
実録! Facebookページの運営
Facebookページで達成したいこと『たまに「髪を切るならココ」と思い出してほしい』
STEP 1 自らの状況を整理して、目的を割り出す
新規参入、後発店が激戦区で勝負するためには?
今回の舞台は、東京都町田市にある美容院。2年前に開業した後発店ながら、現在も日々盛況とのこと。そうした状況を呼び込んだのは、キャリア16年という店長・宇野和弘さんの経験や技術力はさることながら、Webサイトを中心にしたデジタル戦略で獲得した知名度や信頼性がある。
新規参入の店舗がデジタルを通じてブレイクを遂げた背景は何か? あわせてFacebookページが果たした役割について取材で解き明かしたい。
前提となる概要は上にまとめている。宇野さんは髪に関するQ&Aコンテンツを700以上用意して、自然検索経由で新規流入数の獲得を画策した。LINE@などで髪の悩みの問い合わせにも年中無休で対応する体制を整えている。
STEP 2 Facebookページの役割を導き出す
順調に新規顧客数が伸びている
髪に関する膨大なコンテンツという売り(Webサイト)に対して、Facebookページの位置づけは?
「Facebookページのほか各種SNSは、どのユーザーにとってもしっくりくるチャネルで対応したくて用意しました。基本はWebサイトですので、SNSは一度でもつながりが生まれたユーザーとの関係性を維持する役割が大きいです。それと本サイトへの回遊促進目的ですね」
比較的Facebookページには、年齢層が高めなユーザーが多い傾向が見て取れるほか、同業の美容関係ユーザーが「いいね!」してくれやすいとのこと。
実は1年前の10月号(オウンドメディア特集)でも宇野さんを取材している。当時より各指標の数値は右肩上がり。順調に階段を昇っている状態である。
STEP 3 「数字は追いかけない」の真意
PVが2倍になってもお客様の数は増えない?
Webサイト、Facebookページなど、きちんと明確な役割を確認。では、どのようなKPIを設定しているのか聞くと…。
「数字は見ていないんです。今日は取材だと聞いていたので、久々にPV数を確認したくらいで(笑)」
正直、この言葉には面喰らってしまった。数字を見ていない真意とは?
「目的は1日の予約件数が安定的に埋まること。その数は1日最大でも6人か7人。どれほどPV増加を追求しても、来客対応には限界があることに気づきました」
だったら「町田に行きたくなるほどの信頼」を獲得する質重視の追求が大事だと判断。PVでなく一人あたりの平均滞在時間をいくらか気にする程度で、接客で得た気づきを「いかにデジタルに反映できるか」を重視するという。
STEP 4 投稿回数の決め方は?
肝は「ユーザーに負荷がかからない投稿頻度」
では、Facebookページの投稿回数はどう考えているのか? 本サイトの補完的な位置づけだからこそ、頻繁な投稿を意識しているのか? 答えは逆で、以前は月に1回程度。最近ようやく週に1回になってきたとのこと。回数だけ聞けば決して多くはない。
「投稿頻度は、常にユーザーの立場、お客様目線で考えています。すると、美容院の情報を毎日知りたいか? に行き着きます。僕だったら嫌ですよ、頻繁に美容院や髪についてフィードに流れていると(笑)。そもそも美容院は2、3カ月に一度くらいで来店する場所です。SNS全般について、お店のことを忘れないくらいのタイミングで、今は週に一度としています。これも状況が変われば、2週間に一度にしたり、と試行錯誤ですね」
STEP 5 Facebook広告の使い方
いわゆる“広告”として活用しないという「発想の転換」
Facebook広告については、「認知や集客のために使っていない」とのこと。「本サイトでは、お客様目線で髪の悩みに応えるコンテンツがほとんどでした。今後は採用にもつながる記事も提供できたら、と美容院界隈や美容師志望の方が注目しそうな専門性の高い記事の公開も意識しています。最近だと“美容師が普段使う愛用シャンプー”をエントリー。業界関係者が目に触れやすいコンテンツを作り込んでみました」
ターゲットや期間、予算を簡単に指定できるので、Facebook広告を調査ツールとして利用したわけだ。
「回答は一部に偏るのを避けて選択形式でなく自由回答形式に。ただし、回答内容の揺らぎは避けたいので、商品名とメーカー名を問うようにしました」
STEP 6 総括:Facebookページの運用方法
迷ったらユーザー目線に立ち返る
ビジネス規模やFacebookページに求める役割は、みなさんの置かれた状況によって異なる。ただし、Facebookページを優先的に活用予定の人でも、新規獲得よりもマインドシェアやリレーション維持に向いているメディア特性、その特性を意識した投稿頻度や投稿内容は参考になる考え方だと思われる。
「町田美容院の知恵袋」は立ち上げ2年の実績があるから、という点はあるが、必要な情報を得るためにFacebook広告を活用することも覚えておきたいノウハウだ。公開内容に悩む場合、打開策の選択肢として活用してみたい一手だ。
情報の蓄積に不向きなフロー型メディアは、フィードでの出合い方が重要だ。フォローを維持するユーザーとの関係性が崩れないことに思いを馳せたい。

Kazuhiro Uno