
自社のデジタルメディアを採点して見直そう(2)
CX(顧客体験)の実現度を数値で可視化
顧客体験を考えたとき、自社のデジタルメディアはどうあるべきか? そこで、デジタルメディア向けのNPS(Net Promoter Score)としてWLS(ウェブロイヤリティスコア)を開発したトライベック・ブランド戦略研究所の代表、後藤洋さんを訪ね、デジタルでのCX向上に関する話をうかがいました。
自社のデジタルメディアを採点して見直そう(1)はこちら
自社のデジタルメディアを採点して見直そう(3)はこちら
自社サイトを自己評価してみよう!
ぜひ一度WLSを使って、自社サイトについて自己採点することをおすすめします。自社やご自身で手がけているWebサイトやアプリなどについてどうなのか、を判定してみてもいいでしょう。
私たちがデジタルメディア向けに開発した指標、「ウェブロイヤリティスコア(WLS)」についての設計思想が画像02になります。WLSは、2003年にベイン・アンド・カンパニー社が提唱した、顧客ロイヤルティを測る指標「NPS®」の基本理念を踏襲しながら、ユーザビリティと顧客体験視点を加えて、よりデジタルメディア体験における影響度やロイヤリティなどを直感的に測る指標となるように開発しました。画像03は、WLSで実際に用意する質問に基づき誌面用に作成した評価シートで、10問からなるシンプルな質問と残り2問が自由回答形式となります。WLSのスコア自体は⑩のみで表す点はNPSと同様です。
NPSとの大きな違いは、WLSではデジタルメディア向け、Webサイト向けにユーザビリティ視点と顧客体験視点の質問を、⑩とは別に①~⑨に用意していること。WLSスコアを参照しながら、各項目の優劣やばらつきもあわせて測ることが可能です。これによって、足りていない箇所や項目も数値で可視化され、WLSスコアに基づく次の一手が打ちやすくなり、結果を受けて実務へとつなげやすいのも特徴です。
ちなみにWLSでは、NPSと同様に11段階評価としながら、「推奨者」は8~10、「中立者」が5~7、「批判者」が0~4としています。NPSでは推奨者が9と10のみ、批判者が0~6という評価体系ですので、この点もデジタルメディア用にアレンジが加わっています。
さらにオススメしたいのは、自社サイトの評価に加えて、競合他社のWebサイトやデジタルメディアも数社採点してみることです。複数社との比較の中で数字のばらつきに気づくことができるでしょう。こうした評価とともに自社サイトと競合他社サイトを確認できると、漠然と比べる以上に、根拠を持った比較ができるようになります。
例えば、「企業らしさ」とは、何を指すのでしょうか? しかも、企業視点でなく、ユーザー側の立場で言葉にすると難しいですが、漠然としたものを数値で表現しておくことで、後々に根拠のある改善策へとつながりやすくなります。
画像02 WLSの調査フレームワーク
画像03 自社サイトのCX度チェック! WLSで採点してみよう
出典:Web Designing 2019年12月号(マイナビBOOKSに移動します)