
ネットを騒がせたUX事件簿
ネコ × UX
人間以外のUXを考える時代に?
UXといえば人間中心設計が当たり前。ですが、ネコに向けた商品やサービスはUXもネコ向けにデザインしなくてはなりません。例えば、ネコ用品の新ブランド「CATUX ZEN(キャタックス・ゼン)」では、「対立しない」「あるがままに」という禅の思想に基づいた“ネコUX”重視の爪研ぎ台などを販売しています。ネコにとって使いやすいものは、ヒトが見てもシンプルで美しいデザインだったのです。これからはネコ中心設計の時代? CATUX ZEN
スピーカー × UX
Amazon EchoがUXアワードを受賞
その年の優れたUXを表彰する「UX AWARDS」が発表されました。2017年のグランプリはヨーロッパ移民に遠隔医療を提供するサービスで、金賞は「Google Earth VR」などが受賞しました。そして、私たちにも馴染み深い製品である「Amazo Echo Show(Echoのハイエンドモデルで日本未発売)」がめでたく銀賞を受賞。この「スマートスピーカー」の分野はGoogle HomeやアップルのHomePodなども控えており、2018年以降もホームエレクトロニクスのUXを大きく変える台風の目となりそうです。 UX AWARDS
不可視 × UX
Googleの見えないUI/UX
UI/UXは視覚的なデザインだけではありません。例えば、スパムコメント対策で生まれたCAPTCHA(キャプチャ)認証は、ランダムで読みにくい文字列を入力させることで書き込んだのが人間であることを確認していますが、大きくユーザー体験を損なうものです。Googleはこの問題に対して「Invisible reCAPTCHA」プラグインを2017年3月より一般公開し、導入したサイトでは過去の操作やアクセス履歴を元にバックグラウンドで自動認証されるため、気がつかないうちにユーザー認証されるようになりました。こうした「見えない」UIが次世代のUXを支えています。 Invisible reCAPTCHA
音声IoT × UX
音声UXデザインの流れが本格化
AI搭載の「スマートスピーカー」が注目を浴びています。そこに優れたUXをもたらすのは音声インターフェイスの設計です。UXの企画・開発・デザインを行うWHITEは、音声インターフェイスを専門に行う組織として「VOICE STUDIO」を設立し、企業向けに音声アプリケーションや音声を活用したIoTデバイスのプロトタイプ開発を行うと発表しました。UXデザイン開発に音声を取り入れる流れは加速していくことは間違いありません。 WHITE
高齢者 × UX
課題先進国ニッポンのUXとは?
高齢化社会が進んでいるのに、ハイシニア向けのアプリやサービスのUI/UXは真剣に考えられているものが少ないのではないでしょうか。アップルのCEOティム・クック氏に懇願されてWWDC(同社の世界開発者会議)に参加した83歳のiPhoneアプリ開発者・若宮正子さんは、本誌の取材に対して「高齢者は指先が乾燥しているのでスマートフォンのタッチ操作が苦手」「認知能力は落ちても、知恵や知識がなくなるわけではないので伝統文化などのコンテンツとは相性がよい」と語りました。本当の意味での高齢者向けUI/UXの開発はまさに始まったばかりです。
AI × UX
AIがUXデザイナーの仕事を奪う?
AI(人工知能)はUXデザインの設計の仕事を根本的に変えるかもしれません。しかもよい方向で。現在のAIは万能でも創造的でもありませんが、話の文脈を理解してコンテンツや発言の出し分けをするチャットボットは実用の域に達していますし、Webサイト構築におけるA/Bテストやレイアウトデザインの最適化をするWebサービスもすでに登場しています。さらに、今後はユーザー行動の予測解析や、デバイスごとのバナー作成など、繰り返しの多いクリエイティブを自動生成するシステムが一般化しそうです。機械学習と統合したアドビ システムズのAI「Adobe Sensei」の動きも目が離せません。The Grid Adobe Sensei
昭和 × UX
80年代風ラジカセが再評価される理由
不思議なことに、2017年はデジタルネイティブな若い世代を中心にバブル期のレトロブームが巻き起こっています。昭和の時代を懐かしむわけでもないのに、なぜ「写ルンです」や「たまごっち」が話題を呼ぶのでしょう。考えられる理由としては製品としての不完全さや単純さ、ネットワークに共有せずに楽しめる「ゆるさ」などが挙げられます。最近ではSANSUIブランドで復刻された80年代のステレオラジカセがSNSで話題となりました(実際はBluetooth接続機能も持つ新モデルです)。スマートなUXだけでは満足できない人間心理の複雑さを思い知らされる現象です。 http://www.sansui-doshisha.jp/mobile/