「アクセス数よりも『正しく届けること』を尊重してくれた」- sustenキャピタル・マネジメントがOrizmで実現した、思いが伝わるWebサイト

資産運用サービスを提供する株式会社sustenキャピタル・マネジメント(以下、susten)は、サービスの拡充とともに増築を重ねてきたコーポレートサイトをリニューアルしました。

手がけたのは、以前からsustenと付き合いのあった「ちょっと株式会社」。SEOやアクセス数より「伝えるべき情報の質」を重視するsustenの姿勢に共感し、両社は数字では測れない部分を軸に制作を進めました。サービスの思想をWebサイトでどう表現したのでしょうか。

本記事では、sustenの戸谷さんと、ちょっと株式会社の山本さん・ヒョンさんにお話をうかがいました。

自動運用サービスを提供するsustenキャピタル・マネジメントのホームページ。投資信託の運用・提供も行っています。
目次

内製での建て増し工事に限界を感じていた

–––まず、サイトリニューアルの背景を教えてください。

戸谷麻友(以下、戸谷) 2021年のサービス開始当初、提供するプロダクトは自動運用サービスの1本だけでした。その後、NISA対応などのサービス拡充を進めてきたんですが、リニューアルに割けるリソースがあまりなくて、部分的な改修を続けていたんです。元の構成を大きく見直さないままコンテンツを追加していったので、増えるにつれて内容がわかりにくくなってしまっていました。

また、2024年からは証券会社さんを通じた投資信託の提供も始めました。興味を持ってsustenを調べてくださる方が増えたのに、投資信託の情報がサイトにまったく載っていない状態が続いていて、それが大きな課題でした。

–––ちょっとさんへのご依頼の経緯を教えてください。

戸谷 もともと内製でWebサイトをつくっていて、リニューアルも最初は内製を検討していました。マーケティングチームで構成を考えて、テクノロジーチームと連携して構築しようと。ただ、通常業務もある中で他チームを巻き込んで進めるのは難しいと思い始めて、外部委託を検討し始めました。ちょっとさんとは、以前「ポケットNISA」という別サイトの制作でお世話になっていたので、Slackでカジュアルに「サイトをリニューアルしたいんですが、やってもらえませんか」とご相談しました。

–––ポケットNISAはどのようなサイトだったのでしょうか。

戸谷 2024年から新しいNISA制度が始まりましたが、当時は、どう活用すべきかまで踏み込んで解説するサイトがなかったんです。新制度の使い方の指針となるような存在を世の中に提供しようというプロジェクトでした。

–––ポケットNISAの制作は、なぜちょっとさんに決まったのでしょうか。

戸谷 制作にあたって、複数の制作会社に相談しました。でも、どの制作会社も、アクセス数をどう伸ばすかや、SEOの話が中心だったんです。私たちはアクセスを伸ばすことよりも、世の中にない情報をわかりやすく提供したいという思いがあって、その考えを一番汲み取ってくださったのがちょっとさんでした。

sustenキャピタル・マネジメント 総務本部の戸谷麻友さん

「制作サイド」の視点を持った依頼主

–––ヒアリングの段階で、ちょっとさんから見た課題認識を教えてください。

山本悠(以下、山本) 増築されてきた経緯はうかがっていましたが、それほど大きな課題があるサイトではありませんでした。ブランドを毀損するような崩れもなかったため、リニューアルする一番の課題は何なのかを、ヒアリングの中で探っていきました。

その中で感じたのは、sustenさんの哲学や働く人の思いといったものを伝えられたらいいのではないか、ということです。伝統的な金融ブランドでも、やんちゃなフィンテック(FinTech:金融ITベンチャー)でもないというsustenさんのユニークな思想が、以前のサイトでは表現されていませんでした。今回のリニューアルは、そんな思想や風土を表に出すべきタイミングだと話し合いました。

ちょっと株式会社 デザイナーの山本悠さん

–––コミュニケーションはスムーズでしたか。

山本 それまで金融サービスについて詳しくなかったのですが、sustenさんからたくさん情報を共有していただき、知識を深めていけました。国内外の金融機関やフィンテック企業のWebサイトをかなり見ましたね。歴史ある金融ブランドとテック色の強い企業、日本と文化の異なる企業を見比べながら、インプットを重ねていきました。

戸谷 最初に海外の金融機関サイトをいくつか例に出して「こういう方向でやりたい」とお話ししたとき、まだ細かい構成の話はしていませんでした。でもすぐにデザインイメージを返してくださって、こちらの意図をしっかり汲み取ってくれていると感じました。

–––sustenさん側からの情報提供について、ちょっとさんからはどう映りましたか。

山本 もともと社内での構築を検討されていたこともあって、共有していただいた情報の量はとても充実していました。ただ、それ以上に印象的だったのは、依頼の質でした。sustenさんは自社でプロダクトを開発し、お客様に提供している会社なので、制作サイドの視点をお持ちなんです。制作側がどう動くかを理解したうえで依頼してくださるので、「ここは任せます」という領域の切り出し方も含めて、すごく柔軟にやらせていただけました。デザイナーとしてはとてもやりやすかったです。

線一本に込めた「透明感」

–––デザインはどのように方向性を決めていったのでしょうか。

山本 金融というものが抽象的なテーマなので、コンセプトを文章やムードボード(デザインの方向性や世界観を共有するためのコラージュ資料)で確認しながら進めるよりも、最初からトップページのデザインをつくって判断していただく形をとりました。

戸谷 デザインをいただいたとき、susten側では全員一致で「これいいね!」という反応でした。ほとんど修正なしで決まりました。

–––デザインで特に意識されたことはありますか。

山本 たとえばWebサイトでブルーグレーを使っているんですが、そこに普通のグレーの線を引いてしまうと、少し濁った印象になるんです。この場合、少し青寄りにした線を使うと透明感が出る。透明性の高いサービスを提供する企業であれば、ビジュアルもその透明感を体現しているはずだという考えです。線一本引くところまで含めてつくり込んでいました。

sustenのホームページは、コーポレートカラーのブルーを基調に、淡いブルーグレーとホワイトでまとめられています。さらに繊細なラインをあしらうことで、洗練された印象につながっています

–––情報構造についても教えてください。

戸谷 サイトのゴールとして、sustenのサービスを見に来た人と、投資信託を見に来た方(主に証券会社や金融機関の販売担当者)、この両方の入口をわかりやすくしたいと思っていました。トップページでメッセージを打ち出し、そこから目的別に進める構造を意識しました。

山本 もともとsustenさんの中に「お客様にこういう構造で伝えたい」という考えが明確にあって、リニューアル前のサイトではその考えが表現されていなかっただけなんです。構造設計はとてもスムーズでした。

エンジニアに頼まず、チームで更新できる

–––CMSとしてOrizmを選んだ経緯を教えてください。

戸谷 リニューアルの相談をしたときにOrizmをご紹介いただいて、「これならマーケティングチーム内で全部できそうだ」と思いました。前のサイトでは、修正があるたびに自社のエンジニアチームに修正を依頼していたのですが、社内だからこそ急ぎの対応を頼みづらい部分がありました。

山本 Orizmならコーディングの知識がなくてもページを更新できるので、その要望に最適な解決策だと思います。マーケティングチームだけで更新が完結できますから。

–––実際の使用感はいかがですか。

戸谷 とても楽に更新できています。何かパーツを追加したいと思ったとき、直感的に枠を追加して文章を入力して更新するだけで完了します。レビュー画面がすぐ横にあるので、実際に入れてみて「ちょっと違うな」と思ったら別のパーツを試す、ということもすぐにできます。

今はサイトの課題管理シートと言うものをつくって、気になったことがあったらマーケティングチームの誰でも書き込めるようにしています。週1回のミーティングで整理して優先順位をつけ、「これは修正しよう」と決まったらその場で対応しています。

–––既存サイトからのデータ移行はいかがでしたか。

ヒョン・ユンドン(以下、ヒョン)  それまで使用していたCMSで、どういうデータを持っているのか、画像やメタデータがどう管理されているのかを洗い出し、それに合わせてコードを書く必要がありました。このケースでは手探りで構築していく必要があったため、なかなか大変な作業でした。

–––技術的に工夫した点はありますか。

ヒョン お知らせページについては、Orizmの「デザインエディタ」をカスタマイズして実装しています。ページ内のコンテンツの順序を移動させて、柔軟なレイアウトができるようにしました。これは本来だと固定ページ向けの機能なんですが、エンジニアに依頼しなくてもお客様側で対応できる部分が増えるので、大きなメリットだと思います。

ちょっと株式会社 エンジニアのヒョン・ユンドンさん

–––サイト内にある運用シミュレーターがユニークですね。

戸谷 ユーザーが選択したリスクレベルに応じて、将来の資産がどのように変化するかをグラフで確認できるシミュレーターです。「過去のデータを元にした分析」と「将来の運用結果予測」を別々に表示しているところが特徴で、自動運用を提供している会社でここまでしっかりしたシミュレーターを用意しているところは少ないと思っています。

山本 シミュレーター部分は試行錯誤の連続でした。正確性はもちろん、投資に対する姿勢が可視化される部分でもあるので、技術面だけでなく思想面でも丁寧にすり合わせる必要がありました。

自動NISAのシミュレーター。リスクレベルや投資期間を変更するとグラフが動的に変わります

「うちのサイトです」と自信を持てるリニューアル

–––公開後の反応はいかがでしたか。

戸谷 以前のサイトでは、当社の強みが出せていませんでした。「これがsustenのホームページです」と自信を持って伝えられなかったんです。それが、今回のリニューアルによって明確にメッセージを伝えられるようになりました。また、投資信託のページもつくり込めたことで、販売担当者の方にも説明しやすくなりました。

あと、以前はキャンペーンページをnoteでつくっていましたが、今は自社サイトに集約しています。Orizmで直感的にコンテンツを追加できるようになったおかげです。そうしたコンテンツへのアクセスも着実に増えています。

–––ちょっとさんにとって、このプロジェクトはどのような意味がありましたか。

ヒョン 実際にOrizmを使ってフィードバックをいただけることが、とても重要です。その要望に応えて機能を開発していくことで、Orizm本体の進化につながりますから。特に事業へのこだわりを強く持っているお客様の場合、要望の質が全然違います。

山本 実際、sustenさんからいただいたフィードバックがOrizmの機能向上につながっています。私たちだけでは気づけない部分があるので、本当にありがたいです。

–––最後に、今後の展開を教えてください。

戸谷 今後はETF(上場投資信託)ページを公開予定です。また、現在のシミュレーターのほかに、ライフプランシミュレーションのようなものを展開したいという構想があります。以前はアクセス解析もあまりできていませんでしたが、リニューアル後はアクセスも増えてきたので、マーケティングへの活用をもっと強化していきたいですね。

取材・文:小平淳一、写真:黒田彰

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