【デザイナー3年目の教科書】求められるのは、“つくる”以外のスキル。金成奎さんに聞いた 「コミュニケーションスキル」を高めるための3つのポイント

新たな役割や課題に直面し、デザイナーとして次のステップを意識し始める“3年目”。第一線で活躍するデザイナーたちは、3年目に必要なスキルや視点をどのように身につけ、乗り越えてきたのでしょうか。UI デザイナー/Webデザイナーとして活躍する金成奎さんに、「コミュニケーションスキル」を向上させるコツを伺いました。

答えてくれた人

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3年目のデザイナーが「ぶつかりがちな壁」とは?

デザイナーに限らず、ある程度のキャリアを積むと、「つくる」仕事から、ほかの人に「つくらせる」仕事の比重が大きくなります。具体的には、何をデザインするかを企画としてまとめたり、ほかの人にデザインの指示を出したり、出来上がったデザインを評価したりする、といった内容です。

また生成AIの登場によって、単純に「つくる」だけの作業は、今後ますます省略・簡素化されていくと考えられます。

その点において、「つくる」周辺の「コミュニケーションスキル」を磨いておくことが重要であり、それにより幅広い分野やポジションで、プレイヤーとして以外のデザイナーの価値を高めることができるはずです。

ただ、若手時代の私も含め、専門的知見や経験が乏しいと、以下のような課題にぶつかります。

・そのデザインがどうビジネスや課題解決につながるかが曖昧
・説明の根拠やロジックが弱い
・結論ありきでデザイナーだけの都合を押しつけようとしている

次のブロックでは、これらの課題をクリアし、デザイナーとしての「コミュニケーションスキル」を身につけるために取り組むべきことや意識すべきことについて、私なりの考えをご紹介したいと思います。

コミュニケーションスキルを向上させる3つのポイント

コミュニケーションスキルの向上のため、3年目デザイナーの皆さんに取り組んでいただきたいことは3つあります。

1. 受け取り側の視点を意識する

使いやすく審美的にするというのは、あくまでデザイン上の都合。それらを意識するだけでは、デザイナーとして不十分だと思います。受け取り側やその先にあるプロジェクトの成功など、ビジネス側の視点に立ってデザインを語れるようにしましょう。

2. 先人の知恵や学術的なナレッジに触れる

デザインの根拠として、まずは先人の知恵や学術的なナレッジを使うことを意識するようにしましょう。具体的には、ヒューリスティック評価の方法や各種認知心理学、公式なガイドラインなどが勉強になると思います。

3. 人それぞれの感覚を認め、受け入れる余白を持つ

デザインを語るとき、感性や感覚、好き嫌いが発生するのは自然なことです。大事なのはそれを見越した「余白」を持っておくこと。「自分の好みとしてはこう思うが、皆さんはいかがでしょうか」といった形で、お互いの感覚をベースにコミュニケーションしてみましょう。重要なのは、完璧なロジックを持って相手を論破することではなく、ステークホルダー間で一定の納得感を持ってプロジェクトを進行することです。

金成奎さんが「3年目の自分」にメッセージを送るなら…

「巨人の肩の上」という慣用句があります。これは「先人の積み重ねた知見・発見があってこそ、現代の我々は文明や技術を進歩させることができる」という意味です。若いころはどうしても最新テクノロジーに目が奪われがちですが、名著と呼ばれる本を読んだり、展示会に足を運んだりしながら、デジタル・アナログ問わず過去のデザイン資産や偉人に興味・リスペクトを持ち、大いに学びましょう。

また、社会で働くなかで、学校では教えてくれない経済や企業の仕組みに対する知識不足を痛感していることでしょう。幅広い分野でアンテナを張り、よきデザイナーである前に、よきビジネスパーソンであるようにしましょう。

Text:掛谷泉、横塚瑞貴、室井美優(Playce)
※本記事は『Web Designing 2025年2月号』の掲載記事を一部引用・再編集しています。

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