【コラム】ローカルビジネスにおける「カスタマーサクセス」

2019年1月、スタッフがまだ6名の時に「カスタマーサクセス」(以下、CS)職の採用を決めました。弊社のCSは、「地域」が人を「地域」に呼び込むため、Webによる集客やマッチングをサポートしています。「SMOUT」は、自治体を顧客とするサブスクリプション型のサービスです。ビジネスモデルからすればCS導入は違和感のない選択。加えて、「地域に介入する時はCSの視点が必要だ」という考えがあり、小さい組織と事業のうちに仕組みと考え方を定着させようと決めました。

背景には自治体の構造があります。自治体が事業を起こす際には予算の策定からはじまり、基本は1年単位(継続は不確実)。また内部に実行者がいないことも多く、予算をとって都市部の会社に委託するケースも散見されます。一方で人事異動が頻繁なため、企画も実行性も“人”に依存しがちです。これらの要因から、継続して何かを成し得ていくことが難しい構造があります。

SMOUTは、継続的かつ主体的に地域をプロモーションして人を呼び込むサービスです。PRは中長期にわたる投資とも言われますが、積み上げていくことで移住促進、関係人口の創出へと繋がります。つまり、自治体と共に移住や関係人口に取り組むためには、中長期にわたり地域に伴走し、成功へと導く必要があるのです。だから、弊社に限らず、ローカルに入っていく企業はCSに取り組んでもらいたいとも思います。

弊社に話を戻すと、4月にはCS職を採用できました。そこで、社内外への啓蒙からコミュニケーションフローの構築まで立ち上げてきた高垣陽子に、6カ月を振り返りつつ、地域ビジネスにおけるCSの可能性について聞いてみました。

「SMOUTはオンラインサービスですが、各地域の情報は与えられる文字情報だけで理解することはできません。地域の個性は千差万別であるため(そこが面白いのですが)、実際に地域に出向き、五感で体感することが必要です。地域により状況も、成功も異なるためパターン化が難しく、できたとしても抽象度が高くなってしまいます。さらにいえば属人化してしまう。そんな問題を抱えながらも、いかにしてオートメーション化し、LTVとタッチの方法を設計するのか。それこそがCSの仕事です。これがやりがいでもあり、対企業の事業においても活かせるCSのヒントが眠っていると感じています。

『好きに暮らそう。好きな場所で。好きな時に。』というのが弊社のミッションですが、この言葉は個人が暮らしに対して最大の権限を持っている状態を意味しています。これこそ、CSの真髄。顧客ごとに最適なアドバイスを、顧客が親しんでいる方法で。適切なタイミングに。デジタルがインフラ化してきた今だからこそ、人間的な個別対応の仕組みが求められる時代が到来していると、日々感じています。顧客が多様であり、物理的な距離を超えなければならないサービスを提供しているからこそ、見つけられる世界があると思っています」

都市部の企業を顧客とするCSに比べて弊社のCSがオンライン、テックタッチが効きづらく、リアルなハイタッチになりがちなのは事実です。だけど、対地域、対自治体の事業においては暮らしや地域という多様な顧客に接するからこそ、CSは必要で、やりがいのある仕事なはずです。もしこのコラムに共感いただけて、なおかつSMOUTのCS職に興味がある方は、ぜひお問い合わせください!(笑)

鎌倉の「まちの社員食堂」で地域の人が1日店長になるイベントを開催しました。これもカスタマーサクセスの一環です
ナビゲーター:松原佳代
2005年に(株)面白法人カヤック入社。広報および企業ブランディングを担当する。2015年に独立し、株式会社ハモニアを設立。スタートアップの広報戦略、広報人材育成をおこなう。2017年7月より、(株)カヤックLivingの代表取締役を兼任。暮らし、住宅、移住をテーマとする事業を展開する。カヤックLiving/ Twitter @kayom
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