな対策が可能に。限られた予算内で複数の商材を扱う場合に、傾聴しておきたい対応でもある

 

コンバージョンを支えるLPと広告文の最適化

ここまで述べてきた通り、AGOSはしっかりとしたLTVの設定ができていたことで、リスティング広告の戦略が適切に取れるようになり、大きな成果へとつながった。次に、実際に行われた施策の一部も見ていきたい。

1点目が、運用を通して行われたランディングページ(LP)の最適化についてだ。リスティング広告の開始初期は、メインコンテンツに化粧品を使う前(ビフォー)と使った後(アフター)の体験者の写真を掲載していたという。

ランディングページの例

目的や訴求点がクリアになったランディングページ

「このコンテンツで3カ月間、様子を見ていったものの、あまり芳しい結果が得られませんでした。そこで、化粧品の直接的な訴求につながる見せ方から離れて、成分などに関連した情報提供ありきの構成に改め、読み進めた先でコンバージョンゾーンを用意したところ、次の3カ月で140CV(コンバージョン)から318CV(約227%)にまでアップ。それ以降も改善を続け、目的や訴求点がもっとクリアに伝わる文言を打ち出すなど、継続的に最適化しています」(湯本氏)

2点目が、広告文の修正だ。左に一部の例を公開している。いわゆる広告という空気感を抑えて、ユーザーの感情に訴えかけるテキストへと変えたことで、クリック率が向上。クリック率の飛躍は検索表示で重要な品質スコアを向上させ、上位表示へとつながっていく。

広告文の改善例

この事例では、コンバージョンがほぼなかった状態から短期間で200を超えるコンバージョン数を生み出した

もちろん、LPO(ランディングページ最適化)と並行して行う施策のため、テキスト修正のみでリスティング広告経由の獲得数が改善されたわけではないが、LPへの到達率が高まれば、コンバージョンの機会も増える。

「そこで、最適化されたLPを用意できれば、よりCVにもつながりやすくなります。私たちは、これまでの経験から成果への第一歩として、広告文は非常に重要視しています」(湯本氏)

広告文の最適化とその効果

上位表示は、クリック単価のほかに品質スコアも関係する。広告文を改善することで、コンバージョンまでに至る循環をよりよくできることが肝要

 

パートナー選定の肝は自社を理解してくれているか

リスティング広告を自社(自前)だけでやるのか、パートナーと組んだほうがいいのか。

「もし自前でやる場合は、しっかり自らのリソース(時間とコスト)を注げるかどうかで判断すべきです。SEO対策時代は、利益を出すために丸2年は張りつき状態でした」(曽我氏)

では、仮にパートナーを探すと決めた場合、選ぶ基準をどこに置けばいいのだろうか? 曽我氏から3つの注意点をいただいた。

「1つ目は、担当者のスキルです。ちょっとした疑問や懸念に対して、回答が覚束ない担当者は信頼できませんよね(笑)。担当者の誠実さを見極めるためにも、率直に感じた疑問を投げかけてみるといいでしょう」

2つ目は、お客様目線を挙げる。

「一緒に戦略を練ってくれるかどうか、です。数々の代理店と話をしましたが、自分たちのウリばかりを押しつける相手が多く、辟易した記憶があります。いかにこちらの意向を汲んでくれるか。そして、エンドユーザーの目線も意識してくれるか。お客様目線が共有できるパートナーと一緒に仕事がしたいです。3つ目が、こちらの要望を的確に捉えているかどうか、です。2つ目にも通じますが、立場が違うと思惑も違います。ろくに説明がなく、自社の要望とズレた提案をされても困るだけです。改善内容や改善後の対応にかかわるので、コミュニケーションに疑問を感じる相手には用心したほうが無難です(曽我氏)

パートナーシップを組む側は、これらの点をどう考えるのだろうか。

「私たちは、お客様の大切な予算をお預かりしている立場です。お客様の利益につながり、今後の成果をもたらせることを心がけています。リスティング広告を通じた、クライアントの成果の最大化こそがミッションです」(湯本氏)

リスティング広告を自社でやるか、パートナーと組むか?

自社での取り組みが難しい場合、パートナーシップ選びが重要。パートナー側の論理で話をしてくる相手には要注意だ

 

AGOSビューティークリニック(有)代表取締役

曽我友見子

http://www.agos.jp/
(株)リスティングプラス コンサルタント

湯本一弥

http://www.agos.jp/
  • URLをコピーしました!
目次