クリティカルな課題解決力を磨く

 

ホームページはつくっただけでは、まず見てもらうことすらできません。ホームページへの集客施策や買いたくなる魅力的なコンテンツなど、さまざまな要素がそろって初めて数字につながります

 

Web制作を仕事にすると、一度は「Webを活用した地方創生」を考えたことがある人も多いのではないでしょうか。地理的な制約から解放され、全国さらには全世界にはばたける可能性は、都市部よりも地方でこそ活かしたいWebの利点です。ところで、具体的にはどんな提案を考えていますか?

地方で活動していると、WebサイトやSNSが“ありさえすれば”業績がV字回復するという「幻想」が、事業者の中にあるように感じます(しかも「無料で簡単に」!)。しかし、十数年前ならいざ知らず、“ある”こととCVや業績向上には隔絶の飛躍があります。ゆえにわれわれは、制作技術やマーケティング理論について日夜、研鑽を積んでいるわけですよね。にもかかわらず、いざ提案となると、「SNSで集客」「ECで販路拡大」とか、つい言いがちではないでしょうか?

地方に限らずですが、相談者のリテラシーのレベルはさまざまです。こうした制作以前の「あるある」について、資料化してまとめ、かつ“当たり障りなく”相談者に伝えるために企画された本が『Web施策・運用バイブル』です

 

 

コロナ禍の影響で、2020年以降の相談は「ECサイトをつくりたい」が圧倒的でした。しかし、実際にECサイトの開設を勧めるのは、20件に1件程度です。というのも、「相談者はECを求めているわけではない」というケースがほとんどだからです。

猫も杓子も「ECで販路拡大」とする声も散見されますが、ECはサイトをつくるだけでなく、集客、商品開発、製造・発送体制等、クライアント自身の負担も大きいです。そこで果たして『バイブル』で取り上げた「町の定食屋」のような家族経営の事業者にとって、ECが救いの一手になるかというと、「無理」とクライアント自身が判断するケースが多いです。また、上図のように「EC」という言葉の裏にある本当の課題は「適切な売上の回復」であり、その課題解決のためには、ECである必要性も妥当性もないこともあります。

われわれ制作サイドも「Web万能主義」に陥らないよう注意しながら、クライアントの経営ビジョン(規模や事業目的)や地域経済のあり方を理解した上で、言外にある「真の問題解決」に直結する提案を行うことが重要です。

「ECサイトをつくりたい」「WPを使いたい」と要望があっても、クライアントには明確な理由がない場合もあります。言われたことを鵜呑みにせず、ヒアリングと客観的な分析で、実効性のある提案をするよう心がけましょう

 

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