世界CMS利用率1位はWordPress、では2位は?
2年前のCMS特集号のコラムでは、Q-Success社のデータに基づき、世界の半分以上のWebサイトがCMSを導入し、WordPressの利用率が圧倒的なトップであることを紹介した。あらためて同社の最新データ(2021年1月時点)を見ると、CMS導入サイトは7ポイント上昇して61.7%、WordPressの利用率も39.5%へとさらに上昇し盤石の強さを見せている。
大きく変化したのは、JoomlaやDrupalの利用率が相対的に低下し、2014年にランキング初登場した Shopify(Spotifyではない、念のため)が急上昇して2位(3.2%)になったことだ。Shopifyはその名の通りECサイトの構築、管理に特化したCMSだが、ECプラットフォームとして認知されているので、驚く人も多いだろう。世界170カ国、100万店以上の中小小売や個人のネットショップが使用し、流通総額は20兆円を超えるという。
WordPressやWixでも、ショッピングカート機能や決済などのプラグインを利用することでECショップの構築は可能だが、リアル店舗とのPOS統合や在庫管理を含むショップ運営が主目的なら、Shopifyに優位性があるのは当然だ。日本でも急速に普及し、例えばShopify公式パートナーのトランスコスモスは、この1月、福岡にShopify専用のオペレーションセンターをオープンし、2年後には500人態勢を見込むという。
目的・機能特化型のCMSは、ECだけに限らない。例えばnoteも広義のCMSだが、NHKが記者の取材過程の情報を書き留める「取材ノート」という公式noteを外部プラットフォームとして利用するなど、メディア業界のCMSとしての存在感が増している。こうしたCMSは、シェアは低くてもビジネス特有のニーズに応え、機能を磨くことでその業界にとって欠かせないツールになりつつある。
Text:萩原雅之トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/
萩原雅之
※Web Designing 2021年4月号(2021年2月18日発売)掲載記事を転載