8つの海外Webサイトから読み解く、インタラクション設計の現在地

Webの表現は、いま「体験」という言葉なしでは語れません。情報を並べるだけではなく、動きや質感を通じて世界観やテーマを伝える──そうした体験型のWebサイトを、ノーコードで実現できるのが 「Wix Studio」の大きな魅力です。
本記事では、特徴的なインタラクションを軸に制作された8つの海外サイトを取り上げ、それぞれのクリエイティブの“核”を読み解いていきます。
ノーコードで実現できる。卓越したインタラクション表現
「Wix Studio」は、2023年8月の登場以来、プロフェッショナルの制作環境に応えるWeb制作プラットフォームとして進化を続けています。
なかでも大きな特長のひとつが、コーディング不要で高度なインタラクションを負荷なく設計できること。主題やコンセプトに応じて独自の世界観を構築し、物語性のある体験をWeb上で表現できる高い表現力を備えています。
そこで本記事では、Wix Studioの公式ギャラリーサイト「Outstanding Sites to Inspire You」で公開されている海外サイトの中から、代表的な8サイトをピックアップ。Wix社内の研究チームに所属するトップクリエイターたちが手がけた実例をもとに、インタラクション表現の工夫と、それを支えるWix Studioの機能に注目しながら、インタラクティブなWeb体験を一緒に紐解いていきます。

事例①|Blendで重ねる色とレイヤー表現

パステルカラーの色彩がふわりと広がるこのサイトは、タイトルの通り「花開く(自己)肯定=Affirmation」の状態を視覚化したものです。スクロールに合わせて幻想的な花のイラストが徐々に現れ、微妙な色彩のタッチを感じさせる背景と花のモチーフが、パララックス効果によって重なり合いながら、空間にやさしい奥行きを生み出しています。
ここで特筆したいのが、「ブレンド(Blend)」モードの活用です。背景や花、植物といった複数のレイヤーが重なる表現は、本来であれば複雑な画像処理や調整を必要とする場面ですが、Wix Studio では、UI右側の「要素設定パネル」から「デザイン」タブ内の「ブレンドモード」を選択するだけで、背景色とのなじませ方や画像の不透明度を細かくコントロールできます。
さらに、「乗算」や「オーバーレイ」といったエフェクトも用意されており、微細なトーン調整や重なり表現を、コードを書くことなくパネル操作のみで実現できる点も印象的です。視覚的な繊細さと操作のシンプルさが、心地よい体験設計を支えています。
事例②|Accordionで情報量を制御する

サイト名が示す通り、「不思議な昆虫たち」をテーマにした本作は、古代の昆虫を蒐集したデジタル図鑑のような趣を持つサイトです。7種類の架空の昆虫が並び、各項目(虫の名前)をクリックするとコンテンツが展開され、特徴や詳細情報を確認できます。
この情報の開閉を担っているのが、「アコーディオン(Accordion)」機能です。複数の情報を縦に並べつつ、必要なものだけを選択的に展開できるUIは、図鑑的なコンテンツとの相性も良く、閲覧体験にリズムを与えています。
Wix Studio では、こうしたアコーディオンUIもノーコードで実装可能です。UI左側の「+」から「要素を追加」を選び、「レイアウトツール」内の「アコーディオン」をクリックすると、あらかじめ用意されたパターンをベースに構成を組み立てられます。デザインや挙動を調整するだけで、複数項目を効率よく整理したインターフェースを構築できます。
アコーディオンを用いることで、情報量の多いコンテンツでも画面を煩雑にせず、ユーザーが「見たいときに、見たい情報だけ」を取り出せる設計が可能になります。体験の流れを崩さずに情報を整理する、Wix StudioらしいUI活用例と言えるでしょう。
事例③|時代性と世界観をBlendで共存

「未来はここに(The Future is Here)」と名づけられたこのサイトは、数十年にわたる“年代別の対話(Dialogue of Decades)”をテーマにした実験的なインタラクティブ作品です。
1940年代を象徴する「FILM NOIR(フィルム・ノワール)」と「VAPORWAVE(ヴェイパーウェイヴ)」、そして2000年代の「Y2K」という3つの時代性を起点に、「STYLE」を選択。さらに「VISUAL」や「TYPO」もそれぞれ3つの選択肢から組み合わせることで、多様な表現バリエーションを体験できる構成になっています。
背景アニメーションの大胆な動きに目を奪われがちですが、注目したいのはブレンドモードの使われ方です。3種類のタイポグラフィそれぞれに対して、影の配色や光の反射に応じた色のなじませ方が細かく設計されており、カーソル操作に伴う変化も不自然さを感じさせません。
背景と文字が溶け合うような自然な質感は、ブレンドモードを効果的に用いることで成立しています。Wix Studio の機能を単なる視覚効果にとどめず、時代性や世界観の切り替えを支える表現装置として使いこなした好例と言えるでしょう。
事例④|カスタムカーソルで操作を演出に変える
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「Best Buds(ベスト・バズ)」は、英語のスラングで「親友」を意味する言葉です。「bud」には「蕾」という意味もあり、タイトルはサイト内で描かれる花や植物の世界観とも重ね合わされています。本作では、コミカルなイラストで描かれた蝶(the fluttery bug)と犬との友情が、物語性のあるインタラクションを通じて表現されています。
ここで着目したいのが、「カスタムカーソル(Custom cursor)」(※)の活用です。サイト内のカーソルを任意の画像に置き換えたり、特定のエリアに触れた際に別のビジュアルへ切り替えたりできるこの機能は、Wix Studio では「要素設定パネル」の「デザイン」タブ内にある「カーソル」から、画像を指定するだけで設定できます。
このサイトでは、スクロールに伴って画面が左から右へ、さらに上から下へと遷移していきます。その過程で、明るいシーンではカーソルが蝶に、暗いシーンでは懐中電灯へと変化。暗闇の場面では、カーソル(懐中電灯)で照らした範囲だけが可視化され、隠された要素を探索できる仕掛けが用意されています。
カーソルという本来は操作補助にすぎない存在を、物語体験の一部として組み込むことで、ユーザーは“見る側”から“物語を進める側”へと自然に引き込まれていきます。Custom cursorを体験設計の軸に据えた、印象的な事例です。
(※)モバイルは⾮対応
事例⑤|Gradientでテーマを視覚化する

黒を基調とした画面構成の中で、鮮やかなグラデーションが強く印象に残るのが「Shifting Senses(移りゆく体感)」です。テーマは地球温暖化。気温の上昇や変化という目に見えにくい現象を、背景に施された色の移ろいとして可視化することで、主題が直感的に伝わる設計になっています。
こうした表現を支えているのが、Wix Studio の「グラデーション(Gradient)」機能です。背景やコンテナ、テキスト、ボタンなどの各要素に対して、複数の色を組み合わせたグラデーションを設定できるほか、リニア、円形、円錐状といった種類の指定もパネル操作のみで行えます。色の構成や方向を細かく調整することで、視覚的な印象に明確な意味を持たせることが可能です。
サイト下部では「2050年頃には地球上の種の最大30%が絶滅する可能性がある」というデータにも言及。2050年に向けたカウントダウンがリアルタイムで表示され、グラデーションによる情緒的な訴求と、具体的な数値情報とが重なり合うことで、テーマの切実さをより強く印象づけています。
事例⑥|Hoverで意味を段階的に提示する

ギリシア神話に登場する盲目の預言者テイレシアースをテーマにした本サイトでは、数多くのドット(点)で構成されたビジュアルが印象的です。これらの点は点字を想起させるものであり、視覚表現そのものが物語の設定と深く結びついています。
ここで用いられているのが、「ホバー(Hover)」によるインタラクションです。ホバーとは、マウスカーソルを特定の要素の上に重ねた際に発生する挙動のこと。本作では、カーソルを点字の上に合わせると、それに対応する言葉(テキスト)が現れ、意味が解き明かされていきます。見えないはずの言葉が、操作によって初めて姿を現す構造が、テーマ性を強く印象づけます。
また、トップページからスクロールしていくと現れる蛇のイラストも、テイレシアースが盲目になるきっかけとして語られるギリシア神話のエピソードを踏まえたものです。神話の背景を丁寧になぞりながら、全編を通して数奇な運命を追体験させる構成となっており、ホバーという操作が物語理解を深めるための表現手段として機能しています。
事例⑦|Glass effectで「視界のレイヤー」を設計する

ADHD(注意欠如・多動症)を抱える人々が日常で感じる混沌や集中力の散漫さを、視覚体験として再現した啓発サイトです。多動性や衝動性、時間感覚の消失といった感覚を、ユーザー自身が追体験することを目的とした構成になっています。画面全体には情報が散在し、あえて整然とは配置されていません。
サイト下部では「1人のデザイナーによる解釈である」と明記されていますが、見づらさや不鮮明さ、カオスな状態そのものが、ADHDの症状や感覚を理解してもらうための意図的な設計であることが伝わってきます。情報が“理解しにくい”状態に置かれる体験そのものが、テーマと直結しています。
この表現を支えているのが、「ガラス効果(Glass effect)」です。すりガラス越しのように視界がぼやけた要素が随所に配置され、注意が分散する感覚を強調しています。Wix Studio では、UI右側の要素設定パネルから「デザイン」タブ内の「ガラス効果を適用(Apply glass effect)」を選択し、「ぼかし強度」を調整することで、こうした表現をノーコードで実装できます。
ガラス効果を装飾ではなく、体験そのものを設計するための手段として使い切った点が、本作の最大の特徴です。
事例⑧|Scrollの連続演出による没入設計
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「Fake It」は、女性の後ろ姿から静かに始まります。スクロールを進めると、「FAKE IT」の文字を背景に正面を向いた顔が現れ、さらに顔が分断されていく──スクロール操作そのものが、視覚表現の変化を導くトリガーとして機能しています。
ここで特筆したいのが、「スクロール」を軸にしたインタラクション設計です。Wix Studio では、「要素設定パネル」の「アニメーションとデザイン」タブから「スクロール」を選択し、対象要素とアニメーションタイプ(フェード、スライドなど)を指定するだけで実装が可能です。加えて、スケーリング(拡大・縮小)や速度といった細かな挙動も、パネル操作のみで調整できます。
本サイトでは、スクロールに応じた演出が連続的に設計されており、ユーザーはページを読むというより、物語の中へと“入り込んでいく”感覚を得ることになります。こうした連続性のある演出をノーコードで構築できる点は、実装負荷を抑えつつ、表現そのものに集中できるという意味でも大きな利点です。
クリエイティビティの発揮に専念できる「Wix Studio」
いずれの事例にも共通しているのは、高度なインタラクティブ表現を、シンプルなパネル操作だけで完結できる点です。複雑な実装に時間を取られることなく、世界観づくりや体験設計そのものにリソースを集中できる環境が整っています。
信頼できるツールは、制作負荷を軽減するだけでなく、表現の質を高めるための思考や試行に余白を生み出します。今回紹介した事例を手がかりに、Wix Studioの機能や可能性をつかみ取り、より自在で、あなたらしいWeb表現へとつなげていきましょう。
文・遠藤義浩
