Web担当者向けー盤石な体制づくりートラブル・クレーム対策

安心の心構えとは?・迅速に動けるルート(解決方法)を備えておこう!

過去二回、自社サイト、オウンドメディアの運営もしくは各種SNSの投稿を担当する人が、コンテンツにまつわる判断について、具体例を挙げながら迷いどころと最善の対応方法を解説してきました。二回とも、手堅い反響が続き、今回はより実践を意識した第三回を、急遽用意することにしました。

まずChapter1で、現場で最善の対応が可能となるWeb担当者の体制について解説します。ここでは一人で対応する場合と複数でも少人数(2、3人)しか関わっていないという場合について、踏み込んで考えていきます。誌面に限りがあるので、大手企業で法務部がありデジタル周りの体制で人数を割いている、という状況には触れていませんが、組織の規模を問わず、少人数で緊急事態も乗り切らねばならない事例として読むことが可能です。

担当者が一人でも少人数でも、共通しているポイントは、法律に詳しい存在(多くの場合は弁護士)を用意できるかどうかです。毎月顧問契約料を払って、とまではいかなくても、本当に困ったことに直面した際に、アドバイスをもらえる存在がいるかどうか。日頃から法的な興味を持ちながら過ごしているか、なども大事な点です。

Check!
Webサイト、SNSは無料でコンテンツや意見、コメントを公開できます。気軽に始められるとしても、発信に対する責任は重いことを肝に銘じておきましょう。

目次

Web担当者が一人のみ、個人運営の場合…

「一人は気楽」「余計なお金がかからない」というメリットは感じるが…
弁護士をお願いできる費用をまかなえるものなのか?

Answer いざという時に相談できる相手を外部に1名見つけておく

個性あふれる一人の人間(代表者)がグイグイとコンテンツを作っていく。書いた記事の魅力が集客に、ひいてはビジネスの最適化へとつながる。中には外部ライターへの依頼記事や内製で社内の別の人間の担当記事があっても、代表者が責任を持って編集すれば、人気を呼ぶ魅力の担保は持続します。

こうしたスペシャリスト一人にまかせる体制は、その一人がきちんとしていればいいわけです。きちんとできていれば、むしろ複数体制よりトラブルが生じづらいのですが、「うまくいかなくなった」場合を想定して体制を整えてほしいです。

個人運営の方がこのために人数を増やすのは非現実的ですが、コンテンツについて適宜ブレーキをかけられる人がいるのがベターです。例えば、面白さとは別に表現上のリスクなどを指摘できるような人です。内部のスタッフとして抱えずとも、外部のブレーンとして用意できるだけで違います。毎回弁護士に、法的にクリアできているか原稿チェックしてもらわなくても、一定期間ごとに点検してもらうのも一手です。例えば、「先日の掲載写真、映り込んだ●●が著作権侵害にあたります」といった助言をもらったり。不明点をメモして一度にまとめて聞くのでもいいでしょう。

Check!
トラブルが深みにはまるのは主に初動ミス。迷って悩んだままでは相手の怒りは増幅するだけ。速やかな判断のために専門的な知識を持つ人の助けは有用。

少人数、2~3人の場合…

役割分担ができるのは一人と違うメリット
一人は心許ないが、複数体制は自分本位にできない面倒さが…

Answer ツッコミを入れられる人を内部で1名確保する

複数人数かつ最小単位を考えるなら、「コンテンツ制作を牽引する」代表者が1名と、その1名を支え、「内容の精査や法務まわりの確認ができるブレーキ役」が1名の合計2名体制だと、緊急事態でも内部の力で(何とか)急場はしのげるでしょう。体制の軸をこの2名に据えて、状況によって外部のアドバイザーを頼ったり、制作はじめ運営メンバーを増やすのです。

メンバーが増えれば増えるほど、より多くの人がブレずに体制の指針や公開に関するルールを共有できる仕組みが必要です。自然と自由度も抑制されがちになりかねませんが、このあたりの加減や方針はみなさんのビジネスの状況を鑑みて判断するといいでしょう。公開の信頼性を担保しながら、違法とならず適法の範囲で魅力的な発信を目指しましょう。自社の求める最適な加減を見つけてください。

Check!
体制が複数人いれば、日常業務の中で、著作権や景品表示法などに意識がいきやすくなります。複数の目が見落としがちなミスに気づきやすくなります

 
教えてくれたのは…桑野雄一郎1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2003年骨董通り法律事務所設立、2009年より島根大学法科大学院教授。著書に『出版・マンガビジネスの著作権』社団法人著作権情報センター(2009年)など。 http;//www.kottolaw.com/

遠藤義浩
※Web Designing 2017年12月号(2017年10月18日発売)掲載記事を転載

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