
【イベントレポート】Movable Typeはどれを選べばいい? 用途と課題から考えるシリーズ選定ガイド
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制作案件でCMSを選定する際、どのような条件を重視しているでしょうか? 機能の豊富さだけではなく、Webサイトの規模やクライアントの運用体制、リリース後のサーバ管理の負担など、考慮すべき条件はさまざまです。では、長年Web制作の現場で使われてきたCMS「Movable Type」を提案する場合、シリーズの中からどれを選べばよいのでしょうか。
2026年8月28日、Web Designingが主催したオフラインイベント「制作会社のためのCMS選定サミット」にて、シックス・アパート株式会社のプロダクトシニアマネージャーである早瀬将一さんが登壇。「用途と課題で紐解く Movable Typeシリーズ選定ガイド」と題し、制作会社が直面する課題をもとに、Movable Typeシリーズの選び方を解説しました。

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目次
そもそもMovable TypeはどんなCMS?
セッションが始まると、会場に集まった参加者たちは、メモを取りながら早瀬さんの解説に真剣に耳を傾けていました。制作現場におけるCMS選定への関心の高さが伝わるなか、まずはMovable Typeの基本から振り返りがスタートします。
Movable Typeが誕生したのは2001年。当初はブログソフトウェアでしたが、その後、Webサイトを効率よく構築・管理するためのCMSへと発展していきました。2025年10月には「Movable Type 9」がリリースされました。

セッションの冒頭、早瀬さんが特徴の1つとして挙げたのが「セキュリティ」です。
早瀬さんは、「プログラムを一切記述することなく、HTMLと独自タグを使ってテンプレートを書くだけでWebサイトを安全に構築できます」と説明。さらに「管理画面のURLを隠したい場合、異なるパスにしたり、Movable Type自体を公開サーバとは異なる環境に設置して運営できるので、外部からの攻撃を受けにくい」と、セキュリティ面での運用の柔軟さも強調しました。
加えて、アカウントのロック機能など、複数人での運用を想定した機能を備えている点にも触れました。

さらに早瀬さんは、制作の自由度についても言及。更新担当者の使い勝手とデザイン維持の両立について、次のように語りました。
「『コンテンツタイプ』機能を使えば、ニュースや事例など、そのWebサイトに必要なコンテンツの構造を設計できます。また、『MTブロックエディタ』で独自のカスタムブロックを作成することで、クライアントにとって更新しやすく、あとからデザインが崩れないといった安全性も両立したサイト運営が可能になります」

加えて紹介されたのが「Data API」です。外部からMovable Typeのデータを取得・更新できるため、独自の管理画面の構築や外部アプリとの連携、ヘッドレスCMSとしての利用も可能です。
こうした説明から浮かび上がってくるのは、Movable Typeが単なる「ページ更新ツール」にとどまらないという事実です。案件ごとの設計や運用フローに合わせて使い方を柔軟にデザインできる。この特徴は、多種多様なクライアントの要件に向き合う制作会社にとって、重要なポイントだといえるでしょう。

ニーズに応じて選べるラインアップ
では、実際の案件ではどの製品を選べばよいのでしょうか。ここから早瀬さんは、Movable Typeシリーズのラインアップを紹介しました。
まず、自社で用意したサーバにインストールするのが「Movable Type ソフトウェア版」です。このほか、サーバ管理やアップデートをシックス・アパート側に任せられる「Movable Type クラウド版」や、AWS環境に導入できる「Movable Type AMI版」など、利用するインフラや管理体制に応じた選択肢が用意されています。
もう1つの選択肢が、SaaS型CMSの「MovableType.net」です。サーバ管理やセキュリティ対策をシックス・アパート側に任せられるうえ、動的生成のため再構築も不要です。
「キャッシュや負荷の管理もすべて弊社で行っているため、動的生成のメリットだけを得られます」(早瀬さん)
外部プラグインによる機能追加には対応していませんが、運用に必要な機能を標準で利用でき、サーバ管理の負担を抑えたい場合の候補となります。

また、このセッションではCMS以外のサービスについても紹介されました。ドラッグ&ドロップでメールフォームを作成できる「MovableType.net フォーム」や、埋め込みコードでサイト内検索を設置できる「MovableType.net サイトサーチ」です。どちらも、Movable Type/MovableType.netで構築したWebサイト以外でも利用できます。

そして早瀬さんは、「メーカーによるテクニカルサポート」にも言及しました。
「日本のメーカーのサポートが受けられるというのも、Movable Typeシリーズのメリットだと思います」(早瀬さん)
米国発祥のMovable Typeですが、現在は日本を拠点として開発·販売され、日本語によるサポートが提供されています。制作会社が導入後の運用を考える際の安心材料となるでしょう。

3つのユースケースから考える選択肢
セッション後半では、制作会社が実際の現場で直面しそうな3つのケースを題材に、具体的な選択肢が示されました。
1つ目は、「中規模のコーポレートサイトで運用負荷を下げたい」というケースです。ここで早瀬さんがまず挙げたのが、SaaS型の「MovableType.net」でした。MovableType.net本体のフォーム機能に加え、ビジネスプラン以上では承認ワークフローやステージング機能も利用できます。よりカスタマイズ性が必要な場合は、サーバ管理やバージョンアップを任せながらプラグインも利用できる「クラウド版」が候補になります。

2つ目は、「セキュリティ要件が厳しく、公開サーバ上でCGIなどを動かしたくない」というケースです。ここでは、クラウド版の「サーバ配信機能」を使い、生成された静的ファイルだけを公開サーバへ配信します。問い合わせフォームやサイト内検索については、「MovableType.net フォーム」や「MovableType.net サイトサーチ」を組み合わせるという解決策が紹介されました。

そして3つ目は、「大規模メディアの構築や、社内の独自システムとの連携が必要」といった、高度な要件が絡むケースです。この場合は、ソフトウェア版やクラウド版、エンタープライズ向け製品が候補となります。必要な機能をプラグインで追加したり、オンプレミス環境で社内システムと連携させたりと、要件に合わせて構成を検討できます。

フローチャートで必要なものを見極めよう
セッションの最後に紹介されたのは、「選定フローチャート」でした。必要な機能や運用体制を順に確認し、候補を絞り込んでいくものです。

まず、既存サイトにフォームやサイト内検索だけを追加するなら、MovableType.net フォームやサイトサーチが候補になります。Webサイト全体にCMSを導入する場合は、「サーバ保守やアップデートを任せたいか」を考えます。任せたい場合は、独自プラグインなどによる拡張が必要ならクラウド版、不要ならMovableType.netへと進みます。
自社インフラで自由に設定したいならソフトウェア版、AWS環境へ迅速に構築したいならAMI版。大規模運用や社内システムとの連携を重視するなら「Movable Type Advanced」、ワークフローやステージングなどの機能も求めるなら「Movable Type Premium」と、要件に応じて選択肢を絞り込めます。



早瀬さんがセッションのまとめで特に力を入れて伝えていたのが、「まずは標準機能が豊富なMovableType.netで実現できるかを考え、難しければ拡張性のあるクラウド版、さらに高度な要件があればソフトウェア版やエンタープライズ向け製品へと選択肢を広げていく」という段階的なアプローチです。特定の製品ありきではなく、用途や要件に合わせてシリーズを使い分けることの重要性が繰り返し説明されていました。
本セッション全体を通じて印象的だったのは、単なるCMSの機能比較にとどまらず、リリース後の運用負荷やサーバ管理体制までを含めて最適な構成を考える視点です。
セッション中、会場からは解説スライドを撮影するシャッター音がたびたび聞こえてきました。それだけ、今回のセッションで紹介された「運用を見据えた選定基準」が、現場が抱えるリアルな課題やニーズに直結していたということでしょう。クライアントへ提案する際の、実践的なヒントが数多く示されたセッションでした。
取材・文:小平淳一 写真:黒田彰
※本記事はシックス・アパート株式会社とのタイアップ企画です。
